コモディティレポート(金)

配信元:MINKABU PRESS
著者:MINKABU PRESS
【NY金市場は一進一退の動きが続くも次第に上向くか】
 NY金市場では依然として米雇用情勢や米経済の動向、米金融政策に対する思惑を中
心にしての高下が続いている。5月上旬から下旬にかけては米雇用情勢軟化の可能性
や、4月消費者物価指数(CPI)の伸び悩みを受けたディスインフレ期待が米利下げ
着手観測を高めたことが買いを支援した。
 その後は、4月30日から5月1日にかけて開催された米公開市場委員会(FOM
C)の議事録において本FOMCでは現在の金融政策が適度な位置にあり高金利環境を
より長期に維持することが好ましい、との見方が示されたことが冷や水となったうえ、
その後の5月購買担当者景気指数(PMI)や新規失業保険申請件数、5月消費者信頼
感数などの強気な数値が発表されたことで、ディスインフレ期待や米雇用情勢軟化の見
方が後退した。
 6月に入ってから3営業日を迎えた時点で発表された米経済指標は強弱入り混じるな
内容となっている。ただ、ISM製造業景気指数と2つの雇用指標が予想を下回ったこ
とを受けて米経済及び雇用情勢が冷え込んでいるとの見方と同時に、利下げ着手に対し
て楽観的な見方も広がりを見せている。
 この利下げ着手に対する楽観的なムードはドル売りの動きを促すと予想される一方、
利下げ着手の時期がずれ込んで高金利環境が続いた場合には米景気減速が見込まれるだ
けに、どちらも金にとって買い支援要因として受け止められやすい状況が続いている。
 米国では7日に発表される5月の雇用統計、11〜12日の米連邦準備理事会(FO
MC)と、NY金市場にとって重要なイベントが続く。米国では物価高が人手不足を受
けた賃金の上昇に吸収される状況が続いている。インフレ率の低下が促されるためには
米雇用情勢の軟化が必至となっている。7日発表の雇用統計が増加幅が事前予想を下回
った5月の米ADP民間雇用者数に続く弱気な内容となるかどうかが注目される。
 米雇用情勢の軟化が示されるようであれば2350ドルという現在の目先の上値抵抗
線を抜けていく可能性がある点に注意をしておきたい。
 金価格をサポートする要因として中国に加え、インドの需要も浮上している。インド
準備銀行は米長期債の価値の低下を受け金に旺盛な需要を見せており2024会計年度
で金保有高はすでに27.47トン増加し3月時点では822.1トンに達している。
 インドでは91年の通貨危機の際、英国銀行に金を保管して以降、取引の利便性など
から英国での金準備保管が続いていたが、そのうちの100トンが5月末にインド国内
へと移送されたことが明らかとなった。これによりインドが校内に保有する金はこれま
での308トンから408トンに増加し、約半分の量を国内と国外に保管するに至って
いる。
 そのインドでは総選挙が行われ4日から開票が始まっているが、モディ首相が率いる
与党であるインド人民党(BJP)は単独過半数の議席を失う見通しであり、経済改革
の推進が難航する可能性も出てきている。
 インドはかねてからの金需要国だけに、積極的な経済改革による経済成長が期待でき
なくなるようであれば、同国の個人消費者による金需要不安が高まる可能性がある。
ただ、インド準備銀行の需要の高さは価格をサポートする要因となり得る。
 また、インド総選挙の結果によって同国の経済改革にマイナスの影響をもたらす動き
が出るようであれば、個人による金需要が後退する可能性が浮上する一方で、同国経済
不安が高まるようであれば、安全資産として金を求める動きが出てくる可能性もある。
 米国では利下げ着手に対する楽観的なセンチメントが広がっているだけに、NY金は
上値含む可能性があるなかでの2300ドルを下値支持線にしての高下が予想される。
中国の需要に加え、インド準備銀行の需要という要因は金市場にとって更に追い風にな
ることが予想されるなどNY金市場のムードは強気色を濃くしつつある。このような
中、インド総選挙の結果が市場にどのように受け止められるかを確認したい。
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