思惑と期待で原油の先高期待強まる

著者:齋藤 和彦
 9日に米EIAが発表した週間石油在庫統計で、原油在庫は前週比1518.9万バレル増、ガソリン在庫は同422.1万バレル増、中間留分在庫は同522.2万バレル増で、合わせて2500万バレル近い急増を記録し、過去経験したことがない大幅増加である。また、ガソリンの需要は4週連続の大幅減少となり、今年5月以来の低い水準となっている。新型コロナウイルスの感染拡大が大きく影響しているようで、それまで好調だった中間留分の需要も2週連続で大幅に低下している。

 こうした悪材料にもかかわらず、WTIの下げは限定的で、WTI期近1月限は一時的に45ドルを割り込んだものの、その後は46ドル台に上伸し、10日には今年3月以来の47ドル台を回復している。

 新型コロナウイルスの感染拡大で、世界的な石油需要は当面、厳しい状況が続きそうで、さらに産油国が増産に舵を切っており、需給バランスの改善は当面、厳しいとみられるが、これも売り材料になれず。

 市場では、ワクチン接種による2021年のかなり楽観的なシナリオが背景にあり、期待先行や思惑買いに上昇を続けているが、英国でワクチン接種が始まったことで、一層、期待が強まっている。

WTI原油I期近1月限日足と20日移動平均線

このコラムの著者

齋藤 和彦(サイトウ カズヒコ)

株式会社フジトミ 情報サービス室 チーフアナリスト
1990年カネツ商事に入社。1994年にカネツ投資顧問に転籍し、2004年にインテレス・キャピタル・マネージメントに移る。
現在のフジトミに2009年に移るまで、15年近く投資顧問に在籍し、ここで情報提供やファンド運用を手掛ける。
商品アナリストとしてはそれ以上の実績を有する。ファンダメンタルズ・テクニカル両面を重要視するが、その時の相場の味に注目し、分析を手掛ける。
http://www.fujitomi.co.jp/