石油週間展望=乱高下、イスラエルとイランの軍事衝突を注視

配信元:MINKABU PRESS
著者:MINKABU PRESS
           [6月23日からの1週間の展望]
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         週間高低(カッコ内は日付)     6 月 16 日〜 6 月 20 日
                始  値    高  値        安  値       帳入値    前週末比
ガソリン  先限   78,000    78,000(16)    78,000(16)   78,000     +5,000
灯  油  先限   78,000    78,000(16)    76,000(16)   78,000     +2,000
原  油 11月限  61,640    65,630(20)    59,500(17)   64,250     +2,330
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                                        6 月 16 日〜 6 月 19 日
<海外原油> 週間4本値 始 値  高  値     安 値     終 値   前週末比
  NY原油   8 月限    75.50    75.50(16)   67.84(16)  73.50      +2.21
ブレント原油   8 月限    78.31    79.04(19)   70.56(16)  78.85     +4.62
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20日 東京時間の午後3時15分現在 ドル・円 145.37 前週末比 1.79円の円安
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【前週のレビュー】ニューヨーク原油7月限はイスラエル軍によるイランの核施設攻撃
により急騰。77.62ドルの一代新高値を付けた。目先はこの両国間の軍事衝突懸念
を中心に乱高下する可能性が高まっている。さらに突発高もあり得るし、逆に打ち上げ
花火に終わる可能性もあり得るとした。

【NY原油は高値を付けた後に乱高下】
 ニューヨーク原油7月限は20日の納会するため、8月限が指標限月となるが、その
8月限のここまでの高値は16日に付けた75.50ドルで、昨年7月に付けた一代高
値の76.15ドルをまだ上抜けていない。したがって目先の上値目標は76.15ド
ル、さらに期近つなぎ足ベースでは、7月限が13日に付けた77.62ドル辺りとな
る。仮にこれらを上抜けるような事態となれば、80ドルの節目を目指している可能性
が高くなろう。
 なお、本稿執筆時の20日のアジアの時間帯の午後には73ドル台後半から74ドル
を伺う展開となっている。

 材料的には、当面はイスラエルとイランの軍事衝突の激化(実際にはイスラエル+米
国対イラン)が焦点となり、基本的にはイラン産原油の供給にどの程度障害が出ること
が注目されることになる。ただ4月7日からの週や4月14日からの週の当欄で指摘し
ているように、米国のイラン攻撃は既定路線であり、米メディアが報じていた5月の攻
撃が6月に1カ月延びたに過ぎない。ともあれ「公式」には、トランプ米大統領が2週
間以内にイスラエルのイラン攻撃に加わるかを決めるとしており、その行方を見守りた
い。これからは軍事行動の報道や関係者の発言で乱高下を繰り返す可能性があるので注
意して臨みたい。
 最も注目すべきは、前回の当欄で記したが世界の原油供給の約30%が通過するホル
ムズ海峡が封鎖されるか否かである。日本にとってもこれが原油輸入の死命を握ること
になる。その期間にもよるだろうが、ホルムズ海峡閉鎖で日本の国内総生産(GDP)
が3%弱下押されるという試算もある。

 外部要因を見ると、ニューヨークダウ平均株価は4万2000ドル台を中心にこう着
感が強まって来た。
 ドルインデックスは、97ポイント台後半〜98ポイント台前半のもみ合いとなり、
底練の様相となってきた。

【イランの原油輸出、5週間ぶりの高水準で今のところ攻撃の影響なし】
 イスラエルからの攻撃を受けながらも、イランの原油輸出には今のところ影響は出て
いない。民間調査会社によると、同国の原油輸出はおおむね中国向けとなっているが、
6月16日からの週の原油積み込みは日量220万バレルと、5週間ぶりの高水準にな
っているという。ただカーグ島にある原油輸出施設は今のところ攻撃されていない。し
たがって、これが攻撃された場合、イランの原油輸出に深刻な影響を与えそうだ。

【東京原油のテクニカル分析】
 東京原油の6番限である11月限はボリンジャーバンドの2シグマ(6万4770円
辺り)に沿った上昇となり、高値更新を続けているが、20日は6万5000円達成と
ともに上ひげ十字線をつけており、目先の天井を示唆する形。14日の相対力指数も
72まで上昇して目先の買われ過ぎ感が強まっている。

【NY原油、ブレント原油のテクニカル分析】
 ニューヨーク原油8月限は急騰後、ボリンジャーバンドの2シグマ(72.77ドル
辺り)を超えて陽線と陰線を繰り返す乱高下。ここまでの高値は75.50ドル。14
日の相対力指数も76を超えて買われ過ぎ感が強い。

 ブレント原油8月限もほぼ同様の値動きだが、ニューヨーク原油と違って、19日に
は79.04ドルまで上昇して直近高値を上回った。80ドルの節目も視野に入って来
たが、14日の相対力指数も79まで上昇して、ニューヨーク原油以上に買われ過ぎ感
が強まっている。

<当面の予定>
23日【経済】ユーロ圏製造業購買担当者景況指数 2025年6月速報(Markit)
   【経済】ユーロ圏サービス業購買担当者景況指数 2025年6月速報(Markit)
   【経済】ユーロ圏購買担当者総合景況指数 2025年6月速報(Markit)
   【経済】米中古住宅販売統計 2025年5月(全米不動産協会)

24日【経済】独景況感指数 2025年6月(ifo)
   【経済】米経常収支 2025年1-3月期(商務省)
   【経済】米住宅価格指数 2025年4月(連邦住宅金融局)
   【経済】米ケース・シラー住宅価格指数 2025年4月(S&P)
   【経済】米消費者信頼感指数 2025年6月(カンファレンスボード)
   【工業】米週間石油統計(API)

25日【経済】景気動向指数 2025年4月改定状況(内閣府)
   【工業】原油・石油製品供給統計週報(石油連盟)
   【工業】石油製品給油所小売価格調査(資源エネルギー庁)
   【納会】バージガソリン・灯油・軽油・中京ローリーガソリン・灯油
       2025年7月限(東京商品)
   【経済】仏消費者信頼感指数 2025年6月(INSEE)
   【経済】米住宅ローン申請指数(MBA)
   【経済】米新築住宅販売 2025年5月(商務省)
   【工業】米週間石油統計(EIA)

26日【経済】対外及び対内証券売買契約等の状況 6月15日-6月21日(財務省)
   【発会】バージガソリン・灯油・軽油・中京ローリーガソリン・灯油
             2026年1月限(東京商品))
   【経済】米国内総生産 2025年1-3月期確報値(商務省)
   【経済】米卸売在庫 2025年5月速報値(商務省)
   【経済】米耐久財受注 2025年5月速報値(商務省)
   【経済】米新規失業保険申請件数(労働省)
   【経済】米中古住宅販売仮契約指数 2025年5月(全米不動産協会)

27日【経済】労働力調査(失業率) 2025年5月(総務省)
   【経済】一般職業紹介状況(有効求人倍率) 2025年5月(厚生労働省)
   【経済】小売業販売額 2025年5月速報(経済産業省)
   【経済】貿易収支 2025年5月確報(財務省)
   【経済】中国工業利益 2025年5月(国家統計局)
   【経済】仏消費者物価指数 2025年6月速報(INSEE)
   【経済】仏生産者・輸入物価指数 2025年5月(INSEE)
   【経済】英国内総生産 確報値 2025年1-3月期(国立統計局)
   【経済】米個人所得・支出 2025年5月(商務省)
   【経済】米消費者信頼感指数 2025年6月確報値(ミシガン大)
   【商品】米建玉明細報告(CFTC)
     【工業】全米石油堀削稼動数(米ベーカーフューズ)

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