【前週のレビュー】ニューヨーク原油5月限は1.618倍戻しの83.30ドルを上 抜けると、次の上値目標は2倍戻しの86.08ドルとなるが、その前に昨年の高値で ある84.87ドルや85ドルの節目が意識されることになろうとした。 【NY原油は戻り高値更新で87ドル台到達】 ニューヨーク原油5月限は結局、4日に87.22ドルまで上昇し、前回の当欄で上 値目標とした2倍戻しの86.08ドルを大きく上回って来た。3日に86.20ドル の高値を付けたあと、4日には一時84ドル台半ばまで修正安となったことで、この2 倍戻しで目先の天井を付けた可能性も浮上していたが、イスラエルとイランの軍事的緊 張の高まりや、ブリンケン米国務長官がウクライナの北大西洋条約機構(NATO)加 盟がいずれ実現すると発言するなどロシアとの対立を鮮明にしたことで、米国の時間帯 後半に再び大きく切り返した。本稿執筆時の5日午後には86ドル台後半で推移してい る。 5月限自体では既に昨年の高値を上抜けて、一代高値を更新する展開が続ているた め、期近つなぎ足ベースで見るが、次の上値目標は昨年9月28日の高値95.03ド ルから12月12日の安値67.71ドルまでの下げ幅に対し78.6%戻しに当たる 89.18ドルとなる。その上は90ドルの節目、さらに全値戻しとなる95.03ド ルとなるが、仮にイスラエルとイランが交戦状態になったり、さらにロシアとNATO の緊張が高まったりした場合はそれでは収まらず2022年以来の100ドル台乗せの 可能性も十分にありそうだ。 材料的には、中東情勢ではイスラエルが1日にシリアのダマスカスにあるイラン大使 館を空爆して死者を出して各国から激しい非難を受けているが、イランも報復攻撃を示 唆する一方、イスラエルも攻撃された場合は反撃するとしており、まさに一触即発の状 況となっている。 ロシア・ウクライナの軍事衝突に関しては、3〜4日にかけて実施されたNATO外 相会合で、ストルテンベルグ事務総長がウクライナへの長期的な軍事支援(5年間で約 1000億ユーロ)を行うことを提案したが、ハンガリーなどが反対している。またブ リンケン米国務長官がウクライナのNATO加盟がいずれ実現するとしたものの、具体 的な道程は示さなかった。 3日のOPECプラスの合同閣僚監視委員会(JMMC)会合では、減産を確認する だけにとどまり予想通りでサプライズはなかった。 外部要因を見ると、ニューヨークダウ平均株価は3万8000ドル台半ばまで下落し て、過去最高値圏からの反落基調になりつつある。 ドルインデックスは103ポイント台後半で下げ止まり再び104ポイント台に乗せ て再び戻り基調になりつつある。 【米国、原油在庫は増加もガソリン需要は旺盛】 米国に目を移すと、直近の米エネルギー情報局(EIA)の週報では、原油在庫が前 週比321万バレル増の4億5142万バレルとなっていたが、石油製品在庫はガソリ ンが同425万6000バレル減の2億2782万バレル、留出油在庫が同126万 8000バレル減の1億1607万バレルとともに減少していた。とくにこれから需要 期に向かうガソリン在庫の減少幅が大きくなっている。ガソリン需要は日量923万 6000バレルと旺盛だ。 【東京原油、ガソリンのテクニカル分析】 東京原油の6番限である9月限は7営業日連続の陽線引けで一代高値を更新中。上昇 中のボリンジャーバンドの1シグマ(7万7680円辺り)と2シグマ(8万0430 円辺り)の間でのバンドウォークを続けている。 ガソリン先限は3日に名目値で2000円上昇した後は8万3000円の横ばい。 【NY原油のテクニカル分析】 ニューヨーク原油5月限は急上昇中のボリンジャーバンドの2シグマ(86.43ド ル)に沿って高値を更新する展開。高値は87.22ドルまであった。ただ14日のR SI(相対力指数)が74まで上昇して、目先の買われ過ぎ感も強まっている。 MINKABU PRESS *投資や売買については御自身の判断でお願いします。
みんなの株式をはじめ、株探、みんかぶFX、みんなの仮想通貨など金融系メディアの 記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコン テンツなど幅広く提供しています。