ドル高基調の中、金の軟調地合い継続へ

著者:齋藤 和彦
 チャートをみる限り、NY金はすでに天井を形成したといえ、一段安も警戒すべき状況にある。

 期近12月限は3月16日の1458.8ドルの安値から8月7日に付けた2089.2ドルまで630.4ドルも急騰したが、その上昇幅の3分の1押しは1879.1ドルで、24日に示現した1851.0ドルですでに下回っており、今後、半値押しの水準である1774.0ドルまで急落するか注目される。長期上昇トレンドの指標である200日移動平均線が1740ドルだけに、チャート上では1800ドル割れの可能性も秘めている。

 1851.0ドルまで急落した後、ドル安を手掛かりにして1880.9ドルまで戻しているが、3分の1押し水準の1880ドルが目先の戻り高値とみるべきで、あくまでも自律反発の戻りと考えたい。

 NY金急落のキッカケは、ドル高・ユーロ安であり、欧州での新型コロナウイルスの感染拡大とそれによる経済活動の再停止の動きがドル高要因になっている。9月前半は、欧州の感染拡大を無視してユーロ高・ドル安が進行していたが、状況はさらに悪化しており、ドル高・ユーロ安に拍車がかかっている。現在のドル高・ユーロ安の水準をみると、必ずしもドルが買われ過ぎの状況ではなく、7月にみせた1ドル=1.22ユーロ台までのドル高進行も想定され、ドル高基調は当面続くとみるべきである。

 ところで、金融市場では新型コロナウイルスのリスク拡大から、現金化の動きが顕著で、そのため、株式市場も調整安を強いられている。金は現金化の代表格であり、商品市場全般のマインド悪化をもたらしているが、もともと、実需筋の買いが期待できないだけに、ここにきての金の急落も避けられなかったといえる。
 
NY金期近12月限日足と20日移動平均線
NY金期近12月限日足と20日移動平均線
 

このコラムの著者

齋藤 和彦(サイトウ カズヒコ)

株式会社フジトミ 情報サービス室 チーフアナリスト
1990年カネツ商事に入社。1994年にカネツ投資顧問に転籍し、2004年にインテレス・キャピタル・マネージメントに移る。
現在のフジトミに2009年に移るまで、15年近く投資顧問に在籍し、ここで情報提供やファンド運用を手掛ける。
商品アナリストとしてはそれ以上の実績を有する。ファンダメンタルズ・テクニカル両面を重要視するが、その時の相場の味に注目し、分析を手掛ける。
http://www.fujitomi.co.jp/