コモディティレポート(金)

配信元:MINKABU PRESS
著者:MINKABU PRESS
【NY金は米政府機関の一部閉鎖解除期待や逃避買い需要で高止まり】
 NY金12月限は10月28日から11月7日にかけて4000ドル前後で推移した
が、今週に入り地合いを引き締め11日に4155ドルと10月24日以来の高値まで
浮上。12日の取引ではさらに値位置を伸ばし史上最高値を付けた10月20日以来と
なる4200ドル台を示現している。
 10月20日にかけて史上最高値を更新した時は、8月1日には米関税上乗せ分が発
動されたことにより、物価高が警戒された。米雇用情勢が軟化傾向を強めていることで
米景気不安が強まると同時に。10月米公開市場委員会(FOMC)での追加利下げ観
測、米中の貿易摩擦や米地銀の信用不安、イスラエルによるガザ地区への攻撃による地
政学不安が高まったことが押し上げ要因となった。
 高値を離れた後は、10月30日の米中首脳会談開催と米中貿易摩擦激化に対する警
戒感の後退、10月FOMCで追加利下げが決定されたことによる材料織り込み感、パ
ウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の会見を受けた年内の追加利下げ観測の後退が
重石となったものの、くすぶる米雇用情勢不安とインフレ加速化懸念、そして米政府機
関の一部閉鎖が下支え要因になったことで、4000ドル水準を維持した。
 米政府機関の一部閉鎖は、閉鎖期間が過去最長となり、一部の米政府による経済指標
の発表も見送られて最新の米経済および雇用情勢の把握が困難となり、閉鎖による公共
サービスの停止による米経済への影響も懸念される状況となったが、11日には米国で
上院でつなぎ予算が可決されたことで数日内に解除に向かう見通しが強まっている。
 この米政府機関の一部閉鎖解除観測は安全資産を求める動きを鈍化させ得るため、N
Y金市場にとっては弱材料として受け止められてもおかしくない要因ながら、NY金市
場の地合いが引き締まっているのは米雇用情勢の悪化に対する警戒感の強まりが背景と
なっている。
 米労働省による雇用統計の発表は、米政府機関の一部閉鎖により9月分、10月分の
2か月分が見送られているうえ、10月分に関してはデータ収集が行われていないため
公表されない可能性も浮上している。
 米労働省による雇用統計の代替として注目されるADP月次雇用統計では10月の雇
用者数の前月比は事前予想の3万2000人増を上回る4万2000人増、と強気な内
容となったが、その内訳は従業員500人以上の大企業で7万3000人増となる一
方、従業員50人未満の小規模事業所は1万人減、そして従業員数50〜499人の中
規模事業所では2万1000人減、と大企業と中小企業とで明暗が分かれてる様子が示
された。

 米政府機関一部閉鎖前に発表された8月小売売上高は前月を上回る強気な内容だった
ものの、その内訳は高所得者層による旺盛な消費が全体をけん引しているとして消費格
差の拡大が窺われているが、10月ADP雇用統計では企業間の雇用状況においても事
業規模による格差が生じている。
 さらに11日にはADP週次雇用統計が発表されたが、今回の発表で10月下旬まで
の4週間は週平均1万1250人の雇用を削減したとの推計が明らかにされたことによ
り、米雇用情勢軟化に対する警戒感が強まった。
 この軟調な雇用統計に加え米政府機関一部閉鎖が米経済に与える影響に対する懸念も
深まっている。約6週間に渡る米政府機関の一部閉鎖の影響は飛行機の運航にも及んだ
が、その影響に対する警戒感は7日に発表された米ミシガン大学11月消費者信頼感指
数が50.3とおよそ3年半ぶりの低水準まで落ち込んだことに示されている。
 この米政府機関の一部閉鎖が米経済に与える影響はおよそ6週間で米政府機関一部閉
鎖が解除されると想定した場合でも第4四半期の実質国内総生産(GDP)の前期比で
1.5%程度の押し下げ効果があると議会予算局(CBO)は試算しており、米経済へ
のマイナスの影響は避けられそうにない。
 雇用情勢悪化の可能性が伝えられるなか、長期に渡る米政府機関の一部閉鎖の影響が
米経済成長にマイナスの影響を与える可能性が示唆されていることは、年内の追加利下
げに対するパウエルFRB議長の慎重な姿勢にもかかわらず、12月FOMCでの追加
利下げ観測を高める要因だ。
 10日に上院でつなぎ予算が可決されたことを受けて米政府機関一部閉鎖の解除も近
いと見られるが、これまでの長期に渡る閉鎖が米経済にマイナスの影響を与えると見ら
れるうえ、米雇用情勢軟化の可能性や米インフレ加速化の可能性、また米国の消費格差
の拡大が不安要因となるなか、安全資産を求める根強い動きがNY金の下支え要因とな
り、12月限は4200ドル台での高下が続く可能性が高いと予想。4200ドル割れ
は押し目買いが喚起されるとみる。
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