原油市場は需給バランス悪化から軟調地合い継続へ

著者:齋藤 和彦
 WTI期近12月限は29日、34.92ドルの安値を付けたが、期近ベースとして5か月半振りの安値を示現している。

 欧州での新型コロナウイルスの感染拡大によって、フランスでは今月末から12月初旬まで外出禁止が実施され、ドイツでは11月一杯、飲食店での会食禁止、スポーツ施設や遊興施設の使用禁止などが実施されるなど、経済活動の縮小は避けられない状況となっている。かねてから、石油需要の後退が警戒されていたが、より状況は深刻さを増している。

 また、10月23日にリビア国営石油公社が明らかにしたところでは、現在の同国の原油生産の日量10万バレルが、今後4週間で日量100万バレルに引き上げられるとの見通しを示した。14日のIEA(国際エネルギー機関)の月報では、現在の日量30万バレルから12月にはぜいぜい日量70万バレルとの見通しだったが、かなり甘い見通しだったといえる。

 リビアの予想以上の原油生産回復と欧州での石油需要の一段の悪化の下、世界の石油の需給バランスはOPECプラスが最悪のシナリオと予想している供給不足から供給過剰に向かっており、結果的に海外原油の急落につながったといえる。

 米国での石油需要も長期低迷しており、特にジェット燃料の不振が続いている。米国での感染拡大も影響し、米国から海外、海外から米国での飛行機運行も貨物便がほとんどで、改善の見通しが立っていない。

WTI期近12月限日足と20日移動平均線
WTI期近12月限日足と20日移動平均線

このコラムの著者

齋藤 和彦(サイトウ カズヒコ)

株式会社フジトミ 情報サービス室 チーフアナリスト
1990年カネツ商事に入社。1994年にカネツ投資顧問に転籍し、2004年にインテレス・キャピタル・マネージメントに移る。
現在のフジトミに2009年に移るまで、15年近く投資顧問に在籍し、ここで情報提供やファンド運用を手掛ける。
商品アナリストとしてはそれ以上の実績を有する。ファンダメンタルズ・テクニカル両面を重要視するが、その時の相場の味に注目し、分析を手掛ける。
http://www.fujitomi.co.jp/