コモディティレポート(金)

配信元:MINKABU PRESS
著者:MINKABU PRESS
【NY金は高まる地政学不安や米経済不安で高止まりに】
 NY金期近2月限は12月12日から19日にかけて4400ドルを上値抵抗線にし
たもちあいが続いていたが、23日に急伸して4530.8ドルに到達。続く24日に
は4555.1ドルに達し、指標限月として史上最高値を更新した。
 4400ドル手前まで値を伸ばしながらも伸び悩んでいたNY金を押し上げる要因と
なったのが地政学不安だ。米国は9月2日に麻薬を積んでカリブ海を航行していたベネ
ズエラの高速艇を攻撃して沈没させた、と発表した。米国による中南米での軍事攻撃は
1989年以来のことと伝えられているが、その後も軍事行動が継続された結果、12
月17日時点の攻撃回数は20回を超えている。
 これに加え、トランプ大統領は資金源を断つとしてベネズエラ沖でタンカーを拿捕し
たのみならず、ベネズエラに制裁対象となる石油タンカーが出入りすることを全面封鎖
すると表明した。さらにベネズエラのマドゥロ政権をテロ支援組織に指定したとの発表
も行っている。
 米国の強硬な姿勢を受け、トランプ大統領の思惑は麻薬流入の阻止と同時に世界最大
の埋蔵量を誇るベネズエラの石油資源にあるとの見方も浮上している。米国によるベネ
ズエラへの攻撃に対しては国際的に非難の声も挙がっているものの、マドゥロ政権が崩
壊するまでベネズエラに対する攻撃が続く可能性があり、これが地政学不安をよりいっ
そう強めている。
 その一方で米国内においては12月消費者信頼感指数は雇用と所得に対する不安感が
高まるなか前回を下回る水準まで低下している。
 米決済大手ビザとマスターカードが公表した今年のホリデーシーズンの小売売上高の
暫定値は約4%増で消費の底堅さが示されている。ただ雇用情勢は軟化傾向が続いてい
ると見られるうえ、8月1日の相互関税上乗せ分の発動以来、関税引き上げ分の価格へ
の転嫁が進んでいることを受け、ホリデーシーズンを終えた後は個人の消費意欲が減退
に向かうリスクがある。
 また、米個人消費に関しては富裕層と中低所得者との間で消費意欲に差が生じている
可能性が指摘されており、中低所得者の消費の停滞に対する警戒感も強い。
 米国外では地政学不安、米国内での経済不安が強まるなか、金に対する安全資産とし
ての需要はいっそう膨らんでいる。SPDRの金ETF残高は23日時点で1064.
56トンと22年6月以来の高水準に達しており、需要が増加している様子を示唆して
いる。
 さらに、人工知能(AI)の今後の使用頻度の増加に対応するための電力供給増加を
目的とした設備投資などにより太陽光発電パネルなどに使用される銀価格の高騰が続い
ていることは、比価の観点から金価格を押し上げる手掛かりになる。同時に高騰後の反
動安が発生した場合の逃避先としての需要を刺激する要因にもなる。
 米国の経済不安がくすぶるなかで米国とベネズエラの関係悪化や地政学不安の高まり
が安全資産として金を求める動きを高める一方、産業用としての需要増を受けて史上最
高値を更新する銀価格の動向も金市場においての買い支援要因になっている。クリスマ
ス休暇迎えるなか、利益確定の動きが活発化すればこれまで上昇した応分の押しが見ら
れる可能性はあるが、高まる需要に支えられてNY金2月限は再び高値を更新する可能
性がある。押し目形成の場合、短期線の5日移動平均線が通る4446ドル水準が支持
線。その水準を割り込むと4400ドル前後まで調整安が進むことを想定したい。
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