ドル円は一時143円台に下落 ドルの戻り売りが強まる=NY為替概況 きょうのNY為替市場、ドルの戻り売りが強まりドル円は一時143円台に下落する場面も見られ、21日線を再び下回る展開となった。東京時間には146円台まで上昇する場面も見られていたが、その上げを維持できていない。この日発表の米GDP改定値や米新規失業保険申請件数がいずれも弱い内容となったこともドル安を誘発していた模様。 本日の動きを見ると、ドルへの長期的な弱気見通しに変化はなさそうだ。トランプ関税巡り米国際貿易裁判所が差し止めを命じたことで、ドルは買い戻しが膨らんでいた。しかし、トランプ関税を確実に実行するなら多数の代替措置があるとの指摘も多く出ている。 関税とその報復措置の一方、トランプ大統領の度重なる関税賦課の延期と撤回で市場の動揺は続いているが、今回の関税差し止めの判決が最高裁まで行った場合、市場はむしろ、ひとまず落ち着いている関税問題が、裁判所を含めた政治問題に発展することに警戒心を向けているようだ。それは投資家の米国離れを助長し、根強いドル安シナリオに繋がると見ているのかもしれない。 ユーロドルは買い優勢となり、1.13ドル台後半まで一時上昇。1.14ドル台をうかがう展開が見られている。本日の上げで21日線で下支えされた格好となっており、明日以降、1.14ドル台および1.15ドルを試しに行くか注目される。ただ、1.14ドル台に入ると上値抵抗も強まりそうだ。 ユーロに関しては来週5日のECB理事会が最注目となるが、その前の3日に5月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値が公表される。ディスインフレの傾向がさらに進むと見られており、総合指数は前年比2.1%への鈍化が予想されている。 また、イースター関連の旅行価格の上昇効果が薄れ、コアインフレも圧力が緩和されると見込まれている。特に航空運賃とパッケージ旅行のカテゴリーにおける価格圧力の緩和が反映されるほか、エネルギー価格も引き続き下落圧力をかけたと予想されている。 ポンドドルは1.35ドルを回復する場面も見られた。ポンドドルは今週、3年ぶり高値から下落しているが、再び上昇の可能性が高いとの指摘がアナリストから出ている。 ドル離れが警戒される中、ポンドは英貿易動向が好ましいことや、経済指標が底堅いこと、英中銀が利下げに慎重姿勢を示していることも追い風になるという。また、ポンドドルは年内に1.40ドルに達する可能性があるとも指摘。投資家らが特に米国の政策を巡る不安から、引き続きドル建て資産を売却する場合だとしている。 MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
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