ドル円は109円台前半での狭い範囲での上下動に終始=NY為替前半

配信元:みんかぶFX
著者:MINKABU PRESS
 ドル円は109円台前半での狭い範囲での上下動に終始している。米株と米国債にらみの展開が続いているが、前日は市場にリスク回避の雰囲気が強まり、ドル円も伸び悩む動きがみられた。本日はその雰囲気も一服しているが、ドル円が上値を積極的に追う雰囲気までは出ていない。この日発表の米経済指標が予想こそ下回ったものの、力強い内容の発表が相次いだ。4月のISM非製造業景気指数は予想を下回り、過去最高を記録した前回からやや一服したことが示されたが、景気判断の50はしっかりと上回っており、繰延需要が続いていることを示していた。

 市場はFRBがいつ慎重姿勢を転じるのか気掛かりとなっている。前日はイエレン米財務長官が景気過熱の抑制で金利上昇が必要になる可能性に言及したことに敏感に反応していた。長官はその後に「金利上昇を予想せず、推奨もせず」と火消しに回ったが、市場が神経質になっていることは明らか。ただ、米インフレが過度かつ継続的なオーバーシュートのリスクは低いとし、ドル上昇余地は限られるとの指摘も聞かれる。そのため、ドル円が大きく上振れる可能性は低いとの見方もあるようだ。

 この日はFOMCメンバーの発言が数多く伝わっていたが、慎重姿勢を堅持しており、インフレ上昇は利上げに十分などほど安定していないとの発言も聞かれた。

 ユーロドルは戻り売りが優勢となり、大きな心理的節目として意識されている1.20ドルを割り込んでいる。一方、1.19ドル台を下押しする動きまでは見られず、1.1995ドル付近で推移している状況。ただ、きょうの下げで21日線を下回って来ており、4月の上げの調整が強まるか、明日以降の動きが警戒される。200日線が1.1945ドル付近に来ており、目先の下値メドとして意識される。

 今週末に米雇用統計の発表が予定され、力強い内容が見込まれているが、予想通りの強い内容となった場合、米国債利回りの上昇が想定されるが、米国債の動きはユーロ債にも反映され、欧州債利回りをさらに上昇させる可能性も想定される。もし、欧州経済のパフォーマンスが正当化する以上に欧州債利回りが上昇すれば、ECBは何らかの対応策を取り、欧州経済の勢いが回復するまで、利回りを可能な限り低く保つように努める可能性があるとの見方も出ている。一方、欧州経済の回復が利回り上昇を正当化すれば、ECBは利回り上昇を容認するという。

MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

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