株価指数先物 【週間展望】―地政学リスクやG7サミット、日米金融会合にらみの展開

配信元:株探
著者:Kabutan
 今週の日経225先物は、中東情勢の緊迫化を警戒しつつも、G7サミットに合わせた日米首脳会談や日米の金融政策に関心が向かうことになりそうだ。

 13日の日経225先物は「イスラエルがイランの核関連施設などを攻撃」と伝わったことで地政学リスクが高まり、一時3万7470円まで売られたが、終盤にかけてショートカバーが入り3万7780円で終えていた。取引終了後のナイトセッションでは開始直後につけた3万7850円を安値に3万8000円を回復する場面もみられるなど、プラス圏での推移が続いた。13日の米国市場は主要な株価指数が大幅に下落したものの、日経225先物は落ち着いた値動きをみせている。

 ナイトセッションでの底堅い値動きによって、25日移動平均線(3万7760円)、200日線(3万7840円)を回復しており、両線での底堅さがみられるようだと、ショートを仕掛けにくくさせそうだ。週足では52週線(3万7920円)を上回って終えていることも心理的な支えになるだろう。

 イスラエルによるイランへの大規模な攻撃に対しては、イランが報復攻撃に乗り出している。イラン核問題を巡り15日に予定されていたイランと米国の協議は中止となり、中東情勢の一層の緊迫化が懸念される。イスラエルの攻撃について米国は関与を否定しているが、イスラエルは米政府の許可なしでは実現しなかったと主張していると伝えられており、米国を巻き込んだ三つどもえの構図に発展しかねない点は警戒要因である。

 日米関税交渉については、6月15日~17日の主要7カ国首脳会議(G7サミット)に合わせて日米首脳会談が予定されている。13日には6回目の日米閣僚協議が行われたが、赤沢亮正経済再生担当大臣は会見で、G7サミットに合わせて行われる首脳会談前に一定の合意には至らなかったことを明らかにした。市場の期待感が後退するなかで、日米首脳会談で一定の合意を得ることができればロングが入りやすいだろう。

 先週はイスラエルによるイラン攻撃でハシゴを外された形だったが、先週発表された米国の経済指標では、5月の消費者物価指数(CPI)、卸売物価指数(PPI)はいずれも市場予想を下回った。13日発表された6月のミシガン大消費者態度指数は市場予想を上回り、6カ月ぶりに改善。併せて発表された1年先期待インフレ率速報値は低下した。中東を巡る地政学リスクが小康状態をみせてくるようだと、ショートカバーを誘いそうだ。

 国内では16~17日に日銀が金融政策決定会合を開き、米国でも17~18日に米連邦準備理事会(FRB)が米連邦公開市場委員会(FOMC)を開催する。いずれも金融政策の据え置きがコンセンサスであり、サプライズはなさそうだ。ただし、FOMCでは四半期ごとの経済予測とドットチャートが公表される予定である。原油高騰によるインフレ再燃懸念によって利下げに慎重な姿勢を維持するとの思惑が強まるなかで、年内2回の利下げ予想を織り込んでいる状況が後退する可能性については注意しておきたい。

 日経225先物はナイトセッションで上昇したが、日中でのショートポジションをカバーする動きが入ったとみられる。改めてショートが強まる可能性はあるが、まずはボリンジャーバンドの-1σ(3万7380円)と+1σ(3万8130円)によるレンジを想定する。バンドは横ばいで推移しているため、ブレイクしたとしても-2σ(3万7010円)と+2σ(3万8500円)でのレンジになるだろう。不安定ではあるが、200日線水準での底堅さを見極めつつ、ショートが強まる局面では、その後のカバーを想定した押し目狙いのロング対応に向かわせよう。

 テクニカル面ではパラボリックのSAR値(3万7640円)を上回って推移しており、陽転シグナルを継続している。一目均衡表では雲を上回っての推移が続くなか、遅行スパンが5月13日の直近戻り高値(38760円)を通過してくるため、いったん陰転シグナルを発生させる可能性がある。ただし、その後は実線が下向きで推移するため、早い段階で実線を上回る形で上方シグナルを点灯させそうだ。

 13日の米VIX指数は20.82(12日は18.02)に上昇した。週間(6月6日は16.77)でもリバウンドをみせている。抵抗線として機能していた25日線(18.62)、200日線(19.65)のほか、判断の分かれ目となる20.00を上回ってきたことで、市場心理を神経質にさせそうだ。ただし、地政学リスクの高まりから主要な株価指数が大幅に下落するなかで、それほど強い動きにはならなかった。75日線(23.71)や5月23日の直近高値(25.53)を明確に上抜けてくるまでは、積極的なショートは控えておきたい。

 先週のNT倍率は先物中心限月で13.72倍(6日は13.61倍)に上昇した。米中貿易摩擦を巡る懸念が和らぎ、アドバンテスト<6857>[東証P]など指数インパクトの大きい値がさハイテク株の買い戻しが日経平均型を牽引した。週末には一時13.66倍に低下する場面もみられたが、25日線(13.66倍)が支持線として意識されていた。同線のほか75日線(13.63倍)に接近する局面では、その後のリバランスを想定したNTロングに向かわせそうである。

 6月第1週(6月2日-6日)の投資部門別売買動向によると、海外投資家は現物と先物の合算では8週連続の買い越しであり、買い越し額は6301億円(5月第5週は6360億円の買い越し)だった。なお、現物は3985億円の買い越し(同6165億円の買い越し)と10週連続の買い越しであり、先物は2315億円の買い越し(同195億円の買い越し)と2週連続の買い越し。個人は現物と先物の合算で1132億円の買い越しと9週ぶりの買い越し。信託銀行は現物と先物の合算で7901億円の売り越しとなり、7週連続の売り越しだった。

 主要スケジュールでは、16日に中国5月鉱工業生産、中国5月小売売上高、米国6月ニューヨーク連銀製造業景気指数、17日に日銀金融政策決定会合終了後に政策金利、植田日銀総裁記者会見、米国5月小売売上高、米国5月鉱工業生産、18日に4月機械受注、5月貿易収支、米国5月住宅着工件数、FOMC終了後に政策金利、パウエルFRB議長記者会見、19日にイングランド銀行(BOE)政策金利、20日に5月全国消費者物価指数、日銀金融政策決定会合議事要旨、米国5月コンファレンス・ボード景気先行指数などが予定されている。

――プレイバック・マーケット――

●SQ値
07月限 日経225 41531.26  TOPIX  2893.54
08月限 日経225 35661.68  TOPIX  2510.68
09月限 日経225 36906.92  TOPIX  2585.41
10月限 日経225 39701.93  TOPIX  2721.72
11月限 日経225 39901.35  TOPIX  2765.26
12月限 日経225 39434.85  TOPIX  2738.68
01月限 日経225 39343.19  TOPIX  2726.70
02月限 日経225 39432.64  TOPIX  2775.06
02月限 日経225 39432.64  TOPIX  2775.06
03月限 日経225 36483.79  TOPIX  2684.98
04月限 日経225 32737.29  TOPIX  2418.70
05月限 日経225 37572.13  TOPIX  2733.00
06月限 日経225 38172.67  TOPIX  2776.06

◆日経225先物(日足)
         始値   高値   安値   清算値  前日比
25/09 06月13日  38080  38270  37470  37780  -370
25/06 06月12日  38480  38750  38090  38180  -260
25/06 06月11日  38220  38530  38140  38440  +210
25/06 06月10日  38100  38500  38080  38230  +120
25/06 06月09日  37740  38180  37730  38110  +340

◇TOPIX先物(日足)
         始値   高値   安値   清算値  前日比
25/09 06月13日  2775.5  2791.0  2738.5  2753.0  -27.0
25/06 06月12日  2791.5  2807.5  2774.0  2781.0  -8.0
25/06 06月11日  2786.0  2797.0  2781.5  2789.0  +3.0
25/06 06月10日  2787.5  2803.0  2780.0  2786.0  -2.0
25/06 06月09日  2773.0  2800.5  2771.5  2788.0  +14.5

●シカゴ日経平均 円建て
          清算値  前日大阪比
06月13日(06月限) 37910  +130
06月12日(09月限) 38180  +30
06月11日(06月限) 38335  -105
06月10日(06月限) 38375  +145
06月09日(06月限) 38225  +115
 ※前日比は大阪取引所終値比

□裁定取引に係る現物ポジション裁定残(金額)
        売り   前週末比   買い    前週末比
06月06日    741億円  +205億円 1兆6186億円  -1289億円
05月30日    535億円  +170億円 1兆7475億円  +9億円
05月23日    364億円  -214億円 1兆7465億円  +3625億円
05月16日    579億円  +431億円 1兆3840億円  -2266億円
05月09日    148億円  -321億円 1兆6106億円  +162億円
05月02日    469億円  +108億円 1兆5944億円  +511億円
04月25日    361億円  -275億円 1兆5432億円  +752億円

□裁定取引に係る現物ポジション(株数)
        売り      前日比  買い       前日比
06月11日    2244万株   -246万株  7億6431万株   -536万株
06月10日    2490万株   -160万株  7億6968万株   +3651万株
06月09日    2650万株   +518万株  7億3317万株   -295万株
06月06日    2132万株   +150万株  7億3612万株   +1134万株
06月05日    1982万株   -274万株  7億2478万株   -418万株
06月04日    2256万株   +532万株  7億2896万株   +474万株
06月03日    1724万株    +18万株  7億2422万株   -3583万株
06月02日    1705万株   +187万株  7億6006万株   -2398万株
05月30日    1518万株   -194万株  7億8404万株   -1317万株
05月29日    1712万株   -162万株  7億9721万株   +3033万株
05月28日    1875万株   +145万株  7億6688万株   +230万株
05月27日    1729万株   +705万株  7億6458万株   -1906万株
05月26日    1024万株    -32万株  7億8364万株   -463万株
05月23日    1056万株   -254万株  7億8827万株   +9318万株
05月22日    1311万株   -3099万株  6億9508万株   +9825万株
05月21日    4321万株   +2281万株  5億9683万株   -2765万株
05月20日    2039万株   +325万株  6億2448万株   -1157万株
05月19日    1714万株    +43万株  6億3606万株   +3933万株

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