プラチナ週間展望=軟調、米利下げ観測後退や中国経済の先行き懸念で

配信元:MINKABU PRESS
著者:MINKABU PRESS
             [1月22日からの1週間の展望]
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   週間高低(カッコ内は日)   2024 年 12 月限  1 月 15 日〜 1 月 19 日
        始 値   高 値    安 値    帳入値   前週末比
  金           9,513     9,666 (19)    9,500 (15)      9,666         +164
  銀           110.0     110.9 (15)    109.8 (19)      109.8         +2.2
 プラチナ       4,276     4,355 (19)    4,206 (18)      4,346          +71
 パラジウム     4,700     4,700 (15)    4,500 (19)      4,500         -200
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  NY貴金属(カッコ内は限月)      | 東京外為・株式/NY原油
        18  日終値  前週末比  |        終 値      前週末比
  金       ( 2)2,021.6      -30.0   | ドル・円    148.70      3.58 円安
  銀       ( 3)2,280.7      -52.2   | 日経平均  35,963.27       +386.16
 プラチナ   ( 4)  912.0       -9.1   | NY原油 ( 3)  73.95         +1.16
 パラジウム ( 3)  944.00     -34.50  |* ドル・円は15時15分現在、原油は 18日
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【前週のレビュー】
 プラチナは予想以上の米経済指標が圧迫、とした。
 プラチナは米連邦準備理事会(FRB)の利下げ観測後退や中国経済の先行き懸念を
受けて売り優勢となったが、中東の緊張の高まりによる金堅調を受けて下げ一服となっ
た。現物相場は昨年11月14日以来の安値879.10ドルを付けた。プラチナ先限
は昨年12月8日以来の安値4206円を付けた。一方、パラジウムの現物相場は
2018年8月以来の安値902.50ドルを付けた。
 12月の米生産者物価指数(PPI)は前月比0.1%下落し、事前予想の0.1%
上昇に反して下落した。財(モノ)の価格が下落する一方、サービスの価格は変わらず
となった。一方、12月の米小売売上高は前月比0.6%増と、事前予想の0.4%増
を上回った。自動車の販売やオンライン売上高が好調だった。米新規失業保険申請件数
は1万6000件減の18万7000件と2022年9月以来の低水準となった。事前
予想は20万7000件だった。CMEのフェドウォッチで米連邦準備理事会(FR
B)の3月利下げ確率は55.7%(前週70.2%)に低下した。ただ年末まで
150ベーシスポイント(BP)利下げを織り込んでおり、利下げ期待は行き過ぎてい
る。ウォラー米FRB理事は、FRBが2%とするインフレ目標の達成は「射程圏内」
にあるとの見方を示しながらも、インフレ率の低下が持続すると明確になるまで利下げ
を急ぐべきでないと述べた。また米アトランタ地区連銀のボスティック総裁は、インフ
レ率が予想よりも迅速に低下しているという「説得力のある」証拠が今後数カ月で得ら
れれば、自身の従来想定(第3四半期)より早期の利下げに前向きだと述べた。
 イエメンの親イラン武装組織フーシ派が発射した対艦弾道ミサイルが15日、米国が
所有・運航を手掛けるマーシャル諸島船籍のコンテナ船に直撃した。バイデン米政権
は、フーシ派を「特別指定国際テロリスト(SDGT)」に再指定した。米軍は16日
にフーシ派の対艦弾道ミサイル4発、18日に対艦ミサイル2発に対する攻撃を行っ
た。原油タンカーが紅海南部の航行を回避したことが伝えられており、フーシ派の動向
を引き続き確認したい。
【NYのパラジウムETF残高が増加】
 プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、11日のロンドンで12.16トン、
18日のニューヨークで31.02トン(前週末31.02トン)、17日の南アで
11.89トン(同11.89トン)と変わらずとなった。またパラジウムETFの現
物保有高はロンドンで3.63トン、ニューヨークで6.43トン(同6.00トン)
に増加、南アで0.36トン(同0.36トン)と変わらずとなった。ニューヨークの
パラジウムETFの残高が増加した。1000ドル割れで安値拾いの買いが入った。一
方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、1月9日時点のニュ
ーヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは2万3541枚(前週2万9039枚)
に縮小、パラジウムの売り越しは9472枚(同8155枚)に拡大した。
【上海株が3年9カ月ぶりの安値】
 第4四半期の中国の国内総生産(GDP)は前年比5.2%増加した。第3四半期の
4.9%から加速したが、事前予想の5.3%増を下回った。不動産危機の悪化、デフ
レ圧力の高まり、需要低迷が背景にある。昨年の成長率は5.2%で事前予想と一致し
た。12月の鉱工業生産は前年比6.8%増加し、前月の6.6%から伸びが加速し
た。事前予想の6.6%を上回った。一方、小売売上高は同7.4%増加し、前月の
10.1%増から鈍化した。事前予想は8.0%増。新築住宅価格は前月比0.4%下
落と約9年ぶりの大幅な下落率を記録した。中国首相は18日、政府は経済成長を回復
させるために「大規模」な景気支援策に頼ることはないと発言した。上海株が急落し、
3年9カ月ぶりの安値を付けた。中国経済の先行き懸念が残ると、プラチナの上値を抑
える要因になりそうだ。
 欧州自動車工業協会(ACEA)によると、昨年12月の欧州連合(EU26)の新
車(乗用車)登録台数は前年同月比3.3%減の86万7052台となった。2022
年12月の登録台数が高水準となった反動が出た。昨年は前年比13.9%増の
1054万7716台となった。バッテリー電気自動車のシェアは14.6%に達し
た。
当面の予定(イベント・経済統計)
22日 金融政策決定会合(日本銀行、23日まで)
    米景気先行指数 2023年12月(カンファレンスボード)
23日 総裁記者会見(日本銀行)
24日 貿易収支 2023年12月速報(財務省)
    ユーロ圏製造業購買担当者景況指数 2024年1月速報(Markit)
    ユーロ圏サービス業購買担当者景況指数 2024年1月速報(Markit)
    政策金利発表(カナダ銀行)
25日 独景況感指数 2024年1月(ifo)
    理事会結果公表(ECB)
    米国内総生産 2023年10-12月期速報値(商務省)
    米卸売在庫 2023年12月速報値(商務省)
    米耐久財受注 2023年12月速報値(商務省)
    米新規失業保険申請件数(労働省)
    米新築住宅販売 2023年12月(商務省)
26日 ●オーストラリア(オーストラリアの日)
    金融政策決定会合議事要旨公表 12月18-19日分(日本銀行)
    米個人所得・支出 2023年12月(商務省)
    米中古住宅販売仮契約指数 2023年12月(全米不動産協会)
    建玉明細報告(CFTC)
MINKABU PRESS 東海林勇行
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