今週の【早わかり株式市況】反発、米中摩擦の警戒和らぐも週末に中東リスク台頭

配信元:株探
著者:Kabutan
■今週の相場ポイント
 1.日経平均は2週ぶり反発、一時3万8000円台
 2.5月雇用統計は予想上回る、米景気懸念後退
 3.週半ばまで日米株式とも堅調、半導体が牽引
 4.イスラエルがイラン攻撃、中東情勢緊迫化
 5.急速に地合い悪化、原油・防衛株は逆行高

■週間 市場概況
 今週の東京株式市場で日経平均株価は前週末比92円(0.2%)高の3万7834円と、2週ぶりに上昇した。

 今週は米国景気や米中摩擦への警戒感が和らぎ、週前半は良好な地合いだった。日経平均はフシ目の3万8000円台を上回り、更に上値を伸ばす場面も。しかし、週後半は崩れた。利益確定の動きが出たほか、中東リスクが台頭し大きく売り優勢となった。

 9日(月)の東京株式市場は上昇。日経平均は終値で3万8000円台を再び回復した。前週末発表の5月米雇用統計は事前コンセンサスを上回る内容となり、米景気の減速懸念が後退。米中摩擦への警戒感も両国首脳による電話会談を経てひと頃より和らぐなか、週明けの東京市場はリスク選好の地合いとなった。10日(火)も上昇。前日の流れを引き継ぎ堅調に推移した。11日(水)は更に上昇し、日経平均は3万8000円台半ばまで水準を切り上げた。米株高を追い風に半導体関連など主力株が買われ上値追い基調を継続。外国為替市場でドル円相場が円安に振れたことも後押しとなった。12日(木)は反落。直近までの上昇の反動で利益確定売りに押される格好となった。トランプ米大統領が各国との関税引き下げ交渉の延長に否定的な姿勢を示したことが伝わり、これが投資家のセンチメントを冷やした面もあった。13日(金)は大幅安。日経平均は一時600円を超える下げとなった。朝方にイスラエル軍がイランの核関連施設などを攻撃したことが伝わり、一気にリスクオフムードが強まった。主力大型株を中心に幅広い銘柄に売りが広がった。一方、中東情勢の緊迫化による地政学リスクの高まりから防衛関連株が買われたほか、原油価格の上昇を受けて石油関連株が逆行高となった。


■来週のポイント
 来週は16日から日銀政策決定会合、17日からは米FOMCと金融イベントが続くため、日米金利動向に注意を払う必要がありそうだ。緊迫化する中東情勢の見極めもポイントになる。個別では地政学リスクの高まりとともに石油関連や防衛関連株が物色されており、この流れが続きそうだ。

 重要イベントとしては、国内では前述の日銀金融政策決定会合に加え、18日朝に発表される4月機械受注、20日朝に発表される5月全国消費者物価指数が注目される。海外では米FOMCのほか16日に発表される中国5月の鉱工業生産と小売売上高、17日に発表される米国5月の小売売上高と鉱工業生産、18日に発表される米国5月住宅着工件数、20日に発表される中国6月最優遇貸出金利、米国5月コンファレンス・ボード景気先行指数に注視が必要だろう。

■日々の動き(6月9日~6月13日)

【↑】   6月 9日(月)――  続伸、米株高を好感し3万8000円台回復
 日経平均 38088.57( +346.96)  売買高13億4745万株 売買代金 3兆4616億円

【↑】   6月10日(火)――  3日続伸、米ハイテク株高でリスクオン継続
 日経平均 38211.51( +122.94)  売買高15億9049万株 売買代金 4兆661億円

【↑】   6月11日(水)――  4日続伸、半導体関連株を中心に買い優勢
 日経平均 38421.19( +209.68)  売買高16億1983万株 売買代金 4兆483億円

【↓】   6月12日(木)――  5日ぶり反落、円高進行で利益確定売りが優勢
 日経平均 38173.09( -248.10)  売買高15億2724万株 売買代金 3兆7650億円

【↓】   6月13日(金)――  続落、円高や地政学リスクで売り優勢
 日経平均 37834.25( -338.84)  売買高20億7968万株 売買代金 5兆1899億円

■セクター・トレンド
 (1)全33業種中、23業種が値下がり
 (2)値下がり率トップはJAL <9201> など空運
 (3)MS&AD <8725> など保険、楽天銀 <5838> など銀行、FPG <7148> など証券といった金融株も安い
 (4)内需株はまちまち。エムスリー <2413> などサービス、安田倉 <9324> など倉庫が下落したがエニーカラー <5032> など情報通信は上昇
 (5)輸出株もまちまち。日野自 <7205> など自動車が売られたが三菱重 <7011> など機械、島津 <7701> など精密機器は堅調
 (6)中東情勢の緊迫化でINPEX <1605> など鉱業、ENEOS <5020> など石油が大きく買われた

■【投資テーマ】週間ベスト5 (株探PC版におけるアクセス数)
 1(1) 下水道 ── 国土強靱化計画で中期目標掲げられ注目
 2(12) ドローン ── 米大統領令や福岡市の道路陥没事故で
 3(4) 人工知能 
 4(2) 防衛 
 5(10) 仮想通貨 
 ※カッコは前週の順位

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