【前週のレビュー】ニューヨーク原油は小幅に直近安値を更新した後に大きく戻して、 1月限は21日には70.38ドルまで戻り高値を付けて、70ドル台を回復した。チ ャート上の上値目標は72.41ドルになるとした。 【NY原油1月限は68ドルを維持できるか否か】 ニューヨーク原油は結局、反落した。1月限の戻り高値は22日に付けた71.51 ドルまでで、前回の当欄の指摘した上値目標の72.41ドルには届かなかった。その 後は68ドル台まで崩れている。28日が米サンクスギビングデーの祝日だった関係 で、27日までしか帳入値が出ていないが、その後も68ドル台後半から69ドル台前 半のもみ合いとなり、26日の安値68.05ドルを割り込んでおらず、本稿執筆時点 の29日のアジア時間帯の午後には69ドル台前半で推移している。 チャート上は68ドルの節目で支持されのか否か目先の焦点となる。 材料的には、需給面が弱いという認識のなか、中東やロシア・ウクライナ情勢の緊迫 化による地政学的リスクがどこまで積み上げられるのかが、このところのテーマになっ てきた。しかしここに来て、イスラエルとイランの報復合戦が小休止するなか、イスラ エルとレバノンのヒズボラの停戦合意で、中東がひとまず落ち着きを見せている。その うえ、ロシア・ウクライナも引き続き激しい戦闘は続いているものの、ロシアの原油供 給に障害となるような事態とはなっていないため、買い材料としてのエネルギーは低下 してきた。 ただ、この種の地政学的リスクに対する反応は新たなニュースでセンチメントが一変 することもよくあるため、引き続きニュースには注目したい。 産油国側のニュースとしては、石油輸出国機構(OPEC)プラスが12月1日に開 催予定だった閣僚級会合を5日に延期したことが報じられている。それを前にして、 26日にバグダッドでイラクのスダニ首相、サウジアラビアのアブドルアジズ・エネル ギー相、さらにロシアのノバク副首相が会合を開いたが、そこで新たな決定は発表され ていないが。なお現状は1月からに延期している有志国による自主減産の縮小をさらに 延期する可能性が高いとみられてる。 トランプ政権が発足する来年以降の話だが、25日にトランプ次期政権移行チームが 早ければ大統領就任初日に石油掘削に関する促進策を発表するとしたことで、米国産原 油の生産増加観測が出ている。海上や連邦政府所有地での石油掘削の拡大を狙ったもの とみられているが、ただ現状の相場水準を見ると、採算面から大幅に増加する可能性は 低いとの見方が多い。 また26日にトランプ次期大統領が「カナダとメキシコからの輸入に25%の関税を 課す」と発表したことで、米国の石油製品価格の高騰を危惧する声も上がっている。米 国は輸入原油の6割をカナダから、1割をメキシコから輸入しており、原油にも例外な く課税されれば、この危惧が現実化する可能性が高まる。 外部要因を見ると、ニューヨークダウ平均株価はさらに過去最高値を更新する展開と なり、4万4000ドル台に乗せてきた。 ドルインデックスは一時108ポイントの節目を瞬間試す場面もあったが、その後は 大きく反落して直近は105ポイント台後半まで軟化しており、急激なドル高後の反動 安が大きくなっている。 【東京原油、ガソリンのテクニカル分析】 東京原油の6番限である4月限は4営業日連続で陰線を付けた後、29日には下げ渋 り模様。6万5000円の節目や、ボリンジャーバンドの−2シグマ(6万5370円 辺り)が下値支持として意識されている。 ガソリン先限は名目値で8万円ちょうどの横ばいが続いている。 【NY原油のテクニカル】 ニューヨーク原油1月限は22日に大陰線を引いて、21日移動平均線でもあるボ リンジャーバンドの中心線(69.39ドル辺り)を割り込んだ後、同線や70ドルの 節目を上値抵抗としたもみ合いとなっている。 MINKABU PRESS *投資や売買については御自身の判断でお願いします。
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