米インフレ高進による経済不安が高まり金は底堅く推移か NY金6月限は5月4日に4510.10ドルまで値を落とした後に浮上したが、そ の後は4700ドル台でのもちあいが続いている。 米国とイスラエルによるイラン攻撃が行われた2月28日以降、3月上旬にかけては 安全資産を求める動きが金価格を押し上げたが、3月半ばには金価格は急落。イランに よるホルムズ海峡の事実上の封鎖を受けて世界的にエネルギー供給引き締まり懸念が強 まったうえ、米国とイランの戦争が長引き、原油価格が高止まりしていることがその背 景となっている。 原油価格の高騰はインフレ高進に対する警戒感を高めているが、実際に米国の3月の 消費者物価指数(CPI)の前年同月比は3月に記録した+3.3%から+3.8%ま で上昇。3年ぶりの高水準となる伸びを記録したのは、ガソリンが前年同月に比べると 約30%程度の上昇を見せるなどエネルギー価格の高騰が主因となった。 ただ4月に関しては変動が激しい食品・エネルギーを除いたコアCPIの前年同月比 も3月に記録した+2.6%に対し+2.8%上昇しており、全分野にわたって価格が 上昇傾向にある可能性が示されている。 この原油価格の高騰を受けたCPIの上昇は米連邦準備理事会(FRB)による利上 げ観測を強めると同時に、米10年債の利回りを押し上げており、12日時点の米10 年債利回りは約4.46%まで浮上している。 米10年債の利回り上昇やFRBによる利上げ観測は、金利により差益が生まれる米 ドル・債券などの金融資産にとっては好材料となる一方、金利による差益を産まない金 にとっては上値を抑制する要因になる。 そのため、今後も引き続き米国とイランの戦闘終結に向けた交渉に進展が見られず原 油価格の高騰が続くようであればインフレの高止まりやこれを受けたFRBの利上げ観 測の強まりや米金利の上昇が想定され、これがNY金市場の重石になってくることが予 想される。 ただ、その一方でインフレの高止まりが米経済に与える影響に対する懸念も深まるこ とが予想される。4月時点では米雇用者数は予想以上の増加を見せており、安定した雇 用状態が続いている可能性を示しているが、賃金上昇率は鈍っており物価の上昇に賃金 の上昇が追い付かない状況が窺われる。 3月時点で米国の貯蓄率は前月の+3.9%から+3.6%まで低下していることが 明らかとなっており、米国の消費者が貯金を取り崩しながら消費活動を行っている様子 を示唆している。4月にはさらにインフレ率が上昇しているため、3月に続いて4月も 賃金の上昇率が伸び悩んでいた場合には、支出を引き締める動きが強まり米国内総生産 (GDP)の約70%を占める個人消費に影響が出てくる可能性もある。 4月の米卸売物価指数(PPI)も予想以上の上昇を見せるなど、インフレ高進の動 きが示されるなか、米金利の高止まりやFRBの利上げ観測の高まりがNY金市場での 上値抑制要因となる一方、米経済不安もさらに高まると見られる。米経済に対する警戒 感を受けて安全資産が底堅さを増すと見られ、NY金は引き続き4700ドル前後の値 位置を維持する展開が見込まれる。 MINKABU PRESS
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