ドルは下に往って来いの展開 中東情勢への警戒感は一服=NY為替概況 きょうのNY為替市場、ドルは下に往って来いの展開が見られ、ドル円は序盤に一時143円台に下落したものの、終盤にかけて145円付近まで買い戻される展開。中東情勢については、イランが停戦を促しているとの報道もあり、先週の警戒感は一服。原油相場も下落。イランの原油輸出インフラに損害が出ていないことや、イランがホルムズ海峡の閉鎖を行っていないこともサポートとなっていた模様。 円については、先週金曜日に米商品先物協会(CFTC)が発表したIMM投機筋の建玉報告によると、円ロングは減少していたが、それでもなお記録的な水準にある。今週はFOMCが控えているほか、明日は日銀決定会合の結果発表も予定されており、ドル円は下値でのショートカバーも活発に出るようだ。 その日銀会合だが、金利は据え置きが確実視されており、焦点は来年4月以降の国債購入の減額ペースとなっている。現在日銀は、国債の償還に対応した再購入を四半期ごとに4000億円のペースで減らし、国債保有残高を減らしているが、これを2000億円ペースの減額に緩めるとの見方がコンセンサスとなっている模様。いまのところ、超長期債利回りは落ち着いているものの、貿易摩擦のほか、ここに来て中東情勢の緊迫化に伴う原油高も加わる中、植田総裁は難しい舵取りを余儀なくされそうだ。 水曜日に結果発表のFOMCについてストラテジストは、FRBは夏場まで金利を据え置き、関税と地政学リスクの影響を見極める可能性が高いとの見方を示している。パウエル議長は関税と中東紛争の両方から生じるリスクに警戒的な姿勢を維持する可能性が高いという。 FRBは関税が経済に下振れリスクをもたらすと見ているが、そうした弱さはデータにはまだ表れておらず、インフレも落ち着いていると述べている。同ストラテジストは、成長とインフレの基調が緩やかになるとの基本シナリオに基づき、最終的には利下げに移行すると予想。今年終盤に1回、あるいは2回の利下げを予想しているという。 ユーロドルは、一時1.16ドル台を回復する場面も見られたものの、1.15ドル台半ばに戻す展開。アナリストからは中東情勢の緊迫化で原油価格がさらに上昇するようなら、ユーロドルの上昇余地には限界があるとの見方が出ている。イスラエルとイランの紛争を受けた原油価格高騰により、ユーロドルの一段高の余地は限定的となると指摘。ユーロ圏のエネルギー輸入依存度が上値を抑える要因だという。 また、紛争開始前の1.16ドル台への上昇は、過去の誤評価のピークに照らしても割高な水準だという。同アナリストのモデルでは、ユーロドルの短期的な適正価値は1.10ドルをやや下回る水準と推定。さらに今後数日のユーロドルの動きは、原油市場のボラティリティーとドル相場の動向に大きく左右される可能性が高いとも付け加えた。 ポンドドルは終盤に伸び悩んだものの、1.36ドル台を一時回復するなど高値圏を維持している。21日線の上もしっかりと維持しており、上昇トレンドは継続。 英中銀は今週、政策委員会(MPC)を開催するが、金利据え置きが確実視されている。先週の英雇用統計は英労働市場の減速を示したにもかかわらず利下げを見送り、慎重姿勢も強調すると見られているようだ。積極的に利下げを進めるECBと、利下げを停止しているFRBの間で、英中銀は中間的な立場を維持しようとしているという。 英中銀はFRB同様に、政府の政策変更によって再び高まったインフレが長期化する可能性を懸念している。特に、過去に一時的とされたインフレがそうではなかったという苦い経験が、家計と企業の警戒感を高めているからだという。 MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
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