コモディティレポート(金)

配信元:MINKABU PRESS
著者:MINKABU PRESS
【NY金は上値は重いも根強い逃避買い需要で底堅い】
NY金12月限は10月21日に大きく値を落としたが、その後は4000ドルを前
後する動きが続いている。底堅さを見せる一方で4000ドルを超えて大きく値を切り
上げていく勢いに欠けている。10月21日にかけての上伸時に史上最高値を何度も更
新した後に急落に転じたことで買い一巡感が強いことが一因である。
 10月30日に米国と中国との間で首脳会談が行われ、米中間の貿易摩擦に対する懸
念は後退したうえ、米株式市場ではこれまでの上値追いの後で買い警戒感が強く、ハイ
テク関連株を中心に軟調な動きを見せていること、ドルが買われる動きが続いているこ
とも、金市場にとっての弱材料と捉えられている。
 10月の米公開市場委員会(FOMC)では追加利下げが決定されたが、12月のF
OMCでの追加利下げに関しては、パウエル連邦準備理事会(FRB)議長を始めとす
る関係者から否定的な見解が示されていることもNY金市場にとっての上値抑制要因で
ある。ただ、安全資産を刺激し得る要因が依然として見受けられ、値位置を切り下げる
動きに転じる可能性は低いと見られる。
 米中関係に関しては、米国と中国の間で首脳会談が行われたことは米中貿易摩擦に対
する警戒感を後退させる要因ながらも、今回の首脳会談での取り決めは関税引き上げを
一年後に伸ばすなどの延長措置が中心であり、将来的に再び米中間の貿易摩擦が激化す
る可能性が残されている。
 米国内に目を転じてみても、つなぎ予算はいまだ認可に至っておらず、政府の一部機
関の閉鎖が続いている。
 米政府機関の一部閉鎖は過去最長に達しているが、未だに政府機関再開の見通しが立
たない状態にある。政府機関の一部閉鎖が開始された10月以降は多くの経済指標の発
表が見送られ、米国の経済や雇用情勢の現在の状況を把握するのが難しい状態が続いて
いるが、今後も同様の状態が続く見通しとなっている。
 最新の具体的な経済指標の発表が無ければ、米経済や雇用情勢の現状を把握するのが
困難となる。FRBからは米国の雇用情勢や経済に対し楽観的な見解も聞かれが、具体
的な数値により状況を確認出来ない状態が続くことは米経済情勢に対する不安感を高め
る要因になる。
 9月まで米雇用統計は予定通りに発表されてきたにもかわらず、年次統計で大きく引
き下げられたことがある。これが米雇用情勢悪化に対する警戒感を高める一因となって
いる。
 同時に警戒されるのがインフレの加速化だ。米国では8月1日に相互関税の上乗せ分
が発動されたが、それ以降、米国国内ではインフレ加速化に対する懸念がくすぶってい
る。
 これまでのところ企業努力もあってインフレの伸び率は限られているが、関税引き上
げ分の価格転嫁の動きも広まっていると見られる。雇用情勢が難化するなか、インフレ
が加速化するようであれば消費者の消費欲が一気に後退するリスクがある。
 5日に発表されたADP雇用統計は事前予想を上回ったことで、雇用情勢に対する不
安感は後退したものの、5日のNY金は堅調に推移し、逃避買い需要の根強さを窺わせ
ている。
 次の注目要因となるのが7日に予定されている米労働省による10月の雇用統計。そ
の内容がADP雇用統計に反するものだった場合、安全資産として金を求める動きが高
まる可能性がある。
 一方、雇用統計の発表が見送られた場合には、米政府機関の一部閉鎖の長期化により
最新の米経済活動の状況や雇用情勢が把握できず、有用な金融政策を適時実施できない
との懸念が高まり、逃避買い需要が刺激されるシナリオが描ける。
 既に買い一巡感が強いだけに上昇の勢いには欠けるが、一方で売り一巡感も強まって
4000ドルに近づく動きを見せるなど、底堅さを維持している。安全資産としての根
強い需要に支えられ、今後の1週間は3950〜4030ドル前後で推移すると予想し
たい。

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