石油週間見通し=80ドルの節目が視野、中東情勢が引き続き焦点

配信元:MINKABU PRESS
著者:MINKABU PRESS
【前週のレビュー】ニューヨーク原油3月限は71.41ドルで押し目底を付けた後、
76.59ドルまで戻り高値を更新。前回の戻り高値79.29ドルから押し目底まで
の下げ幅の61.8%戻し(76.28ドル辺り)をすでに達成しており、目先の上値
メドは78.6%戻しの77.60ドル、全値戻しの79.29ドルになるとした。

【NY原油78.6%戻し達成】
 ニューヨーク原油はさらに戻り高値を更新する展開となった。3月限は20日に納会
するため、4月限が指標限月となるが、14日に78.43ドルの戻り高値を付けた。
その後いったん下振れしたものの、15日に77ドル台まで戻して、本稿執筆時の16
日午後には78ドル台に乗せている。
 1月29日の高値79.09ドルから2月5日の安値71.49ドルまでの下げ幅の
78.6%戻し(77.46ドル辺り)をすでに達成しており、全値戻しの79.09
ドル、それを抜けると80ドルの節目、さらには1.618倍戻しの83.79ドル辺
りまで上値余地が拡大する
 日柄的には、全値戻し水準を抜けた場合は上げ足を加速して、満月の24日(土曜で
取引なし)辺りまで上値を伸ばすようなシナリオが描ける。

 材料的には、引き続き中東地域の地政学的リスクが懸念材料。イスラエル軍が避難民
で人口が140万人に膨れ上がっているガザ南部のラファの空爆を12日から開始して
おり、地上侵攻が迫っている、バイデン米大統領は11日にイスラエルのネタニエフ首
相と電話会談しラファへの地上侵攻に懸念を伝えた。また国際司法裁判所(ICJ)は
1月26日にイスラエルに対しガザ地区住民の大量虐殺(ジェノサイド)を防ぐため、
あらゆる手段を尽くすよう暫定措置を命じたが、この国はどこ吹く風で大量虐殺を続け
ている。ただ本格的なラファ地上侵攻が始まっても、原油の供給に大きな懸念が生じる
ことはないため、原油がどこまで強気の反応を占めすか不透明だ。むしろ有事のドル買
い的な動きは逆に上値抑制要因となり得る。ただ目先は材料云々よりチャート要因が先
行する可能性もあろう。

 原油供給面では、イエメンの武装組織のフーシ派の紅海運航船攻撃の長期化の方がよ
り厄介だろう。ドローンをイスラエルに提供して親イスラエルを鮮明にしているインド
の船舶も今後狙われそうだ。
 また米軍が7日、イラクで武装組織カタイブ・ヒズボラの司令官を殺害したことで、
イラクの反米勢力が猛反発していることも見逃せない。同国は日量430万バレルと、
同299万バレルのイラン以上の産油大国であり供給障害が生じれば原油急騰につなが
る。

 外部要因を見ると、ニューヨークダウ平均株価は引き続き3万8000ドル台後半の
の過去最高値圏で推移。
 ドルインデックスは一段高で104ポイント台後半まで戻り高値を更新したが、直近
は104ポイント台前半までやや軟化している。

【米国原油在庫、前週比1201.8万バレルの急増=EIA週報】
 米国内に目を移すと、直近の米エネルギー情報局(EIA)の週報で、原油在庫が前
週比1201万8000バレル増の4億3945万バレルとなったことが目立った。前
日に発表された米石油協会(API)の週報でも同852万バレル増と大幅増となって
いた。これで3週連続での増加だが、製油所の定期修理シーズンで稼働率が80.6%
まで低下していることがその背景にあり、製品在庫は逆に大幅減なっている。ガソリン
在庫は同365万8000バレル減の2億4733万バレル、留出油在庫は同191万
5000バレル減の1億2566万バレルだった。
 原油在庫の増加傾向がどこまで続くのか来週以降も注目したい。

【東京原油、ガソリンのテクニカル分析】
 東京原油の6番限である7月限は15日の高値で一時ボリンジャーバンドの2シグマ
(7万4110円辺り)を上抜けたがその日に反落して陰線引け。ただ16日には再す
ぐに陽線を引き、まだ高値更新の可能性を残している。
 ガソリン先限は名目値で8万1000円の横ばい。

【NY原油のテクニカル分析】
 ニューヨーク原油4月限は戻りも14日には78.43ドルとボリンジャーバンドの
2シグマ(78.94ドル辺り)に届かずにいっんた反落したが、21日移動平均線で
もあるボリンジャーバンドの中心線(75.40ドル辺り)に支持されて戻しており、
まだ高値更新も十分に期待できる形。


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