為替相場まとめ6月23日から6月27日の週

配信元:みんかぶFX
著者:MINKABU PRESS
 23日からの週は、ドル売り圧力の根強さが示されている。先週末に米国がイラン核施設を直接攻撃した。週明けには有事のドル買いが強まった。しかし、トランプ米大統領がイランとイスラエルの停戦合意に言及。しばらくは双方の攻撃が収まらなかったが、24時間の期限後は停戦が実行された。市場は安ど感からドル買いを巻き戻す動きを強めた。また、米経済統計が弱含んだことや、トランプ米大統領がパウエルFRB議長が利下げしないことに業を煮やし、早期の次期FRB議長指名について発言、市場では早期利下げ観測が広がった。金利面の思惑からもドル売り圧力が加わった。ドル指数は年初来安値を更新した。株式市場も活気付き、米ナスダック指数は年初来高値を更新している。また、中東情勢が話題となるなかで、やや影を潜めていた通商問題についても、米国から7月9日の相互関税期限を延長する可能性が示されるなど、リスク動向にとっては追い風が吹いた。ドル円は週明けに148円台に急伸したあとは売りが強まり、143円台まで下落。全般的なドル安の流れのなかで、ユーロドルは1.17台、ポンドドルは1.37台へと水準を上げている。

(23日)
 東京市場は、円安とドル高が進行。週末に米国がイランの核施設を攻撃したとの報道を受けて、ドル買いが優勢となった。また、原油価格の上昇を背景に日本の貿易赤字拡大への警戒感から円売りも入り、ドル円は午前に146円台後半まで上昇。午後は、日経平均が下げ幅を縮小したことなどから円売りが強まり、前日終値比1円以上のドル高円安水準となる147.40付近まで上値を広げた。5月14日以来およそ1カ月ぶりの高値水準になった。ユーロ円は、朝方にいったん167円台半ばまで下落したあと、午後はこの日の安値から2円以上の円安水準となる169.67付近まで上昇。ポンド円も午後に円売りが強まり、1月以来5ヶ月ぶりの高値水準となる198円台に乗せた。ユーロドルは朝方に一時1.1454付近までドル高方向に振れたが、その後は下げが一服し、値を戻した。 

 ロンドン市場は、ドル買いが優勢。特にドル円の上昇が目立っており、148円付近へ上昇している。東京早朝の安値からは約2円の上昇。東京市場では円安の面も強かったが、ロンドン時間には全般にドルが買われる展開になっている。週末には米国がイラン核施設を直接攻撃した。トランプ大統領は成功裏に実行されたと自信をみせた。しかし、イスラエルとイランの攻撃はまだ継続している。イスラエルは再びイラン核施設を攻撃しており、自身の存在を脅かす脅威はまだ排除されていないとした。イスラエル北部では爆発音との報道もあった。依然として事態の収束には程遠い状況のようだ。有事のドル買いの面が強まり、ドル円が148円付近に上昇したほか、ユーロドルは1.14台半ばへ、ポンドドルは1.34台割れへ、豪ドル/ドルは0.64台割れなどへと下押しされている。ドル指数は21日線を上回っており、ドル買いの流れを示している。   

 NY市場は、ドル売りに転じた。NY時間に入ってドル安が優勢となり、ドル円は146円台前半に下げ幅を拡大。本日は一時148円台上昇する場面も見られていた。米軍がイランの核施設を空爆したことで中東情勢への緊張が一気に高まった。為替市場は有事のドル高の動きが強まっていたが、市場は意外にも落ち着いた反応を見せていた。NY時間にイランがカタールの米空軍基地にミサイルを発射とのニュースが流れ、市場に緊張感が走ったものの、カタールが迎撃に成功したと伝わり、ミサイル発射については事前にイランからカタールへ通告があったとの報道もあって安心感に繋がった模様。トランプ大統領が中東でのさらなる軍事関与を望んでいないとの報道も雰囲気をサポートしていた。本日の原油相場は急落した。ユーロドルは1.15台に、ポンドドルは1.35台に買い戻された。

(24日)
 東京市場では、ドル安の動き。朝方に米トランプ大統領が自身のSNSでイランとイスラエルが停戦で合意したと示したことが背景。両国のミサイル攻撃などがその後も続く中、ネタニヤフ・イスラエル首相がイランとの停戦に合意と示すなど停戦合意に向けた動きが広がり、ドル売りが強まった。ドル円は145.70台まで急落。買い戻しが入ったあと、午後には再び安値を145.00台に広げた。日本の20年国債入札の応札倍率が、3.11倍に留まり、直近1年の平均よりも低い低調なものとなったことで円債利回りが上昇。さらに、日本銀行の基調的なインフレ率を捕捉するための指標において刈込平均が2.5%に上昇したことも、円買いの材料となっていた。トランプ大統領は、今日、明日の議会証言を前に、パウエル議長が利下げに消極的過ぎると批判、議会の追及を求める発言をしたことはドル売り材料に。ユーロ円は169円台前半から168円台半ばへ、ポンド円は197円台後半から197円付近に下落。ポンドドルは1.36近くへ上昇、ユーロドルも1.16台に乗せている。

 ロンドン市場は、ドル売りが継続。東京朝方にトランプ米大統領がイランとイスラエルの停戦合意に言及した。これを受けて前日までの有事のドル買いが巻き戻されている。ドル円は144円台後半まで安値を広げている。ユーロドルは1.16台を回復する場面があった。ポンドドルはロンドン時間に一段と買われており、高値を1.36台前半に伸ばしている。この日はユーロ対ポンドでもユーロ買いに対する巻き戻しが入っていた。ドル売り主導の展開となるなかで、クロス円は通貨ごとにまちまち。ユーロ円は168円手前まで下落と軟調推移。ポンド円は売り先行も、197円後半に下げ渋る場面があった。豪ドル円は94円台前半を中心とした揉み合いが続いている。トランプ大統領はイラン、イスラエルともに停戦に関して違反したと不満を示している。ただ、全般的には市場は停戦合意を歓迎しており、原油や金が下落、欧州株や米株先物・時間外取引は堅調に推移している。

 NY市場では、ドル売りが広がった。トランプ大統領がイランとイスラエルの間で停戦が成立したと発表し、中東情勢への懸念が和らいでいる。しかし、合意の報道があってすぐに、イスラエルはイランからミサイルの発射があったことを検知し、イスラエルも空爆を行った。情勢は依然流動的ではある。ただ、停戦成立で本日はひとまず安堵感が広がった模様。また、この日の予想を下回る米消費者信頼感指数やパウエルFRB議長の議会証言もドル安を後押し。パウエル議長は慎重姿勢を強調していたものの、「インフレ低下と雇用が低迷なら早期の利下げの可能性がある」と柔軟性も示していたことに敏感に反応。ドル円は144円台半ばまで下落、21日線に顔合わせ。 ユーロドルは一時1.1640付近まで上昇。年初来の高値を更新している。ポンドドルは一時1.3650付近まで上昇し、2022年1月以来の高値水準に上昇した。

(25日)
 東京市場では、ドル円が神経質に上下動。ドル円は145円台を回復して取引を開始した。しかし、田村日銀審議委員が「物価上振れリスクが高まれば不確実性高くても果断な対応あり得る」「物価目標の実現時期は前倒しの可能性十分にある」と発言したことを受けて円買いとなり、144.61近辺まで下落。タカ派の同委員の発言もあってその後は145円台を回復。午後には田村委員が米国との関税交渉中の利上げについて消極的な見方を示したことで円売りとなり、ドル円は145.21近辺まで買われた。ユーロ円は168円台でドル円とともに振幅。ユーロドルは1.16台前半での取引に終始した。

 ロンドン市場は、円売りが継続している。イランとイスラエルの停戦合意が実行されており、足元では双方の攻撃は停止している。連日、大幅な値動きを示した原油相場が落ち着いたほか、金相場の値動きも一服している。欧州株や米株先物・時間外取引は上値重く推移も、調整の面が強いようだ。リスク動向の落ち着きとともに、東京午後の田村日銀審議委員の発言が円売り材料との指摘もあった。同委員はタカ派で知られているが「日米関税交渉中に利上げする可能性はそれほど高いわけではない」と利上げ姿勢をトーンダウンさせていた。ドル円、クロス円は東京午後からの円売りの流れが継続している。ロンドン時間には、ドル円が145円台乗せから145円台後半へ、ユーロ円は168円台半ばから169円台乗せへ、ポンド円は197円台後半から198円台前半へと上昇している。ドルストレートは、ややドル買いの動き。ユーロドルは一時1.16台割れ、ポンドドルは1.36台前半で上値重く推移している。ただ、対円ではユーロ、ポンドいずれも堅調であり、ドル高よりは円安の面が強い状況となっている。
 
 NY市場では、ドルの上値が重かった。本日の為替市場は一時ドル高が優勢となり、ドル円も146円台を試す動きも見られた。しかし、NY時間に入ってドル安の流れに戻り、145円台前半に伸び悩んだ。イスラエルとイランの停戦により、市場心理が月末の資金フローや今後発表の米経済指標に移っている。9月の利下げ期待を背景にドル安基調は続くとの見方もあった。、現在米上院で審議されている大型減税・歳出法案に伴う財政赤字への懸念、なお決着が見えていない貿易協議、そして今後発表される米経済指標が弱い可能性もドル安要因に。ユーロドルは買い戻しが強まり、1.1665付近に上昇。ポンドドルは1.3670近辺に上昇し、2022年1月以来の高値水準になった。

(26日)
 東京市場は、ドル売り・円買いの動き。朝方にトランプ米大統領が次期米FRB議長の早期指名を検討しているとの報道を受け、米早期利下げ観測からドルが売られた。ドル円は、昼頃に一時144円台半ばまで下落した。いったん戻りの動きもあったが、東京終盤に下値を広げ18日以来およそ1週間ぶりの安値となる144.39付近まで下落した。日本10年債利回りが午後に一時1.42%台まで上昇したことなどが円買いにつながった。ユーロ円は午前に169円台前半でもみ合ったあと、午後の円高局面で一時168.64付近まで水準を切り下げた。ポンド円も午後にこの日の安値を更新し、一時198円割れに沈んだ。ユーロドルは伸び悩み。昼頃にかけてドル安に振れ一時1.1717付近に上昇も。その後は上げが一服した。

 ロンドン市場は、円高とともにドル売り圧力が広がっている。この日は米WSJが「トランプ米大統領がパウエルFRB議長の後任指名を急ぐ可能性」と報じたことが材料視されている。利下げをしないパウエル議長にトランプ大統領は怒り心頭であるという。夏にも後任FRB議長を選出する案を検討するとした。市場では早期の米利下げ期待が広がっている。特にドル円の下げが先行、ロンドン序盤には143円台後半まで安値を広げている。クロス円も安値を広げ、ユーロ円は168円台半ばへ、ポンド円は197円台後半へと下押しされた。ロンドン勢の本格参加とともにドル売りの動きも広がっている。ユーロドルは1.17台前半から半ばへ、ポンドドルは1.37台前半から後半へと高値を伸ばしている。今週に入ってからは様々な材料がでているが、ドル指数は連日の低下。きょうは年初来安値水準を広げている。

 NY市場では、ドル円が上値重く推移。きょうはドル安が優勢となる中、ドル円も143円台に一時下落した。NY時間に入って下げ渋ったものの、本日144.50付近に来ている21日線を再び下回る動きとなっている。中東情勢、貿易問題などへの警戒感が後退する中、市場は再び経済のファンダメンタルズに関心を移し始めている。FRBの利下げ期待や米上院で審議中の大型減税・歳出法案に伴う米財政赤字への警戒感などが根強いドル安期待の材料となっているようだ。短期金融市場では、7月の利下げの可能性は小さいものの、9月は完全に織り込み、年末までに2回か3回の利下げで織り込みが進めている。ユーロドルは一時1.17台半ばまで上昇。ポンドドルは1.3770近辺まで一時上昇し、3年半ぶりの高値水準まで上昇。

(27日)
 東京市場は、週末を控えてやや様子見。ドル円は前日NY終値を挟んだ振幅。朝方に144.81近辺まで上昇も、昼前には144.20近辺まで反落。午後に再び144.60付近まで買われるなど方向性に欠ける上下動となった。ユーロ円も169.29近辺まで買われたあとは168.63近辺まで下落。ポンド円も198円台で上に往って来い。中東情勢への警戒感が継続。週末越しでのポジション維持には慎重な姿勢が見られる中で、積極的な売り買いを手控える向きも見られる。対ドルでは小動き。ユーロドルは1.1680付近から1.1710付近で推移。ポンドドルは1.3720付近から1.3750付近で上下動。

 ロンドン市場は、各通貨とも値動きが落ち着いている。中東情勢の緊迫化が一服、米利下げ観測の広がりなど市場環境が好転しており、欧州株は堅調に推移している。米中通商合意への期待もあるようだ。原油は底堅く推移も、金相場は軟調に推移。全般にリスク動向は良好なようだ。そのなかで為替市場は方向感なく売買が交錯している。ドル円は144円台半ばを中心に推移。ユーロドルは1.17ちょうどを挟んで、ポンドドルは1.37台前半で売買が交錯。クロス円も目立った方向性を示していない。ユーロ円は169円を挟んで、ポンド円は198円台での上下動。このあとのNY時間には米PCE価格指数が発表される。米利下げ観測の強弱に影響を与える材料として、結果発表が待たれている。

 NY市場はドル安が一服し、ドル円は144円台後半に上昇。ただ、全体的に方向感はない。米中が合意したようだ。ラトニック米商務長官は米中が先月スイスのジュネーブで合意に達した枠組みについて、最終的な理解の取りまとめに至ったと述べた。ただ、エコノミストからは、米中は最終決定に至ったもののリスクは残っているとの指摘も出ている。この日は5月のPCE統計が発表になったが、FRBが注目している価格指数はコアが若干高かったももの、ほぼ予想範囲内となった。一方、個人消費支出および所得が予想外のマイナスとなっていた。個人消費や雇用への冷え込みを示す内容だった。しかし、月末・期末接近の中で、新規にポジションを作ろうという動きは少なく、調整中心の展開となっている模様。

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