リセッションを意識して海外原油は下降トレンドへ

著者:齋藤 和彦
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 3日に開催されたOPECプラスの閣僚級会合で、9月は8月と比較して日量10.1万バレルの増産を実施することで合意している。OPECプラス全体では日量4395.5万バレル(前月4385.4万バレル)、OPEC10か国では前月比6.4万バレル増の日量2675.3万バレル、サウジは同2.6万バレル増の日量1103.0万バレル。

 市場のコンセンサスは据え置きだったが、先のバイデン米大統領が中東歴訪した際の増産要請に少なからず応じる格好を取ることになった。

 7月最終日の取引だった29日には、据え置き観測が流れ、WTI期近9月限で一時101.88ドルまで急騰したが、3日の合意発表を受け、一時的に96ドル台示現も、その後は急落し、4日には87ドル台まで値崩れしている。

 産油国の増産に対する消極姿勢よりも、世界的なリセッションによる石油需要の後退が現在の市場ではより材料になっているといえる。

 7月31日に中国の国家統計局が明らかにした7月の製造業PMIは49.0で、節目の50を2か月振りに下回り、1日に財新が発表した7月の製造業PMIは50.4となり、50を維持したものの、前月の51.7から下振れしている。中国のリセッションがより懸念され、石油需要の後退観測が助長されるキッカケになった。

 また、米EIAが3日に明らかにした週間石油在庫統計で、製油所稼働率の低下にもかかわらず、ガソリン在庫が増加していた。これはガソリン需要の低迷が影響しているためで、米国でのリセッションを認識する材料となった。

WTI期近9月限日足と200日移動平均線
WTI期近9月限日足と200日移動平均線
 

このコラムの著者

齋藤 和彦(サイトウ カズヒコ)

フジトミ証券(株)投資助言事業部 チーフアナリスト
1990年カネツ商事に入社。1994年にカネツ投資顧問に転籍し、2004年にインテレス・キャピタル・マネージメントに移る。
現在のフジトミに2009年に移るまで、15年近く投資顧問に在籍し、ここで情報提供やファンド運用を手掛ける。
商品アナリストとしてはそれ以上の実績を有する。ファンダメンタルズ・テクニカル両面を重要視するが、その時の相場の味に注目し、分析を手掛ける。
http://www.fujitomi.co.jp/