ドル円、141円台に戻す ベッセント財務長官の発言に敏感に反応も=NY為替概況

配信元:みんかぶFX
著者:MINKABU PRESS
ドル円、141円台に戻す ベッセント財務長官の発言に敏感に反応も=NY為替概況

 きょうのNY為替市場、前日のドル安が一服し、ドル円は買戻しが加速。141.60円近辺まで戻している。東京時間に一時140円を割り込む場面も見られていたが、海外市場に入って買い戻しが強まった。本日はドル自体が買い戻され、米株式市場も大幅反発となったことがドル円の買い戻しをサポートした。ベッセント財務長官の発言に敏感に反応する場面も見られた。長官は「関税を巡る中国との対立は長くは続かず、緩和していく見通しだ」と述べていた。

 ドル円は東京時間に一時140円を割り込む場面も見られたものの、海外時間に入って下げ渋った。一部からは、過度にドル安が進んだとの指摘も出ており、テクニカル要因と市場ポジションにより、ドルは一時的に反発する可能性も指摘されていた。ドル円については140円付近にオプション絡みの買いオーダーも観測されていた模様。

 しかし、トランプ関税による貿易摩擦と景気後退懸念、米中のエスカレート、そして米国離れといったワードは消えておらず、情勢に何も変化はない。ドルが買い戻されても上値は限定的との指摘は依然多い。

 今週、ワシントンでG20およびG7の財務相・中央銀行総裁会議が開催され、そこではドル安が主要な議題になると見られている。そのような中、ストラテジストからは、ドルインデックスの方向性は主要構成通貨であるユーロの動向に左右されるとの指摘が出ている。ユーロドルは今年に入って10%超上昇しているが、ここに来て1.15ドル付近で大きな抵抗線に直面するとも付け加えた。

 本日はラガルドECB総裁のインタビューが伝わり、インフレを2%へと戻す目的はほぼ達成したが、経済情勢は一段と不安定なため引き続き柔軟な姿勢でいる必要があるとの考えを示していた。「ディスインフレは順調で完了に近づきつつある。しかしながら、ショック要因がある。インフレへの実質的な影響は欧州などでの対策次第だ」とも述べていた。市場では年内のECBの利下げ観測がなお根強く、年内にあと2-3回の利下げが織り込まれている状況。

 ポンドドルは戻り売りに押された。前日に引き続き東京時間にも1.34ドル台を付けていたが、上値を抑えられた格好。1.34ドル台は昨年にも上値を抑えられており、抵抗感も強いようだ。

 市場のボラティリティが全体的に上昇する中、為替市場も値の荒い動きが続いているが、ポンドは市場の変動から恩恵を得る可能性があるとの指摘も出ている。エコノミストはレポートで、「米国での混乱を背景にポンドは市場変動から利益を得る好位置にある」という。

 英経済の米関税への比較的低いエクスポージャー、堅調な需要、および英国とEUのより緊密な関係から恩恵を受けるだろうとも指摘している。

MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

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