WTI原油は順ザヤ修正の動き

原油
著者:齋藤 和彦
 WTI原油は順ザヤ(コンタンゴ)の修正の動きをみせており、期近中心に買い直されている。一週間後に納会を迎える期近6月限の14日時点の終値は27.71ドルだが、期近7月限は27.98ドル。4月30日時点の期近6月限は18.84ドル、期近7月限は21.85ドルで、3.01ドルの価格差があったが、14日時点で0.27ドルに迫っている。WTI期先限月に期近限月がサヤ寄せしており、米国の原油生産の減少傾向により、目先の荷圧迫が解消されつつあることを意味している。

 その半面、将来的な需給バランスの改善期待が後退して、期先限月のサヤが売られた結果の順ザヤ幅の修正ともいえる。

 ところで、米EIAとOPEC、IEA(国際エネルギー機関)の月報が出揃ったが、軒並み、世界的な石油需要の大幅な落ち込みは2020年第2四半期に限定されるとの見通しを示している。IEAの月報で、2019年度の需要平均と比較して、2020年4月は日量2520万バレル減、5月は日量2150万バレル減、6月は日量1300万バレル減としている。2020年平均では日量860万バレルの減少としており、今年後半は需要が大きく改善するとみているようだ。

 5月からの協調減産は日量970万バレルで、6月からさらに118万バレルの追加減産も決定しており、年平均の需要の落ち込みとされる日量860万バレルを供給減が上回ることになるため、将来的な供給過剰の改善が進むことになる。

 ただ、ここまでの供給過剰の影響で、原油や石油製品の在庫が潤沢にあり、需給バランス全体でみると、当面、供給過剰の改善がかなり厳しい状況にある。

 経済活動の再開によって、石油需要の改善が期待されていたが、思ったほどの伸びにつながらず、経済活動の再開も極めて慎重である。
 
WTI原油期近6月限日足と20日移動
 

このコラムの著者

齋藤 和彦(サイトウ カズヒコ)

株式会社フジトミ 情報サービス室 チーフアナリスト 1990年カネツ商事に入社。1994年にカネツ投資顧問に転籍し、2004年にインテレス・キャピタル・マネージメントに移る。現在のフジトミに2009年に移るまで、15年近く投資顧問に在籍し、ここで情報提供やファンド運用を手掛ける。商品アナリストとしてはそれ以上の実績を有する。ファンダメンタルズ・テクニカル両面を重要視するが、その時の相場の味に注目し、分析を手掛ける。 http://www.fujitomi.co.jp/