欧州株高などで円売り優勢、ポンドは賃金の伸びで買われる=ロンドン為替概況

配信元:みんかぶFX
著者:MINKABU PRESS
欧州株高などで円売り優勢、ポンドは賃金の伸びで買われる=ロンドン為替概況

 11日のロンドン市場は、円売りが優勢。欧州株や米株先物が堅調に推移しており、米債利回りも上昇。リスク警戒感が後退していることが背景。ドル円は108円台半ばでサポートされると108.74レベルと前日高値を上回った。クロス円も総じて堅調。ユーロ円は123円台乗せ、ポンド円は138円台乗せとなった。この日発表された英ILO雇用統計で賃金の伸びが予想ほど鈍化しなかったことを受けてポンド買いの動きが広がった。ポンドドルは1.26台後半から一時1.2728レベルまで上昇。その後はNY市場での米生産者物価指数の発表を控えてドル買いに押し戻されたが、ロンドン序盤の上昇は維持している。一連の英金融当局者らの議会証言では、EU離脱に焦点が当てられている。秩序だった離脱では想定より早く利上げが行われる可能性が指摘される一方で、合意なき離脱で明確な景気落ち込みがみられた場合には緩和の可能性があるとした。ただ、現時点では5月のインフレ報告の見通しにおおむね同意するとしていた。

 ドル円は108円台後半での取引。東京市場で上昇した流れを受けて一段高となった。いったん108.50台まで反落したが、その後は欧州株や米株先物が堅調に推移、米10年債利回りが2.17%台に上昇する動きとともに買われた。一時108.74レベルと、前日高値を上回った。

 ユーロドルは1.13台前半での取引。序盤に1.1332レベルまで買われたあとは、1.1310-20レベルに戻しての揉み合い。値動きは限定的だった。ユーロ円は122円台後半からじり高となり123.09レベルまで買われた。序盤は対ポンドで堅調だったが、その後は売られており、ユーロ買いの動きは鈍っている。レーン・フィンランド中銀総裁は、必要であればフォワードガイダンス強化、利下げ、QE再開もとの認識が示された。一方、イタリア政府はEUによる制裁手続きを回避する方針を発表。今年の財政赤字をGDP比2.1%程度に圧縮するとしている。イタリア債は買われており、市場の警戒感は後退している。

 ポンドドルは1.27近辺での取引。1.26台後半での揉み合いから1.27台に乗せた。2-4月期の英ILO雇用統計で週平均賃金の伸びが前年比+3.1%と予想ほど鈍化せず、雇用者数も予想を上回ったことがポンド買いにつながった。高値を一時1.2728レベルまで伸ばしている。ただ、NY勢の参加を控えて再び1.27台割れと調整されている。ポンド円は137円台後半から一時138.33近辺まで買われた。その後は上昇一服も138円ちょうど付近までと下押しは限定的。対ユーロではポンド買いが優勢になっている。ブロードベント英中銀副総裁などの議会証言では、秩序立った離脱であれはより早期の利上げの可能性が指摘される一方で、合意なき離脱で明確な景気落ち込みがあれば緩和方向に傾くとの認識が示されている。ただ、5月の四半期インフレ報告の内容に同意するとしており、英中銀の見方に目立った変化はみられていないようだ。
  
minkabu PRESS編集部 松木秀明

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