【金は中東情勢を睨んでの一進一退のなか根強い需要に支えられる】 NY金6月限は4月に入ってから4800ドル台に達しながらもその後、4600ド ルを割り込む水準まで値を落とす場面も見られたが、4月8日に再浮上し4888ドル を記録。この水準を離れた後も4800ドル前後の値位置を保つ底堅く推移している。 2月28日に開始された米国によるイラン軍事攻撃以降、双方の攻撃の激化やイラン による中東諸国への攻撃、そしてイスラエルによるレバノン攻撃により中東情勢不安が 高まった。また、イランによるホルムズ海峡の実質的な封鎖による原油が高騰し、世界 経済への影響が懸念される。 パキスタンが仲介役となって4月7日に米国とイランとの間で2週間の停戦が合意に 至り、11日にパキスタンの首都イスラマバードで米国とイランの和平協議が開始され るなど、戦争終結に向けた動きも見られている。11日に開催された話し合いの時点で は、双方の主張での妥協点を見出すことが出来ず合意に至らなかったが、トランプ米大 統領は14日に近日中に米国とイランとの間で和平協議が再開される可能性について言 及している。 前回の和平協議において戦闘の恒久的な終結の条件としてそれぞれが提示した条件を 双方がいったん持ち帰り、それぞれ国内で協議を重ねて妥協点を探るための話し合いが 再び行われると見られる。前回の協議で米国がイランに提示した条件のうちの一つはホ ルムズ海峡の即時解放、一方のイラン側はホルムズ海峡の管理継続を主張した、と伝え られている。 他にも核開発を巡る交渉も折り合いが見られなかったが、22日に停戦期限を控えて いるだけに、双方でどのような話し合いが行われ、また歩み寄りが見られるかが注目さ れ、NY金も目先は中東情勢の状況を睨みながらの模様眺めになる可能性が高い。 また同時に、金には安全資産を求める動きも引き続き見られることになりそうだ。今 回のイラン戦争はトランプ米政権の持つ不確実性を改めて意識されるものとなってい る。イラン戦争が激化する過程において、NY金は2月下旬までの過去最高値の価格帯 から値を落としたが、その一因となったのがリスク回避の動きにより米株など他金融資 産が大きく値を落としたことで広がった損失補てんのための利益確定の動きだった。 また、3月米消費者物価指数(CPI)の前年同月比は2月時点の+2.4%を大幅 に上回る+3.3%となり、イラン戦争激化およびイランによるホルムズ海峡の事実上 の封鎖を受けた原油高騰が米国のインフレ率を押し上げている様子が示された。これを 受けて米利下げ観測が後退したことはNY金の下押し要因となっている。 注意したいのは、このCPIの上昇は米国の個人消費意欲を停滞させる可能性がある 点だ。2月の米小売売上高は約7カ月ぶりの伸びを記録する好調となった。また、3月 雇用統計でも非農業部門の新規雇用者数は事前予想を大幅に上回るなど、雇用の底堅さ を示唆する発表となっているが、その一方で3月の平均時給の前月比は2月に記録した +0.4%を下回る+0.2%にとどまっている。 これは3月は原油高騰によりインフレ率の伸び率が上昇したものの、賃金は伸び悩ん だ状況を示しているが、米国の国内総生産(GDP)のうち70%程度は個人消費で占 められているだけに、個人消費が抑制され得る指標の発表は米経済への不安をさらに高 めかねない。 トランプ米政権の不確実性が改めて意識されたことや、米経済への不安はドル離れの 動きを促進する可能性があり、金価格は2月下旬までの最高値付近を下回っているとは いえ、金に対する需要は根強いと見られる。 22日までの停戦期限までに米国とイランの和平協議に進展が見られ、恒久的な戦争 の終結に合意するかどうかが注目されるなか、NY金は中東情勢を睨んでの一進一退の 動きが続くと見られるが、米国によるイラン攻撃はドル建て資産を保有するリスクを改 めて意識させる機会にもなった。NY金は4800ドル台前半〜半ばで推移後、次第に 値位置を切り上げると予想。 MINKABU PRESS
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