<金> NY金4月限は2月11日に2968.5ドルまで値を切り上げた後に値を落とし、 一時2900ドルを割り込んだが、その後、地合いを引き締め20日に2973.4ド ルまで上伸して一代の高値を更新。逃避買いとしての金需要の根強さを窺わせる足取り となっている。 米国ではトランプ大統領が新政権の関税政策を受け、輸入関税の引き上げによる米経 済への影響や他国との貿易摩擦を激化させるとの懸念が安全資産を求める動きを刺激し ている。トランプ政権は中国からの輸入品に対する関税の10%引き上げを発表した が、中国はこれに対し対米報復関税の発動計画を明らかにした。また、関税引き上げの 対象となる国を絞らず、米国製品に関税を課している国に対して相互関税、アルミ、自 動車などの輸入関税引き上げも発表している。 トランプ政権が着手しているのは関税政策だけではなく、不法移民に対しては強制送 還の措置をとるなど、不法移民に対する排斥の動きも見せている。 米国の1月生産者物価指数(PPI)、消費者物価指数(CPI)は、総合PPIの 前年同月比が事前予想の3.3%を上回る3.5%の伸びを記録。一方の1月総合CP Iの前年同月比は3.0%で前月の2.9%を上回っており、インフレ加速化の可能性 を見せている。ただ、同時に個人消費は伸び悩んでおり物価の上昇を受けて消費意欲が 減退しつつある様子が示されている。20日に発表されたフィラデルフィア連銀製造業 景況指数は大幅な落ち込みを見せており、インフレ再燃懸念を深める要因の一つとなっ ている。 今後、トランプ政権の関税引き上げ政策による影響が明らかになると見られるなか で、物価の上昇が個人の消費意欲減退を招き、これが米経済に大きく影響することが危 惧されると同時に、安全資産としての金を求める動きが刺激されていると思われる。 また、インフレ率の上昇はインフレヘッジとしての金需要を刺激する要因になり得る ことも金市場における買い支援要因になっている。 さらに、米・露・ウクライナ間の停戦協議も当初期待されたように進展することはな く、かえってウクライナのゼレンスキー大統領が反発の姿勢を見せていることで、地政 学不安の長期化に対する警戒感が高まる結果となっていることも、金市場における強気 材料だろう。 トランプ大統領が次々と関税引き上げ政策を発表するなか、インフレ再燃に対する警 戒感や物価の上昇が米経済に与える影響、米国と他国との外交関係の悪化懸念、さらに は地政学不安の長期化など、金市場における強気材料が意識される状況が続いている。 4月限はすでに一代の高値を複数回にわたって更新しているが、引き続き新たに高値 をつける可能性を含めながら2900ドル台での高下が続くと予想される。 <銀> NY銀3月限は2月14日に3400セントを上抜く上伸を見せた後は上げ一服感が 強まり3300セント前後での高下が続いていたが、NY金4月限が一代の高値を更新 したことに追随する動きを見せ、今週に入ってからは値位置を切り上げ、20日の取引 は前日比で40セントを超える上げ幅を記録し3350セントに迫る足取りとなってい る。 トランプ政権による関税引き上げの動きはまだ銀には及んでいないものの、アルミ・ 鉄鋼への輸入関税を引き上げたうえ、アルミニウムを使用する半導体装置の部品などに も関税を賦課する予定であることが明らかとなっている。これら非鉄貴金属への関税引 き上げは工業用としても消費される銀に対する関税引き上げ措置が実施される可能性を 意識させる。 NY金の底堅い足取りが想定されることもあり、NY銀3月限は目先の高値3424 を上値目標にしての高下が続くのではないか。 <白金> NY白金4月限は2月13日に1063.8ドルまで浮上したが、その後は急落に転 じ、19日は984.1ドルまで値を落とした。わずか3営業日で約79ドルの下げ幅 を記録した後で買い戻す動きが見られているものの、20日は1000ドルが抵抗線と して意識され、戻り売り圧力が強かった。金とは異なり、安全資産としての需要が薄い なか、米国による中国からの輸入品に対する輸入関税引き上げを受けた中国の景気不 安、さらには欧州での電気自動車(EV)の販売落ち込みを受けた需要の低迷懸念が重 石となるなか、1000ドル台を回復できるかがカギ。現時点では1000ドルが抵抗 線。1000ドル超えとなると、買い戻しで5日間移動平均線が通る1010ドル水準 まで戻り余地が生まれる。支持線は19日の安値984.1ドル。 <パラジウム> NYパラジウム3月限はNY金の高下に対する反応も薄く1000ドル前後での膠着 状態にある。白金の下落によって白金とパラジウムの値開きが修正されパラジウムが割 高となる適正とされる価格関係に回帰している。独自の手がかり難だけに、同値圏での 往来継続となりそうだ。 MINKABU PRESS
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