金・銀週間展望=堅調、米大幅利下げ観測後退も押し目買い

配信元:MINKABU PRESS
著者:MINKABU PRESS
             [10月7日からの1週間の展望]
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   週間高低(カッコ内は日)   2025 年  8 月限  9 月 30 日〜 10 月 4 日
        始 値   高 値    安 値    帳入値   前週末比
  金          12,301    12,610 ( 3)   12,112 ( 1)     12,554         -15
  銀           146.9     149.0 ( 3)    146.9 (30)      149.0        -0.9
 プラチナ       4,610     4,746 ( 3)    4,468 ( 1)      4,714          +9
 パラジウム     4,700     4,700 (30)    4,700 (30)      4,700        -200
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  NY貴金属(カッコ内は限月)      | 東京外為・株式/NY原油
         4  日終値  前週末比  |        終 値      前週末比
  金       (12) 2,667.8      -0.3   | ドル・円    146.04      0.14 円高
  銀       (12) 3,239.4     +57.8   | 日経平均  38,635.62      -1193.94
 プラチナ   ( 1) 1,001.7     -20.3   | NY原油 (11)  74.38         +6.20
 パラジウム (12)   998.50    -24.90  |* ドル・円は15時15分現在、原油は  4日
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【前回のレビュー】
 金は米連邦準備理事会(FRB)の大幅利下げが続くとの見方や中東情勢に対する懸
念が支援要因、とした。
 金はパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の利下げを急がない姿勢を受けて大幅
利下げ観測が後退したが、中東情勢に対する懸念などを受けて押し目を買われた。現物
相場は2626.38ドルで押し目を買われた。金先限は7月17日以来の高値1万
2610円を付けた。
 8月の米個人消費支出(PCE)価格指数は前年比2.2%上昇と前月の2.5%上
昇から伸びが鈍化した。2021年2月以来の低水準となった。一方、9月の米ミシガ
ン大学消費者信頼感指数確報値は70.1と速報値69.0から予想以上に上方修正さ
れ、4月以来で最高となった。9月の米ISM製造業景気指数は47.2と前月から横
ばいとなり、節目となる50を6カ月連続で下回った。米ISM非製造業総合指数は
54.9と前月の51.5から上昇し、約1年半ぶりの高水準となった。9月の全米雇
用報告によると、民間部門雇用者数は14万3000人増と事前予想の12万人増を上
回った。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は、経済が概ね予想通りに発展すれ
ば、政策は時間の経過とともにより中立的な姿勢へと移行するとの見解を示した。利下
げを急がない姿勢が示され、大幅利下げ観測が後退した。CMEのフェドウォッチで、
11月の25ベーシスポイント(bp)利下げの確率は67.4%(前週50.7%)
となった。
 イスラエル軍は28日、レバノンの首都ベイルート南部にある親イラン民兵組織ヒズ
ボラ本部を空爆し、指導者ナスララ師を殺害したと発表した。イランの最高指導者ア
リ・ハメネイ師は声明を発表し、中東の親イラン勢力「抵抗の枢軸」の報復で、イスラ
エルに「壊滅的な打撃」を与えると予告した。またイスラエルがレバノンでの地上作戦
を開始すると、イランは報復攻撃でイスラエルに向けて約200発のミサイルを発射し
た。イスラエルは、イランの攻撃が「重大な結果をもたらす」として、報復を示唆し
た。バイデン米大統領は、イスラエルが報復としてイランの石油施設を攻撃することを
支持するかという記者団からの質問に対し「議論しているところだ」と応じた。
【金ETF残高は増加】
 世界12カ国に上場している金ETF(上場投信)の現物保有高は3日時点で
1067.48トンとなり、前週末比5.43トン増加した。米国で5.47トン、オ
ーストラリアで0.06トン増加、英GBSで0.07トン、英ETFSで0.04ト
ン減少した。米連邦準備理事会(FRB)の利下げ見通しや中東情勢に対する懸念を受
けて投資資金が流入した。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告に
よると、9月24日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは31万5390枚
となり、前週の31万0066枚から拡大し、2020年3月以来の高水準となった。
今回は新規買いが1万7838枚、新規売りが1万2514枚出て5324枚買い越し
幅を拡大した。
 自民党総裁選で石破氏が勝利したことを受けて円高が進み、1ドル=141円台半ば
を付けた。増税に対する懸念を受けて日経225先物が急落した。ただ石破首相が2
日、日本銀行の金融政策について、現在、追加の利上げをするような環境だとは思って
いないと述べると、円高が一服した。日銀の植田和男総裁との会談後に語った。米IS
M非製造業総合指数の上昇も円安要因となり、146円台後半まで円安に振れた。金先
限は上場来高値1万2679円を試す可能性がある。
【銀は米利下げ見通しや金堅調が支援】
 銀の現物相場は米連邦準備理事会(FRB)の利下げ見通しや金堅調を受けて
30.90ドルで押し目を買われた。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の利下
げを急がない姿勢を受けて大幅利下げ観測が後退したが、11月は25ベーシスポイン
ト(bp)利下げが見込まれている。また中国の景気刺激策に対する期待感から国慶節
明けの香港株が上昇したことも支援要因である。8日に再開される中国市場の動向も確
認したい。
 3日のニーヨークの銀ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比148.96トン
減の1万4487.30トンとなった。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建
玉明細報告によると、9月24日時点のニューヨーク銀の大口投機家の買い越しは6万
2198枚となり、前週の5万8298枚から拡大した。新規買いが新規売りを上回っ
た。
当面の予定(イベント・経済統計)
 7日 ●オーストラリア(勤労感謝の日)、中国(国慶節)
    独製造業受注 2024年8月(経済技術省)
    ユーロ圏小売売上高 2024年8月(EUROSTAT)
 8日 全世帯家計調査・消費支出 2024年8月(総務省)
    国際収支(経常収支) 2024年8月(財務省)
    独鉱工業生産指数 2024年8月(経済技術省)
    米貿易収支 2024年8月(商務省)
 9日 政策金利公表(NZ準備銀行)
    独貿易収支 2024年8月(連邦統計庁)
    米卸売在庫 2024年8月確報値(商務省)
    米FOMC議事録公表 9月17-18日(FRB)
10日 企業物価指数 2024年9月(日本銀行)
    米新規失業保険申請件数(労働省)
    米消費者物価指数 2024年9月(労働省)
11日 ●香港(重陽節)
    独消費者物価指数 2024年9月確報(連邦統計庁)
    英貿易収支 2024年8月(国立統計局)
    英鉱工業生産指数 2024年8月(国立統計局)
    米生産者物価指数 2024年9月(労働省)
    米消費者信頼感指数 2024年10月速報値(ミシガン大)
    建玉明細報告(CFTC)
MINKABU PRESS 東海林勇行
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