原油相場の強調地合い継続

著者:齋藤 和彦
ブックマーク
 グランホルム米エネルギー長官は6日、高騰を続ける石油価格の抑制のため、米国産原油の輸出禁止や米戦略備蓄放出を検討する意向を示したこともあり、前日に79.78ドルまで急伸していたWTI期近11月限は急落を強いられ、一時75ドル割れをみせた。

 しかし、米国が自国の原油輸出を禁止すれば、一層、世界の供給タイトが深刻化するとの思惑から早々に買い直され、78ドル台後半まで7日には出直りをみせている。値位置が値位置だけに、波乱の展開は仕方ないが、長期的な上昇トレンドに変化はないとみる。

 さて、4日のOPECプラスの閣僚級会合で、11月の追加増産が従来通りの日量40万バレルに据え置かれたことをキッカケにして、原油相場の上昇に弾みが付いたのは確かである。一時、12月分を前倒しして日量80万バレルの追加増産との情報も流れていただけに、OPECプラスの消極的な供給を踏まえて、大きく買い進まれている。

 注目すべきは毎月、日量40万バレルの増産をOPECプラス全体で達成することになっているが、その増産についていけない産油国がみられることである。特にOPEC加盟国のアンゴラとナイジェリアの供給不足が目立っている。

 8月末時点の原油生産、生産目標よりナイジェリアは19.6万バレル、アンゴラは23.3万バレルそれぞれ下回っている。9月末時点ではナイジェリアは9.4万バレルの不足に改善しているが、アンゴラは26.8万バレルと供給不足が拡大している。

 こうした供給不足の解消のため、供給余力のあるサウジやUAEが供給不足をカバーするかどうか注目されていたが、その動きもなかった。つまり、生産目標と実際の生産の乖離の長期化は、供給不足の長期化を示しており、原油相場の急騰は需給バランスの悪化からみてしかたないといえる。

 ちなみに、アンゴラやナイジェリアの供給不足は、設備不良や人材不足、資金不足などが指摘されている。


WTI原油I期近11月限日足と20日移動平均線

このコラムの著者

齋藤 和彦(サイトウ カズヒコ)

フジトミ証券(株)企画部情報サービス課チーフアナリスト
1990年カネツ商事に入社。1994年にカネツ投資顧問に転籍し、2004年にインテレス・キャピタル・マネージメントに移る。
現在のフジトミに2009年に移るまで、15年近く投資顧問に在籍し、ここで情報提供やファンド運用を手掛ける。
商品アナリストとしてはそれ以上の実績を有する。ファンダメンタルズ・テクニカル両面を重要視するが、その時の相場の味に注目し、分析を手掛ける。
http://www.fujitomi.co.jp/