コモディティレポート(金)

配信元:MINKABU PRESS
著者:MINKABU PRESS
【NY金は年末にかけて頭重い足取りも目先は史上最高値圏を維持か】
 NY金2月限はクリスマス休場直前の取引では19日の取引で2596.7ドルまで
値を落とした後に2650ドルまで値を切り上げながらも伸び悩みに転じ、その後も5
日間移動平均の抵抗を受ける頭重い足取りが続いている。
 12月17〜18日に開催された米公開市場委員会(FOMC)で3回合連続での追
加利下げが決定されたことで材料織り込み感が強まると同時に、1月に発足するトラン
プ新政権での関税引き上げ措置と移民排斥の動きを受けたインフレ率上昇や米雇用情勢
の引き締まり観測が重石となっている。
 ただ、目先の足取りは上値の重い展開とはいえ、今年のNY金は史上最高値の更新が
続いており、現在の価格水準は短期的に見ると若干値を落とした位置にあるとはいえ、
史上最高値圏からは外れていない。
 今年のNY金は米国を始め、世界的に物価の上昇が続くなか、インフレヘッジとして
の役割が重要視されたことが上値を追う一因となった。また、インフレ率の上昇を抑制
するために追加利上げを行ってきた米連邦準備理事会(FRB)が3月に利下げへと金
融政策を転じたことをきっかけに追加利下げ期待が高まったことも買い支援要因となっ
た。
 この流れに加え、地政学不安が高まったことも金価格の上昇要因となった。ウクライ
ナとロシア間の武力行為は依然として行われているどころか、長距離ミサイルでの攻撃
も行われるなど緊張感が増し、依然として見通しに不透明な状態が続いている。
 一方の中東では現在は60日間の暫定停戦中ながらレバノンとイスラエルの対立激化
に加え、シリアでは政権崩壊後に暫定政権が発足したものの、その後も衝突が相次ぎ混
乱した状態が続いている。
 これらの中東不安が拡大、または更に激化する可能性があることは金にとっては安全
資産を求める動きを刺激する要因になり、地政学不安が高まった10月後半から11月
前半にかけてSPDRの金ETF残高は890トン台まで拡大すると同時に、NY金2
月限を10月30日に2826.3ドルまで押し上げる要因となった。
 現時点では中東情勢に大きな動きが見られないことで新規の材料不足から上値の重い
足取りが続いているものの、新たな動きが見られるようであれば金への需要が再び高ま
る可能性がある点には注意が必要だろう。
 米金融政策、中東情勢に加えて金価格を押し上げる要因となったのが中国の景気不安
だ。中国では国内総生産(GDP)の伸びの鈍化など経済成長の足取りが鈍っている様
子を示す経済指標の発表が続いたうえ、中国産電気自動車(EV)の過剰生産問題が浮
上するなか、欧米諸国で中国産EVの輸入関税を引き上げる動きが強まり、中国景気不
安は深まりを見せた。
 これは金市場において安全な投資先としての需要を刺激する要因となったが、中国政
府による景気刺激策が期待されるなかリスクオンの動きが高まると同時に、中国景気不
安を背景とした安全資産としての金需要には後退の圧力がかかっていると見られる。
 しかしながら、1月に発足する米国のトランプ新政権では中国からの輸入品に対する
大幅な関税引き上げが公約として掲げられており、これが中国の景気不安を高める要因
になってくる可能性がある。
 12月後半を迎えた後のNY金は、FOMCでの追加利下げ決定に加え、来年の利下
げ見通し回数の引き下げが重石となり上値の重い足取りが続いている。また、トランプ
新政権の発足に伴いインフレ促進的な政策が実行に移されると予想される。
 そのため米国でのインフレ再燃が警戒されるなかFRBが利下げを停止する可能性が
意識されると同時に米ドルが下支えされると予想され、これが金の上値を抑制する要因
になってくると見られる。ただ、その一方ではトランプ政権による関税引き上げ措置で
中国の経済不安が高まる可能性も見込まれるだけに、安全資産としての需要は根強いも
のが見られそうだ。
 米国での新政権発足という大きなイベントを控えていることもあり見通しは不透明感
が強い。NY金の上値は重いながら史上最高値圏に近い水準を維持すると予想する。
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