需給バランス悪化から原油は軟調地合い継続

著者:齋藤 和彦
 30日にロイター通信が明らかにした9月のOPEC産油量は16万バレル増の日量2438万バレルで、協調減産義務のある10か国でみると、8万バレル減の日量2175万バレルとなっている。8月からの協調減産は日量2181.5万バレルで、達成率は101%。OPEC加盟国に関しては、減産を順守していることになる。

 ところで、協調減産義務のないイランは12万バレル増の日量205万バレル、リビアは7万バレル増の日量18万バレル、ベネズエラは5万バレル増の日量40万バレル。軒並み増加しているが、注目すべきはリビアで、リビア政府と武装勢力による合意で、原油生産や輸出が再開される見通しで、10月には大幅な増加が想定される。ちなみに、リビアの前年同月の原油生産は日量120万バレルだったこともあり、今後のリビアの原油生産回復は、OPECとしての増産につながり、原油相場の圧迫要因は必至といえる。

 また、欧州中心に新型コロナウイルスの感染拡大が確認され、経済活動の再停止も表面化している。一時、石油需要は長期的に改善するとの期待が高まっていたが、新型コロナウイルスのリスクの長期化によって、石油需要の需要低迷も改めて認識されている。

 このように、石油の供給増と需要減の需給バランスの悪化を背景にして、海外原油は取引水準を切り下げている。NY株価の急伸を好材料にして買い進まれる場面もみられるが、結局は売り場低調となっている。今後、40ドルを上値抵抗として、WTI期近11月限は9月の安値である36.58ドルを目指すと想定される。

WTI期近11月限日足と20日移動平均線 
WTI期近11月限日足と20日移動平均線
 

このコラムの著者

齋藤 和彦(サイトウ カズヒコ)

株式会社フジトミ 情報サービス室 チーフアナリスト
1990年カネツ商事に入社。1994年にカネツ投資顧問に転籍し、2004年にインテレス・キャピタル・マネージメントに移る。
現在のフジトミに2009年に移るまで、15年近く投資顧問に在籍し、ここで情報提供やファンド運用を手掛ける。
商品アナリストとしてはそれ以上の実績を有する。ファンダメンタルズ・テクニカル両面を重要視するが、その時の相場の味に注目し、分析を手掛ける。
http://www.fujitomi.co.jp/