為替相場まとめ1月17日から1月21日の週

配信元:みんかぶFX
著者:MINKABU PRESS
 17日からの週は、調整の動きが広がった。米国など主要国の株式市場が軟調に推移したことで、為替市場では円高やドル高の圧力がみられた。米金融当局の早期利上げ観測が再び相場を不安定にしている。3月利上げ開始が見込まれるなかで、0.5%幅の大幅利上げを予想する声もでていた。来週26日の米FOMC会合の結果発表を控えて、市場は神経質になっている。また、NY原油先物が一時87ドル台に上伸するなど、エネルギー価格の上昇がインフレ圧力となり、世界経済の回復に悪影響との見方も広がった。中国GDPは伸びが鈍っている。一方、オミクロン株の感染拡大が深刻化しているが、重症例が比較的少ないこともあって、各国で制限措置を緩和する方向性がみられた。各国の景気センチメント系指標にも改善の動きが散見された。ただ、市場のリスク警戒ムードを緩和させるには至らなかった。ドル円は一時115円台をつけたが、その後は113円台へと下押しされた。クロス円も円高圧力が優勢だった。ドル指数は反発している。


(17日)
 東京市場では、ドル円がしっかりとした値動き。先週末NY市場で113.50割れまで下落したあとは、114.20台まで反発して週末を迎えていた。週明けにはもう一段の買いが入り、114.50超え水準まで上昇。その後の下押しの動きは限定的。この後の米国市場がキング牧師の日で休場となる中、114円台半ばから上を積極的に試す勢いには欠けたが、底堅く推移している。ユーロドルは先週末の下落の動きが一服。1.14台割れでは買いが入り、1.1420前後へと小幅に買い戻された。豪ドル/ドルは午前の取引で0.7195近辺まで安値を広げたあとは、0.7200-10レベルを中心に揉み合った。中国の第4四半期GDPは前年比+4.0%と前回から鈍化したが、事前予想ほどの悪化でもなく反応しにくい結果だった。
 
 ロンドン市場は、円売りが優勢。ドル円はロンドン早朝に114.55レベルに高値を伸ばした。その後114.30近辺まで小反落も、再び114.50付近へと戻して高止まりに。クロス円も買われ、ユーロ円は130.82レベル、ポンド円は156.72レベル、豪ドル円は82.76レベルにそれぞれ高値を更新した。欧州株や米株先物は買われており、リスク警戒の動きは後退している。NY原油先物は東京時間に84.50ドル超え水準まで買われたあとは、84ドル台割れと上昇一服。しかし、カナダ円はロンドン時間に91.60近辺まで高値を伸ばす堅調な動き。ただ、このあとのNY市場がキング牧師の日のため休場となることから、円売りの動きにはやや調整が入っている。ドル相場は先週末のドル高水準からやや調整が入る場面があったが、足元では再びドル高の動きが優勢。ユーロドルは1.1430台まで買われたあとは、再び1.1410付近へと軟化。ポンドドルも1.3690近辺が重く、1.3650近辺へと下押しされている。

 NY市場は、キング牧師生誕の日のため休場。

(18日)
 東京市場で、ドル円は一時115円台を回復。注目された日銀金融政策決定会合は展望レポートで2022年の物価見通しを前回の0.9%から1.1%にへと上方修正。物価見通しの評価リスクについても前回までの下振れリスクが大きいとの表現を、概ね上下均等と修正。一定の前向き姿勢が示された。しかし、市場ではもう少し高い水準でへの物価見通しの修正を期待していたほか、全体的に緩和維持の姿勢が目立ったことで円売りに。さらに米債利回りの上昇がドル買いにつながった。ユーロドルはドル買いに押されて、1.14台前半での揉み合いを下放れると、1.1385近辺まで下落。ユーロ円は130.70台から131.20近辺まで上昇後、130.80近辺まで反落と上下動。

 ロンドン市場は、円買いとドル買いが優勢。欧州株や米株先物が下落、リスク警戒の動きに。東京時間には米10年債利回りが1.85%まで上昇。その後、米5-30年債利回り格差が昨年3月以来の縮小となるなど、米早期利上げ開始観測が根強いことが背景。ドル円は日銀の緩和継続姿勢を受けて東京市場で一時115.06レベルまで上伸したが、ロンドン時間に入ると売りに押され、114.50近辺まで押し戻された。ユーロ円は130.50割れ水準、ポンド円は一時156円台割れまで下落。ドル買い圧力もみられ、ユーロドルは1.1380台、ポンドドルは一時1.36台割れまで下落。黒田日銀総裁は決定会合後の会見で、利上げの議論はまったくしていない、と明言。9-11月英ILO失業率は4.1%へ一段と低下も、市場からは人手不足を懸念する見方もでていた。1月独ZEW景況感指数は51.7と前回の29.9から急回復。新型コロナ収束後の回復を期待する結果だった。
 
 NY市場では、ドル円が114円台半ばに下落。ドル買いが優勢となったものの、株安・円高の動きも強まり、ドル円は上値を圧迫された。米株式市場では取引開始前にゴールドマンが決算を発表し、トレーディング収益が予想外の減収となった。ゴールドマンの株価が下落し、全体的にも売りが広がった。ダウ平均は一時650ドル近く下落したが、先週のJPモルガンに引き続き、決算への反応が鈍く、米株式市場は警戒感を強めている模様。ドル円はリスク回避の円高が上値を圧迫した一方、米国債利回りが上昇しており、下押しする動きまでは出ていない。FRBの3月利上げ開始と、今年4回の利上げへの期待が特に高まっている状況。短期金融市場では3月に0.5%の大幅利上げを織り込む動きも一部出始めている。ユーロドルは1.14台割れから1.13台前半まで下落、21日線を下回った。ポンドドルも1.35台へと下落、3日続落となった。英中銀2月会合での追加利上げは織り込み済みとの見方があった。

(19日)
 東京市場では、ドル円が下落。前日のNY株式市場の下落を受けて、東京市場でも米株先物・時間外取引が続落、ナスダック先物は一時1%超安、ダウ先物は一時200ドル超安となった。日経平均も一時900円超安。リスク警戒の動きが強まった。ドル円は114.70台から114.20付近まで下落。ユーロ円は129円台前半へ、ポンド円は155.50割れ水準へと一段安。ユーロドルは1.13台前半での揉み合いとなり、前日海外市場でみられたドル買いの動きは限定的だった。

 ロンドン市場では、円買いの動きに調整が入った。ドル円は114円台前半から114.50台へと下げ渋り。ロンドン時間に入ると、米ダウ先物・時間外取引がプラスに転じる動きがみられ、リスク警戒の動きが緩和されたことに反応した。ユーロ円は129.40近辺の安値から130円手前まで反発、東京市場での下落をほぼ取り戻した。ユーロドルは1.13台前半から半ばへとじり高の動き。前日の下落に調整が入っている。米10年債利回りは一時1.9%超となったが、ドル買い圧力は限定的。むしろ、この時間帯は欧州債利回りの上昇がユーロ相場の下支えとなっていたようだ。

 NY市場では、ドル円が再び下落。114円台前半へと値を落とした。この日発表の米大手金融の決算を受けて、米株式市場が下げ一服で始まったことでドル円も買い戻しが見られていたものの、米株の上値は重く、下げに転じたことからドル円も上値が重い展開が続いた。ユーロドルは買い戻しの動きが優勢。1.13台半ばの21日線の水準での推移となった。ポンドドルは前日の1.35台から、きょうは1.36台へと下げ渋っている。市場の一部では3月FOMCで0.5%の大幅利上げを織り込む動きがでている。インフレ警戒の高まりが背景。しかし、いきなりの大幅利上げにはかなり無理があるとの見方も多い。これまで、利上げ開始時の大幅利上げは前例がなく、米当局は市場の動揺を回避するとの見方が強いようだ。

(20日)
 東京市場では、ドル円が114円台での振幅。午前の株安局面で114.03レベルと、大台割れ目前まで下落。しかし、その後は株に買い戻しが強まる中でドル円は114円台半ば超えまで一時上昇。日経平均は200円超安から一転して300円超高と上下動。米株先物も下落からプラス圏を回復と、次第にリスク選好の動きが広がった。ユーロ円は129.50台から130円に迫る動き。豪ドルが堅調。豪州雇用統計が強い内容だったことで、豪ドル円は82.30台から82.80台へと上伸。対ドルでは0.7200付近から0.7250超えまで買われる場面があった。

 ロンドン市場は、方向性に欠ける取引。米株先物が時間外取引で底堅く推移する一方で、欧州株は売買が交錯しておりはっきりとした流れを示していない。米10年債利回りは1.86%付近から1.83%付近へと上昇一服。ドル円は114.50付近が重く、114.20近辺まで一時下押し。その後は揉み合いに。ユーロ円はロンドン朝方に130.09レベルまで買われたあとは129.50台へと反落、東京市場での上昇を戻している。ユーロドルは1.1369レベルに高値を伸ばしたあとは、反転して1.1333レベルに安値を更新。ポンドドルは1.36台前半から1.36ちょうど付近、ポンド円は156円付近から155.40近辺へと反落。いずれも東京市場での上昇を消す動き。東京午前に強い豪州雇用統計を受けて買われた豪ドルも、対ドルで0.72台前半、対円で82円台後半で値動きが落ち着いた。トルコリラは中銀の政策金利据え置きで買いの反応を示している。

 NY市場では、取引終盤になってリスク回避のドル買いとなった。反発して始まった米株が、上げを維持できずに失速したことがドル買いを誘発したもよう。ドル円は序盤のドル売りで113円台に下落する場面があったが、終盤には114円台に戻した。ユーロドルは1.1350付近から1.13ちょうど手前まで下押しされた。ポンドドルは1.3660付近まで上昇したあと、終盤には1.3590付近まで反落。このところ、ドル自体は買い戻しの動きをみせているが、来週26日のFOMC結果発表に向けてドル売りに押される可能性が指摘されている。短期的にはG10通貨に対して過大評価されているとの分析があった。また、ユーロに関しては賃金上昇が今後の利上げ開始時期を早めるとの見方がでていた。ポンドにとっては、ジョンソン英首相のロックダウン期間中のパーティーが問題視されているが、政治不安にはポンドは反応薄。インフレ高進を背景とした、英中銀追加利上げが下支えに。

(21日)
 東京市場では、円高の動きが先行。前日の米株安を受けて、日本株やアジア株が売りに押された。市場では3月の米利上げ開始が織り込まれており、さらに0.5%の大幅利上げ観測もでている。一部には各国で連鎖的な利上げが始まることを警戒する声も出始めている。ドル円は113.63レベルまで一時下落。クロス円もユーロ円が128.56レベル、ポンド円が154.45レベルまで下押しされた。午後には株式がやや下げ渋りとなっており、円高の動きも一服。ただ、戻りは前日終値には届かず限定的に。

  ロンドン市場は、ドル円が一時114円台を回復。東京市場での下落から反発した。クロス円ではユーロ円が堅調。129円台前半へと一時上昇。前日NY市場で大幅下落となった原油先物が下げ渋ったことに反応したようだ。しかし、欧州株は軟調に推移しており、前日の米株下落の影響が残った。米株先物は時間外取引で引き続きマイナス圏推移。ダウ先物がプラスに転じる場面があったが、反発力は鈍い。全般にリスク警戒ムードが続くなかで、取引中盤にかけてはドル円やユーロ円も上値が重くなっている。ドル円は113円台後半、ユーロ円は129円台割れへと押し戻されている。ポンド単体での売り圧力もみられた。この日発表された英小売売上高が予想以上に落ち込んだことで、ポンドが各通貨に対して弱含んだ。対ドルでは1.35台半ばへ、対円では154円台前半へと下落。ユーロポンドは0.83台後半へと上昇。豪ドルやカナダドルは前日に下落した後の安値圏で売買が交錯している。原油の下げ渋りも株安が重石となっている。

 NY市場は、朝方に株安の動きから円買いが強まり、ドル円は113円60銭前後へ。その後株安一服局面で少し買い戻しも、株が結局大きく下げたこともあり、上値の重い展開が続いた。もっとも来週のFOMCなどをにらんで113円台半ばからを積極的に売り込む勢いも見られず、NY市場午後はもみ合いに。ドル安基調の中で朝方1.1360前後まで上昇したユーロドルが1.1340台で膠着となるなど、次の流れを見極めたいという動きに。

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