NY金は取引水準切り下げへ

著者:齋藤 和彦
 ECB理事会、そしてラガルドECB総裁の会見を経て、ドル安・ユーロ高が進行し、NY金期近12月限は一時1975.2ドルまで急伸し、9月2日以来の高値を示現した。しかし、NYダウの急落をキッカケに金市場では売りが先行し、一時1950ドル割れをみせたが、結果的に上ヒゲの長いチャートを形成し、再び下値探りの展開が想定される。

 9月に入ってNY株式市場の値崩れに追随してNY金も大きく売られ、8日には1911.7ドルの安値を示現した。

 ところで、換金売りで急落したとされたが、NY金の取組はその局面では減少していない。手じまい売りで減少した分、新規売りが増加した結果、取組減少につながらなかったといえる。3月のNYダウ急落局面で、NY金も急落し、5営業日で250ドルも急落した経緯から、新規売りが増加したとみられる。安全資産として期待された金の下振れリスクも次第に高まりつつあると考えられる。

 注目は8月31日に発表されたインドの4-6月期のGDPで、前年同期比23.9%のマイナスとなり、予想を大きく下回る内容となった。7日にはインドの新型コロナウイルスの累計感染者数が米国に次ぐ世界第2位となるなど、インドの景気悪化はかなり深刻化している。

NY金期近12月限日足と20日移動平均線

NY金期近12月限日足と20日移動平均線

このコラムの著者

齋藤 和彦(サイトウ カズヒコ)

株式会社フジトミ 情報サービス室 チーフアナリスト
1990年カネツ商事に入社。1994年にカネツ投資顧問に転籍し、2004年にインテレス・キャピタル・マネージメントに移る。
現在のフジトミに2009年に移るまで、15年近く投資顧問に在籍し、ここで情報提供やファンド運用を手掛ける。
商品アナリストとしてはそれ以上の実績を有する。ファンダメンタルズ・テクニカル両面を重要視するが、その時の相場の味に注目し、分析を手掛ける。
http://www.fujitomi.co.jp/