【概略】 米商品先物取引委員会(CFTC)建玉明細報告によると、主要市場における3月4 日時点の大口投機家の売り越しは402万8363枚となり、前週の320万2043 枚から拡大した。取組高合計は4535万9191枚となり、前週から185万 2467枚(3.9%)減少した。 項目別では証券市場(株式、債券、為替)の取組高は、株式合計が2.0%増、債券 合計が6.2%減、為替合計が4.4%増となった。商品市場の取組高は、穀物合計が 0.9%減、エネルギー合計は1.8%増、金属合計は4.8%減となった。 項目ごとに大口投機家の動向を見ると、証券市場では、株式で新規買いが新規売りを 上回って買い越しに転じ、債券で手じまい売り、新規売りが出て売り越しを拡大した。 為替は新規買い、買い戻しが入って売り越し(ドル買い)を縮小した。 【現在の市場テーマと大口投機家の動向】 前週は、米国のカナダとメキシコに対する関税が4日に発動し、中国に対しては10 %の追加関税が課された。各国の報復措置が発表され、貿易戦争に対する懸念が高まっ た。ただ米大統領は一部の北米製自動車の関税導入を30日間延期し、米・メキシコ・ カナダ協定(USMCA)対象の製品に関しては4月2日まで関税を免除した。ただ4 月2日には相互関税が発表される見通しである。今週はウクライナのゼレンスキー大統 領が10日にサウジアラビアを訪問し、同国のムハンマド皇太子と会談し、米国の当局 者とも会談する。 シカゴ為替市場の大口投機家は日本円が13万3651枚買い越し(前週6万 0569枚買い越し)、ユーロは1万0106枚売り越し(同5万1420枚売り越 し)、英ポンドは1万8574枚買い越し(同579枚売り越し)となった。ユーロは 新規買い、買い戻しが入って売り越しを縮小した。 商品市場では、原油が石油輸出国機構(OPEC)プラスの自主減産縮小や貿易戦争 に対する懸念を受けて売り優勢となり、2023年5月以来の安値65.22ドルを付 けた。金はドル安や予想以下の米雇用統計などを受けて2月25日以来の高値 2929.75ドルを付けた。 今回報告で大口投機家の取組は、ニューヨーク原油が15万4841枚買い越し(前 週17万1198枚買い越し)に縮小した。手じまい売りが買い戻しを上回った。ニュ ーヨーク金は24万3261枚買い越し(同26万1625枚買い越し)、ニューヨー ク・プラチナは1万3852枚買い越し(同1万6176枚買い越し)に縮小した。金 は手じまい売り、新規売りが出て、プラチナは手じまい売りが買い戻しを上回った。 穀物市場で大口投機家は今回、コーンが33万5438枚買い越し(前週44万 1161枚買い越し)に縮小、大豆は3万4283枚売り越し(同1万0550枚売り 越し)に拡大した。コーンは手じまい売り、新規売りが出て、大豆は新規売りが新規買 いを上回った。前週のコーンは、米国の関税発動が圧迫要因になったが、一部延期され たことで下げ一服となった。 MINKABU PRESS 東海林勇行
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