【NY金は地政学不安の高まりや、くすぶる米経済不安に支えられる】 NY金期近2月限はクリスマス休暇明けとなる昨年12月26日に4584ドルの高 値をつけ、指標限月としての史上最高値を更新した後、利益確定から急落に転じ200 ドルを超える下げ幅を記録。年明けは買い一巡感が強まるなか調整含みの動きもみられ たが、5日から6日にかけて再び地合いを引き締め4500ドル台まで浮上した。 急激に高まっている地政学不安が急浮上の主因となっている。3日に米国はベネズエ ラに対して大規模な攻撃を実施し、マドゥロ大統領を拘束した。その後、マドゥロ大統 領はベネズエラ国外に移送され、米国で出廷している。 米国によるベネズエラへの攻撃が激化したのは昨年9月以降であり、その理由として 米国への麻薬流入の阻止を挙げている。ただ、米国によるベネズエラの高速艇を始めと するべネブエラ籍の船舶への攻撃を20回以上に達するうえ、資金源を断つとしてベネ ズエラ沖でタンカーを拿捕したうえ、ベネズエラに制裁対象となる石油タンカーの出入 りも全面封鎖されるなどの動きは見られていた。 この米国の動きは、麻薬流入の阻止のみならず、3000億バレルを超え世界最大と されるベネズエラの原油埋蔵量も狙いがあると見られているが、今回、船舶への攻撃に とどまらず、他国を攻撃しその国の大統領を拘束したことは、米国とベネズエラの間の 緊張を高めただけでない。 米国によるベネズエラ攻撃が昨年12月5日に明らかにした国家安全保障戦略(NS S)に基づいた行動となるなか、この動きがロシアとウクライナ、そして中国と台湾な ど、すでに衝突が発生しているもしくは緊張の高まりが見られる国々に対しても影響を 与えかねず、世界的に地政学不安が高まる恐れがある。 既にベネズエラの暫定政権は米国に対して3000万〜5000万バレルの原油を米 国に受け渡すことを表明しているが、ベネズエラの石油に関しては、中国およびロシア が権益を保有しているため、米国とこの両国との緊張の高まりも警戒される。 この地政学不安に加え、くすぶる米雇用情勢の軟化懸念とこれを受けた消費活動の停 滞が依然として懸念される。米経済に関しては、昨年の米第3四半期の国内総生産(G DP)の前期比の伸び率は速報値では前回を上回るなど、強気な成長を見せた。ただ、 GDPの成長をけん引した個人消費の内訳は株価上昇の恩恵を受けた富裕層で増加する 一方、中・低所得者に関しては関税引き上げの価格転嫁が進みインフレが加速化すると 同時に賃金が伸び悩んでいることで、消費活動が抑制された可能性がある。 2026年の米経済に関しては、トランプ政権による大型減税の恩恵により景気拡大 路線が見込まれるものの、個人消費に関しては見通しに不透明感が強い。今週は9日に 米労働省発表の昨年12月の米雇用統計の発表があり、米雇用情勢の状況を窺うことが できるが、その内容次第では米経済に対する警戒感を高めかねない。 また、パウエル米連邦準備理事会(FRB)の任期の期限を今年5月15日に迎える が、次期議長がトランプ派であった場合には追加利下げが実行される可能性が高まると 見られる。 このくすぶる米雇用情勢軟化とこれを受けた米経済不安、米追加利下げの可能性は引 き続きNY金市場にとっての買い支援要因になろう。 これらのNY金市場独自の要因に加え、供給不足に対する警戒感から非鉄貴金属が高 騰している影響がNY金市場に波及すると見られるほか、非鉄貴金属がこれまでの高騰 の反動安に転じるリスクが高まっていることなどは、いずれも金需要を刺激する要因に なり得る。 昨年12月に一代の高値を更新した後に値を落としたことで目先の買い一巡の可能性 はあるものの、逃避買い需要を刺激する要因が目立つ状況が続いているだけにNY金の 底意は強く、再び高値を更新する可能性を含んだうえでの高もみあいを継続となりそう だ。 MINKABU PRESS
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