前日のドル高一服 ドル円は147円台半ばに下落=NY為替概況 きょうのNY為替市場、前日のドル高が一服し、ドル円も147円台半ばに値を落としている。NY時間に入って一旦148円台に戻したものの、次第にドルの戻り売りが強まり、ドル円は147円台に伸び悩む展開。 週末の米中貿易協議の予想外の進展で、市場はリスク選好のムードを高めている。さすがに本日は一服感が出ていた。エコノミストからは米景気後退のシナリオを撤回する動きも出ていおり、ドル円は150円台回復を試す態勢にはあるようだ。 この日は4月の米消費者物価指数(CPI)が発表されていたが、予想を下回る伸びに留まった。3カ月連続で予想より低い伸びとなっている。衣料品や新車の価格が落ち着き、食品も下落。企業が関税分のコスト転嫁をいまのところは急いでいないことを示唆している。ただ、FRBの利下げ期待は変わらず、6月、7月はなく、9月の利下げ再開が最有力視されている模様。 一部からはグローバルな貿易戦争の緩和に向けた最近の進展がドルに与える影響は明確ではないとの指摘も出ている。最近の米貿易に関する前向きなニュースは、成長の観点から米国よりも世界の他の地域に有利に働く可能性があるという。ただし、米国の対外資金調達に関しては、トランプ政権が対立的な姿勢を和らげることで米国への資金流入を阻害する要因が軽減されるため、それは明らかにドルにとってポジティブ要因になるとも指摘している。 ユーロドルも買い戻しが出ている。前日は一時1.1065ドル付近まで下落し、21日線を下放れる展開が加速していたが、本日は1.11ドル台後半まで戻した。 アナリストからは、米中貿易協議の進展に伴うユーロドルの下落は限定的になるとの見方が出ている。米中が一時的な関税引き下げに合意したことによってユーロドルが更に大きく下落する可能性は低いと指摘。 関税の問題が米消費に与えた影響をまだ確認できていないからだという。ドイツの財政刺激策拡大によるユーロ支援の方が重要だとしている。4月のユーロドルの上昇はドル離れという流動性要因に依存していたため、短期的に現在下落がさらに拡大する可能性はある。しかし、1.10ドルを下回る水準は持続できないだろうと述べている。 ポンドドルも買い戻しが強まる中、1.33ドルちょうど付近まで戻した。1.33ドルちょうどには21日線が控えており、顔合わせしている。 先週は英中銀の金融政策委員会(MPC)が開催されたが、ポンドは買いの反応を見せていた。市場では6月の英中銀の利下げ観測が大きく後退している。その理由は主に3つが言われている。まず第1に、先週のMPCでの分裂した投票結果。政策発表前は市場の大多数が、全会一致に近い形で0.25%ポイント以上の利下げを支持すると予想していた。しかし、実際には2人が据え置きを支持し、より複雑な結果となった。第2に、英中銀は今年の成長見通しを下方修正したが、インフレが目標へと戻るのは2年後と予想している。第3に金利に関して、緩やかで慎重なガイダンスを維持している。 これらから、6月に連続利下げが行われる可能性は低いと見られており、短期金融市場では6月利下げの確率は10%で織り込んでおり、政策発表前の観測からほぼ半減している。 MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
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