為替相場まとめ10月19日から10月23日の週

配信元:みんかぶFX
著者:MINKABU PRESS
 19日からの週は、ドル安方向への動きが優勢だった。特に週前半は連日のドル安となった。米経済支援策についての協議が米政府と民主党との間で継続しており、連日の合意期待相場となった。また、英国とEUとの貿易交渉も継続することとなり、最終段階まで双方が妥協点をみいだそうとする姿勢が好感された。ポンドドルは一時1.31台へと上昇。ユーロドルは1.18台後半へ上昇。ドル円は104円台前半まで一時下落した。ただ、いずれもなかなか合意には至らず、週後半には調整の動きが入っている。クロス円の反落がドル円の買い戻しを緩やかなものとした。楽観ムード、期待感は維持しつつも、短期筋はひとまずドル売りポジションを手仕舞いする動きが一部にみられた。日本時間23日午前にはトランプ氏とバイデン氏の大統領候補討論会の最終回が実施された。前回ほどのヒドイ状況は回避されており、無難に通過。バイデン氏優勢に変化はみられていない。株式市場は息を吹き返し、ドル安の流れが続いた。週末にはフランスが英国に漁業権で妥協の用意と報じられた。そのなかで、トルコリラが最安値を更新。トルコ中銀が予想外に政策金利を据え置いた。


(19日)
 東京市場は、様子見ムードが広がった。週明けのマーケットは値幅が狭く、上下ともに動きにくい展開。米追加経済対策協議についてペロシ米下院議長が20日いっぱいが大統領選前の実施を行う際の合意の期限と表明。今後の民主党と米政府との協議に注目が集まる展開になっている。英国とEUとの自由貿易協定については、協議の継続が決定。ハードブレグジット警戒も見られるが、いったんは協議の行方を見たいという意識が広がった。ドル円は105.30近辺までの下押しのあとは105円台半ばに戻した。週末に行われたNZの総選挙はアーダーン首相率いる労働党が圧勝。1996年の選挙制度改革後、初の単独過半数を確保する政党となった。世論調査動向から予想されていたこともあり、市場の波乱は見られず、動きは落ち着いている。

 ロンドン市場では、ドル売りが優勢。特にユーロドルやポンドドルなど対欧州通貨での動きが活発だった。週末の報道などで米支援策の合意への期待が広がっており、週明けの米株先物・時間外取引が堅調に推移していることが、リスク選好的なドル売りにつながった。ポンドドルは一時1.30台乗せ、ユーロドルは1.17台後半へと上昇した。ポンド円は一時137円台をつけたほか、ユーロ円も124円をうかがう動きをみせている。ユーロ対ポンド動きは、序盤にポンド買い、中盤にかけてはユーロ買いと方向性は定まらず。ドル円は105円台前半での取引が続いており、ややドル売りに押されている。欧州株は、仏CAC指数などがユーロネクストの技術的障害の影響で3時間程度取引を中断したが、現在は取引を再開している。欧州では新型コロナ感染拡大、英国との通商交渉への思惑など不安材料もあるが、為替市場ではユーロやポンドが堅調に推移している。

 NY市場は、米追加経済対策に一喜一憂となった。きょうの市場は、米追加経済対策への期待感を高め、前半はリスク選好の雰囲気がみられていた。為替市場ではリスク選好のドル売りが優勢となり、ドル円の上値は重い。一方で円売りの動きもあり、下値はサポートされている状況。しかし、民主党の一部から「われわれには合意しないという言葉も残っている」との発言が出ており、一気に市場の期待ムードが後退した。ペロシ議長の民主党は2.2兆ドル規模の対策を主張している。一方、トランプ大統領は1.8兆ドル超を主張。ただ、共和党は規模に難色を示しており、5000億ドル規模の主張に留めている状況。ペロシ議長とムニューシン長官が本日も電話協議を行っているが、20日までに合意に漕ぎ着けられるか、未知数の部分も多い。ドル円は105円台半ばでの上下動。ユーロドルはロンドン時間からの買いで1.17台後半まで上昇。NY後半の下げも比較的軽微。ポンドドルは一時1.30台を回復。終盤には1.2950割れへと反落。

(20日)
 東京市場では、朝に円安が進行、その後は値動きが落ち着いた。ドル円は直近に上値を抑えていた105.50レベルを上回ると、105.60台まで上昇した。その後は少し調整が入っての揉み合いに。朝は本日再協議が行われる予定となっているペロシ下院議長とムニューシン財務長官の追加経済対策に対する協議への期待感がドル円を押し上げた。関係者筋から対立の解消に近づいているとのコメントが出たことなどが期待感につながった。もっとも株が値を落としたこともあり、高値圏からの買いには慎重。今日の協議の行方を見極める展開に。クロス円も基本的に同様の動き。ユーロ円は124円10銭前後から124円34銭まで上昇し、その後もみ合いとなった。リスク選好の動きであるが、ドル売りの動きは限定的でユーロドルは1.1770前後での推移。

  ロンドン市場では、ユーロが堅調に推移。総じてリスク警戒の動きは後退した。米株先物が反発するなかで、売りが先行した欧州株も英仏指数は上昇に転じた。為替市場ではややドル高・円高の動きがみられたあと、すぐにドル安・円安方向に流れが変化。特にユーロの上昇が目立っている。ユーロドルは1.17台後半から1.18台乗せへ、ユーロ円124円台前半から124円台後半へと上昇、高値を伸ばした。ポンドも序盤の下げを消しているが、やや伸びを欠いている。対ドルは1.29台前半から後半での振幅。対円では136円台前半から137円近辺での上下動。ブリハ英中銀委員が、政策スタンスへのリスクは下方向に傾いている、一層の刺激策を示唆、としたことが上値を抑えたようだ。また、この日はEUが初めて発行するソーシャルボンドに2330億ユーロ余りの注文が集まった。ソーシャルボンドは社会的な課題解決に資するプロジェクト・事業のための資金調達手段。コロナ禍の回復を支援するものとして期待されている。ユーロ買いの一因となった面もありそうだ。

 NY市場では、ドル売りが優勢。市場は米追加経済対策の協議の行方に関心が集中しており、本日はペロシ米下院議長が協議の期限として設定した20日となっているが、ムニューシン米財務長官とペロシ議長との会談待ちの雰囲気が強い。もともと市場は、米大統領選前の合意は期待していなかった。双方が再び協議に戻ったことで、関心を集めており、合意できればポジティブ・サプライズに。米大統領選前に合意できなくても、その後にそれなりの対策規模で合意されるものと期待も。ただ、市場は過度に期待はしていないムード。ドル円は105.75付近まで上昇したあと、105.50割れと振幅。ユーロドルは買いが強まり、1.18台を回復、1.1840近辺まで高値を伸ばした。ドル売り主導の展開で、ユーロ自体の強調材料には欠けた。ポンドドルは1.29台での上下動。英・EUの貿易交渉が不透明な中で、一時1.2915付近まで下落していたが、ドル売りの流れの中で1.2980ドル台まで戻す場面もあった。バルニエ交渉官とフロスト交渉官は連絡を取り合っているという。お互い強硬姿勢は崩していないが、交渉は続けているといった状況に変化はないようだ。
 
(21日)
 東京市場は、リスク選好的なドル安の動きが優勢。米追加経済対策への期待感が広がっていることが背景。民主党の代表であるペロシ下院議長とムニューシン財務長官との同件についての協議は、当初合意のデッドラインとしてペロシ下院議長が提示していた20日を過ぎて継続することが前日のNY市場午後に発表された。下院議長報道官は合意に近づいていることを明らかにした。米政府側も追加経済対策規模の引き上げなどで民主党案に譲歩する姿勢を示した。米株高、債券安(利回り上昇となる経緯があった。ドル円は105.20台へと下落。ユーロドルは1.1850近辺まで上昇。ポンドドルは1.29台前半から後半へ、豪ドル/ドルは0.7050割れ水準から0.70台後半へと上昇した。

 ロンドン市場では、ポンド高と円高が併存している。英国とEUとの通商交渉が時間切れとなる可能性があるなかで、ミシェルEU大統領が合意できない場合に備えると述べたことが、序盤は小高かった欧州株のムードを一変させ、株安の動きが強まった。一方、バルニエEU首席交渉官からは、英国との通商合意は手の届くところにある、と前向きな発言をしており、ポンド買いが強まった。ポンドドルは1.30台乗せから1.3065近辺へと上伸。ポンド円も一時137円台に乗せた。その一方で、ドル安とともにリスク回避の円高圧力が広がり、ドル円は105円台を割り込んだ。一時104.82レベルと9月22日以来の安値水準となった。ポンド円も136円台後半へと反落。対ユーロでは円高の動きが強まり、ユーロ円は124円台後半から124.20付近まで下落。ユーロドルは1.1870近辺に高値を伸ばしたあとは、上昇一服となっている。英国側からのレスポンスが待たれるところだが、目立った動きは伝わっていない。

 NY市場では、ドル売りが強まった。米追加経済対策の合意への期待が高まっており、きょうの為替市場はリスク選好のドル売りが加速した。ペロシ米下院議長とムニューシン米財務長官がきのうも協議を行っていたが、合意できなかった。しかし、協議はきょう以降も継続することが示され、ペロシ議長は「今週中に合意がまとまるとの希望を失っていない」と述べていた。ドル円はロンドン市場で105円割れとなったあと、NY時間には104.35近辺まで一時下落した。ユーロドルは1.18台後半へと上昇が加速した。ドル安とともに、市場の一部からはEUが初めて発行するソーシャルボンドへの需要が強かったことが、今後もユーロをサポートするとの声も。ポンドドルは1.3175近辺まで上昇、安値から200ポイントの大幅上昇となった。英国とEUが貿易交渉を再開すると伝わった。双方は交渉の根拠が改めて確立されたとの見解で合意し、明日の午後にロンドンで集中協議を行うという。英国側は、バルニエ交渉官がきのう、英国が不服としていた3点の課題について対応する姿勢を示したことが突破口となったとしている。

(22日)
 東京市場は、ドル円の下げが一服。前日の海外市場で104.34レベルまで下落したドル円は、東京市場では少し値を戻し104.50台で取引を開始。昼前には104.75レベルの高値を付け、その後は揉み合いに。ユーロドルは1.18台後半から1.1830台へと下落。総じて前日のドル買いに対する調整が入った。ユーロ円は124円前後での推移。ドル相場主導の展開で方向感に欠けた。日本時間午後8時に政策金利が発表されるトルコリラ円は13.40近辺での推移。前日NY引け後に13.31近辺まで下落も、すぐに戻した。市場では2会合連続の利上げが見込まれている。

 ロンドン市場では、ドル売りの流れが一服。序盤にはドル安水準を模索したが、その後はドル買い方向へと転じた。今週は、前日まで3日連続でドル売りの流れが続いていた。しかし、明日東京午前の米大統領候補討論会の最終回を前に、ポジション調整の動きが入っているもよう。欧州株が軟調に取引を開始したことがリスク警戒のドル買い圧力となる面も。ただ、株安の動きは次第に落ち着いてきている。また、トルコ中銀が予想外に政策金利の据え置きを決定したことで、ドル買い・リラ売りが強まり、リラが過去最安値を更新。ドル買いを広げた面も。ユーロドルは1.1870付近まで買われたあと、1.1820近辺に安値を更新。ポンドドルは1.3150レベルが重く、一時1.3080台まで下落。ドル円は104.50割れ水準に安値を更新したあとは104.80付近に高値を広げた。クロス円は軟調。ユーロ円は123.70台、ポンド円は137円手前まで安値を広げた。ホールデン英中銀委員は、マイナス金利について研究中だが、導入することを意味せずと述べた。スナク英財務相は追加雇用支援策を発表した。

 NY市場では、ドル円が買い戻された。104円台後半まで戻している。きょうはドル安が一服しており、ドル円も追随している状況。ただ、ドルを買い戻す特段の材料は見られていない。前日の下げが急だったことから値ごろ感の買い戻しとみられる。米追加経済対策の協議が続いているが、市場は合意への期待感が高まっている。ペロシ米下院議長の発言が伝わり「追加経済対策の合意が、すぐそこにある。今週は協議に進展が見られている」と述べていた。ユーロドルは1.18台前半へと伸び悩んだ。EUでは感染第2波の拡大が続いており、景気の先行き不安から、インフレ期待も後退しており、市場ではECBの追加緩和期待が高まっている。ヘッジファンドはユーロのロングポジションを減らす動きが見られている。ポンドドルも上げが一服し、1.30台に値を落とした。英国とEUとの貿易交渉が再開しており、合意への期待は根強い。しかし、感染拡大が英国の経済と財政に与える影響により、貿易交渉の合意ありの離脱になったとしても、ポンドの上値は限定になるとの指摘も出ている。

(23日)
 東京市場では、一時ドル高も、午後は膠着。朝方にドル円は104.94レベルまで買われ、前日NY高値をわずかに上回った。その後は104.70前後での膠着相場となっている。午前10時に始まった大統領選最後となる大統領候補者討論会は決め手に欠く展開。バイデン氏の優勢に変化はないとの見方が広がり、若干のドル売りもほとんど反応なし。今晩、さらに状況によっては週末も続くとみられる米追加経済対策に関する協議の結果待ちの中で、週末越えのポジションに慎重姿勢も。ユーロドルはドル高局面で1.7987レベルまで下落。その後は1.18ちょうど付近に落ち着いた。ユーロ円は123.90台から123.41レベルまで下落。ロシアが米大統領選に介入との報道など、リスク警戒の円買いにつながった面も。

 ロンドン市場では、ドル売り・円売りの動きが優勢。欧州株が堅調に推移しており、リスク選好ムードが広がっている。東京午前の米大統領候補討論会が前回のような混乱を招くことなく、政策論争となったことが安ど感を広げた。バイデン氏優勢の情勢には特段の変化はみられていない。ドル円はドル売りが先行し104.55レベルまで下押しされたが、その後は104.70台へと買い戻された。ユーロドルは1.18付近から1.18台半ばへと上昇。ユーロ円は123円台半ばから124円台乗せまで上伸し、東京午前の下げを解消。一方、ポンドは上に往って来い。ポンドドルは1.30台半ばから一時1.31台乗せも、その後は再び1.30台半ば付近へと押し戻されている。ポンド円も136円台後半から137円台乗せのあと、上げを消している。この日発表されたユーロ圏と英国のPMI速報値は、ユーロ圏が製造業で改善、非製造業で悪化となった。一方、英国はいずれも悪化しており、市場では対照的な結果と捉えたようだ。トラス英国際貿易相は、EUとの貿易交渉について、合意は達成可能だと前向き発言も、合意に至らなければトーストラリア型に向かうだろうと述べた。

 NY市場はドルの買い戻しが出て、ドル円は104円台後半まで戻した。一時104円台半ばまで値を落としていた。東京時間に行われた米大統領選のテレビ討論会は特に波乱もなく、有権者が投票行動を変える材料にはならなかったとの評価が多い。市場も特に反応は示していない。米追加経済対策の協議が続いており、市場は期待感を高めているが、11月3日の大統領選までに合意できなくても、相応の規模の対策が打ち出されるとの安心感は広がっている。そのような中で、きょうは静かな展開が見られており、ドル円も104円台半ばから後半にかけての緩やかな動きを続けている。買戻しは見られるものの、105円台には慎重。一方、下値警戒感は強まっているものの、きょうのところは試しに行こうという気配もない。週末にかけての米追加経済対策の協議の行方や、クライマックスに入っている米大統領選の動向を見極めたい雰囲気が強いようだ。

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MINKABU PRESS

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