コモディティレポート(金)

配信元:MINKABU PRESS
著者:MINKABU PRESS
【米消費者物価指数の低下で金市場はさらに弾みがつくか】
 NY金6月限は5月9日から10日にかけて浮上し、一時2385.30ドルまで値
を伸ばした。その後、発表された米生産者物価指数(PPI)が予想を上回る伸びを見
せたことでインフレ高止まり警戒感が強まった。しかし15日に発表された4月の米消
費者物価指数(CPI)の前年同月比が3か月振りに前月を下回る+3.4%にとどま
ったことでインフレ高止まりに対する警戒感は和らいでいる。
 変動が激しいエネルギーと食品を除いたコアCPIの前年同月比も事前予想に一致す
る+3.6%となったうえ前月の+3.8%を下回り2021年4月以来の水準まで低
下した。前月比も+0.3%で6か月振りの鈍化となったことは、物価上昇率そのもの
は米連邦準備理事会(FRB)の目標を上回る水準にあるが、伸び率は鈍化傾向にある
と見られる。
 この報告を受けてNY金6月限は2396.1ドルの高値まで値を伸ばしたうえ、終
値ベースでも30ドルを超える上げ幅を記録して2390ドル台を記録するなどの急伸
となっている。インフレ率が鈍化傾向を見せたとの見方がFRBによる9月利下げ着手
期待を高めたことが背景となった。
 なお、CMEのFedwatchによると、9月利下げ着手を見込む比率は前日の6
5.1%から75.3%へと上昇している。
 とはいえ、インフレ高止まりに対する懸念が完全に払しょくされたわけではない。と
いうのも、家賃を含むシェルター部門は前月比で+0.4%を記録し、コアCPIを引
き上げる最も大きな要因となったうえ、前年同月比では+5.5%と依然として高い伸
び率を記録しているからだ。

 米国では低迷していた中古住宅販売価格は今年に入ってから400万件を上回る状態
が続き、引き締まっていた供給に若干の緩和傾向が見られる。また、新築住宅販売件数
も増加傾向にあることから、住宅不足を背景とした家賃の上昇も緩和に向かうことが期
待される状況にある。
 ただ実際に家賃が緩和に向かうかどうかについては状況を確認する必要があり、FR
Bが実際に利下げ着手に動くためには継続的な低下が見られた場合になってきそうだ。
 また、その他のサービス部門の項目でも運送サービスが前年同月比で+11.2%、
医療ケアが同+2.7%といずれも伸びを示している点にも注意が必要だろう。

 5月に入って発表されている雇用統計は米国の雇用情勢の軟化を示す内容が続いてい
るため、今後はこの雇用情勢の軟化が賃金に反映されることが予想される。雇用の軟化
が一時的な動きにとどまる可能性も現時点では否定できない。
 そのため、確実性を高めるためにもFRBは利下げ着手に至るまでに今後の雇用情
勢、消費の動向を注視していく姿勢を崩すことはないと見られるが、今後の米インフレ
率の低下や米FRBによる利下げ着手期待を強める要因になり得るだけに、市場では利
下げ着手の可能性を先取りする動きが続くと予想され、再び高値を更新する可能性も高
まっていると見られる。
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