原油相場、分岐点を迎える

著者:齋藤 和彦
 5日にOPECプラスの閣僚級会合がキャンセルされ、8月以降の協調減産体制の行方が不透明さを増していたものの、欧米の石油需要の増加観測を手掛かりにして、WTI期近8月限は8日の70.76ドルの安値から13日には75.52ドルの高値を示現するなど、大きく買い直されていた。

 しかしながら、サウジとUAEによる8月からの増産協議の動きが流れると、再び海外原油は大きく売られ、15日には71ドル台半ばまで急落している。

 OPECプラスの閣僚級会合のキャンセルの要因は、サウジとUAEの対立であり、合意が極めて困難とみられたため、OPECプラスの枠組みをひとまず維持する意味で、キャンセルされたといえる。

 さて、サウジとUAEの協議において、サウジが当初から提案している8月から日量40万バレルの増産を毎月実施し、12月までに日量200万バレルの増産を実施すること、現在の協調減産体制の期限である2022年4月を12月まで延期することをUAEが受け入れたとの情報もあるが、UAEのエネルギー相は歩み寄りをみせているが、まだ合意に至っていないとしている。

 また、UAEが主張する協調減産のベースラインとなる日量318.6万バレルを日量386.0万バレルに引き上げることに対して、サウジは同意したとみられている。

 ポイントは、OPECプラスの枠組みの中で、例外的にUAEの増産を認めるかどうかである。サウジはUAEだけにとどめたい意向とみられるが、その他の産油国もUAEに同調して、増産圧力を高める可能性もある。


WTI期近8月限日足と20日移動平均線

このコラムの著者

齋藤 和彦(サイトウ カズヒコ)

株式会社フジトミ 情報サービス室 チーフアナリスト
1990年カネツ商事に入社。1994年にカネツ投資顧問に転籍し、2004年にインテレス・キャピタル・マネージメントに移る。
現在のフジトミに2009年に移るまで、15年近く投資顧問に在籍し、ここで情報提供やファンド運用を手掛ける。
商品アナリストとしてはそれ以上の実績を有する。ファンダメンタルズ・テクニカル両面を重要視するが、その時の相場の味に注目し、分析を手掛ける。
http://www.fujitomi.co.jp/