貴金属4品週間見通し=金は中東情勢不安の長期化懸念で底固い

配信元:MINKABU PRESS
著者:MINKABU PRESS
<金>
 NY金6月限は4月上旬から17日にかけて4800ドルを前後する動きが続いてい
たが、20日の週を迎えてからは軟化傾向を強めている。23日は一時4680.1ド
ルと4月13日以来の安値まで下落。終値で4700ドル台となり、4800ドルに達
する場面は見られず、上昇に対する抵抗が次第に強まっている様子を窺わせた。
 22日は米国とイランの停戦期限だったが、停戦期限内に和平交渉を再開するに至る
ことはできなかった。これに対し、トランプ米大統領も停戦期限の延長を表明したもの
の、その停戦期限については設けない、としており、いつ、どの段階で和平協議が再開
されるのか、見通しに不透明感が強い状況が続いている。停戦期限中もホルムズ海峡の
事実上の封鎖は続けられており、エネルギー需給の引き締りが警戒される。
 ホルムズ海峡の封鎖によってエネルギー価格の高騰が続いている。NY原油6月限は
4月7日に100ドル台に再到達した後、90ドル前後まで値を落とし、その後、米国
とイランの和平協議再開期待が高まった17日に78.97ドルと3月11日以来の水
準まで下落した。ただ、和平協議が再開されず、その見通しも立たないなかで再び上昇
に転じ、23日は終値ベースで95ドル台を記録している。
 ホルムズ海峡は世界の原油及び液化天然ガスの約2割が通過しているが、その封鎖に
よって原油価格の高騰を招いている。米3月小売売上高はソリンスタンドの伸び率が前
月比で+15.5%と大幅に上昇したことが主因となって前月比で+1.7%と事前予
想の+1.4%を上回る伸びを見せた。ただガソリンと食料以外の伸びは限られてお
り、エネルギーおよび食料と生活必需品の消費額は上昇する一方で、嗜好品への消費が
抑制されている様子が示されている。
 また、米国では3月消費者物価指数が前年同月比で+3.3%を記録するインフレ高
進傾向を示す一方、3月雇用者数は事前予想を上回る伸びを見せながらも平均時給は伸
び悩んでいることが明らかとなっている。
 これは消費者の購買力が低下している可能性を示すものだけに、米国とイランの戦争
が長期化すればするほど個人消費が停滞することが見込まれる。
 米国とイランの戦争の長期化懸念は有事のドル買いを促す要因になっているものの、
米国の景気そのものの落ち込みが見込まれるなかでは、米国発の資産離れの動きが広が
る可能性が想定される。
 2月末の米国によるイラン攻撃以降、NY金は4800ドル前後でのもちあいが続い
ているが、上げ余地が限られる一方で下落局面ではすぐに買い戻されるなど、底意の強
さも窺わせている。
 米国とイランの戦争の終着点の見通しがつかず、これが米経済および世界経済に悪影
響をもたらす要因になってきていることから、安全資産として金を求める動きは根強そ
うだ。中東情勢不安の長期化懸念で転売の動きが見られても4600ドル前後が強い
下値支持線として意識されるなかでの底固い動きが見込まれる。
<銀>
 NY銀7月限は米国とイランの和平協議再開期待が高まるなか17日にかけて浮上し
た。その後は、和平協議再開に至らずに停戦期限を迎えたうえ、トランプ米大統領によ
る期限を設定しないうえでの停戦期限の延長を受けた米国とイランの戦争長期化懸念
が強まり再び軟化に転じ、7600セント台まで値を落としている。
 人口知能(AI)への設備投資拡大が見込まれていることが価格を支える要因となっ
ており、大幅な下落の余地は限られていると見られるが、米国とイランの戦争長期化に
よる経済への悪影響が懸念されるだけに上昇への勢いも乏しい。
 引き続き7600セント前後で高下することになりそうだ。
<白金>
 NY白金7月限は米国とイランの和平協議再開期待から17日にかけ浮上し2200
ドルに迫る動きを見せていたが、和平協議の再開に至らずに停戦期限を迎えたうえ、ト
ランプ米大統領が停戦期限の延長を表明しながらも期限を設定しなかったことで米国と
イランの戦争長期化懸念が強まるなか、上値の重い動きになっている。
 人工知能(AI)のデータセンター設立や電気自動車(EV)の生産増見通しなどを
受けた工業用としての需要は底固いと見られる一方で、中東情勢不安の長期化による経
済への影響が懸念される。
 2026年は需給の改善が見込まれていることも重石であり、引き続き2000ドル
を下値支持線にしてのもちあいが予想される。
<パラジウム>
 NYパラジウム6月限は1600ドル前後の値位置を維持していたが、23日の取引
で急落。他貴金属の動きに連動しての売りに下押されている。
 独自の材料に乏しいなか、米国とイランの戦争長期化懸念が他貴金属の上値抑制要因
になっていることを受けて1500ドル前後での低迷が見込まれる。
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