【来週の注目材料】弱めの経済指標が目立つ米国、景況感に注意~米PMI速報値

配信元:みんかぶFX
著者:MINKABU PRESS
【来週の注目材料】弱めの経済指標が目立つ米国、景況感に注意~米PMI速報値

 21日に5月の米購買担当者景気指数(PMI)が発表されます。ここにきて米経済指標は軒並み弱めの結果となっており、景況感の変化が注目されるところです。
 7日に発表された4月の米雇用統計は、非農業部門雇用者数(NFP)が事前見通しの100万人増に対して、わずか26.6万人増に留まりました。3月分の数字も大きく下方修正されたうえでの弱めの数字で、予想を下回る形の乖離幅としては記録的なものとなっています。
 今月に入って3日のISM製造業景気指数(4月)が3月分から上昇との期待に反して悪化。5日の同非製造業景気指数(4月)も3月分からの上昇期待に反して悪化。先週金曜日14日の小売売上高(4月)が小幅ながらプラス圏予想に対して横ばい。小売売上高のうち、変動の激しい自動車を除いたコア部分に至ってはマイナス圏に沈みました。また14日に発表された5月のミシガン大学消費者物価指数も4月からの上昇見込みに反して悪化するなど、厳しい数字が続いています。

 同系統の指標である4月の米ISMが弱かった一方、4月の米PMIは強めの数字となりました。製造業PMIは統計を開始した2007年5月以来、非製造業PMIは統計を開始した2009年10月以来の高水準を記録しています。

 速報を早めに出す関係上、同月の数字とは言え、ISMよりもPMIが少し早めの状況を反映している可能性があります。雇用統計や小売売上高などの弱い数字を導いた直近の状況が反映されるのは今回のPMIとなるかもしれません。

 ただ、事前予想は今回もしっかり。製造業PMIの予想は60.4と4月の60.5(速報値時点では60.6)とほぼ同水準となっています。非製造業PMIは64.7とこちらは4月の64.7(速報時点では63.1)と全くの同水準が見込まれています。

 好悪判断の基準は50.0です。米製造業PMIは昨年4月にパンデミックの影響で36.1まで低下した後、7月には50を回復し、その後は50を割り込むことなく前回60も超えてきました。同非製造業PMIは、パンデミックの影響がより強く出て、昨年4月には26.7とPMIとは思えないような数字まで低下。その後、製造業PMI同様に7月に節目の50を回復しました。そして前回64.7と、驚きの高水準を示しています。ともに4月の数字がかなり高いという印象だっただけに(その分市場の期待が広がり、雇用統計などの弱い結果にサプライズ感が大きくなった面も)、今回の数字への警戒感があります。事前予想前後の数字となり、今回も高い水準で変わらずとなると、直近の主要指標の弱さとの乖離が意識されてドル買いが進む可能性があります。

MINKABU PRESS 山岡和雅

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