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ゴム価格を動かす要因

世界の需給(全体像)

OSEで取引されているゴムは「天然ゴム」です。ですから、天然ゴムの需要と供給を知る必要がありますが、それだけではありません。天然ゴム同様にさまざまなゴム製品の原料となっている「合成ゴム」の動向も重要ですし、その合成ゴムの原料である石油(ナフサ)価格の動向からも目が離せません。
天然ゴムの生産は、タイ、インドネシア、ベトナム、マレーシアの東南アジア4か国だけで世界の約75%を占めています(※1)。しかも天然ゴム生産は一部の地域に偏っているため、その地域の気象変化が生産量の増減に大きな影響を及ぼします。事実、想定外の気象変化が生産減を招き、急激な価格上昇につながったケースは過去に何度もあります。
一方、需要面はゴム製品がどれだけ売れるのかにかかっていますが、それは世界や地域の景気動向と密接にリンクしています。例えば、天然ゴムの最大の用途は自動車タイヤですが、先進国はもとより、多くの人口を有する中国やインドに代表される新興国で自動車需要が高まれば、天然ゴム価格にとっては値上がり要因として作用するものと予想されます。

(※1)2013年、国際ゴム研究所調べ

世界の天然ゴム消費 世界の天然ゴム生産

日本の需給

日本は天然ゴムの100%を輸入に依存しており、そのうちの8割強を自動車タイヤの生産に使用しています。このためゴム価格は、国内の景気動向だけでなく、東南アジアの生産動向や世界的な需給の影響を受けやすい構図になっています。
国内の需給状況を測るうえでは、日本ゴム輸入協会が10日ごとに発表する「天然ゴム営業倉庫在庫推移」が知られています。またOSEも指定倉庫の入庫、出庫、在庫等のデータを公表しています。このほかにも財務省関税局の「貿易統計」、経済産業省の「ゴム製品統計」、日本自動車協会の「自動車タイヤ・チューブ生産、出荷、在庫実績」、日本ゴム輸入協会の「月別天然ゴム輸入統計」などがあります。

全国営業倉庫生ゴム在庫の推移

季節的変動要因

天然ゴムは一年を通して生産されていますが、世界最大の生産国であるタイでは、生産量は2月後半から春にかけての乾季(ウィンタリング=落葉期または減産期)に減少します。それとは対照的に、雨季にあたる10月から翌年2月中旬ころにかけては大増産期となり、生産量は増加します。しかし、年によっては雨季と乾季の到来にずれが生じると生産量が増減するため、需給バランスが崩れることも少なくありません。このため主産地の天候からは目が離せませんし、特に異常気象には注意が必要です。

タイの生産周期

自動車生産

ゴムの基本的な需要は自動車の生産・販売台数に左右されます。特に天然ゴムは7割以上がタイヤの生産に使われていますから、その影響は重大です。
自動車の生産・販売をけん引するのは世界の景気です。経済の伸張に応じて生産・販売台数も増減しますが、いまや世界最大の自動車生産国・天然ゴム消費国となった中国の動静は見逃すことができません。もちろん世界第2と第3の自動車生産国である米国と日本の景気も大きな要因です。こうした観点からいうと、タイヤメーカーや自動車メーカーの株価とゴム先物価格の関係を調べるのもおもしろいかも知れません。

世界の自動車生産台数推移

為替との関係

日本の需要の多くを占めるタイおよびインドネシア産の天然ゴムは米ドル建てで提示された現物価格(オファー・プライス)で成約されますが、日本に輸入される際には、為替決済されるため円建てになります。このため輸入価格は、産地のオファー価格と米ドル・円相場の変動の影響を受けます。
OSEのゴム相場動向を見るとき、為替相場が米ドルに対して円安になれば上昇要因となり、逆に円高になれば下落要因となります。

石油との関係

石油価格が高くなるとゴム価格は上昇し、逆に石油安になるとゴム価格は下落する傾向があります。その理由は、合成ゴムが石油製品のナフサから作られているためです。一般的に、原油や石油製品価格が上昇すればナフサも高くなり、必然的に合成ゴムの価格も上昇します。しかし合成ゴムの価格が上昇しすぎると天然ゴムの割安感が強まり、天然ゴムの需要が増え、結果として天然ゴムの価格上昇につながります。もちろん石油の価格が下がれば、その逆の現象が起きる要因となります。