【通貨別まとめと見通し】メキシコペソ円:9.10円台の岩盤支持線を再確認、高金利通貨の底力で9.20円突破に再挑戦へ 先週(5月11日〜5月18日)のまとめ 先週のメキシコペソ円は、他クロス円と同様に日本当局による為替介入警戒感やポジション調整の売りに晒され、週末にかけて激しく下押しする場面があった。しかし、メキシコペソが持つ圧倒的な金利優位性(キャリートレードの妙味)を背景に、下値では極めて旺盛な押し目買いが観測された。2度にわたる9.10円近辺への急落をすべてV字回復で跳ね返し、上昇トレンドの強固さを証明する1週間となった。 9.10円割れからのロケットスタートと9.20円到達(5月11日〜14日) 週明け11日(月)の早朝取引では流動性低下も重なり一時9.0710円まで急下落する場面があったが、この押し目は瞬く間に買われ、海外時間には9.14円台まで急反発。勢そのままに13日(水)には9.17円台へとクローズを切り上げ、14日(木)には一時9.2007円まで上昇し大台へと到達した。急落をチャンスと捉えたペソ買い・円売りのキャリー勢が主導する、教科書通りの右肩上がりのリバウンドを演じた。 週末のフラッシュ的急落と9.10円台前半での大底確認(5月15日) 15日(金)に入ると流れが一変した。214円台から急落したポンド円など他クロス円の崩壊に巻き込まれる形で、ペソ円も利益確定売りに押された。欧州・ニューヨーク時間にかけて下げ幅を拡大すると、一時9.1068円まで急落。週初の安値(9.07円台)に迫る深い調整となったが、ここでも大台の9.10円近辺が「岩盤支持線」として機能。引けにかけては9.1411円まで値を戻して週の取引を終えた。 週明けのV字反発と9.20円への再接近(5月18日〜19日現在) 週明け18日(月)に入ると、週末の懸念を完全に吹き飛ばす全面ペソ高の展開となった。オセアニア時間に9.1290円の押し目を形成した後は一気呵成に買い戻され、ニューヨーク時間には9.18円台を奪還(終値9.1819円)。本日19日(火)午前現在も9.19〜9.20円台(直近高値9.2029円)で高値維持を続けており、先週の調整を経て完全に売り方を踏み上げた格好となっている。 ファンダメンタルズ分析 先週から今週にかけてのファンダメンタルズは、「メキシコ中銀(Banxico)の高金利維持観測」と「旺盛な円キャリートレードの需給」が完全に相場を下支えしている。 • メキシコ側(ペソ固有の強さ): メキシコ中銀はインフレの粘り強さを警戒し、利下げに対して極めて慎重な姿勢を崩していない。このため主要国の中でも傑出した高い政策金利(インプライド・イールド)が維持されており、為替市場全体がボラティリティの低下(小康状態)を迎えるたびに、高金利のメキシコペソを購入して低金利の円を売る「キャリートレード」のインフローが自動的に入りやすい環境が続いている。 • 日本側(円の弱さ): 15日のような「他クロス円の急落に伴う巻き込み」や当局の円安牽制はペソ円の一時的な急落を招くものの、日メキシコの圧倒的な金利差を考慮すると「円を長期保有するメリット」が皆無であるため、調整局面は常に新規のペソロング構築の「絶好の好機」として実需・投機筋の双方に利用されている。 テクニカル分析 • トレンド: 日足・時間足レベル共に「右肩上がりの上昇チャネル」を完全に維持。先週2度にわたって9.10円近辺へのディープな押し目(11日の9.07円、15日の9.10円)を作ったことで需給のウミ(高値掴みのロングポジション)が完全に絞り出され、チャートは非常に健全な上昇再開の形を形成している。 • レジスタンス1: 9.2000 - 9.2030(直近のダブルトップ候補、14日高値9.2007、19日高値9.2029の心理的節目) • レジスタンス2: 9.2500(4月中旬に記録した年初来高値圏の重要レジスタンス) • サポート1: 9.1400 - 9.1500(週平均値水準、直近保ち合いの上限であり反転の起点) • サポート2: 9.1000(先週15日の急落を食い止めた、市場の最重要岩盤支持線) RSI (14時間足): 15日の急落時には一時30を割り込み(売られすぎ圏)まで叩き売られたが、18日〜19日のV字回復に伴い、現在は $60 \sim 73$ 付近の強気圏を推移している。一時的に過熱感を示しつつあるが、ショートスクイーズ(踏み上げ)のモメンタムが勝っており、上値をじりじりと追う余力は十分にある。 MACD: 15日の下落でデッドクロスを形成したものの、18日の大陽線によって即座にゼロラインより上のプラス圏で「ゴールデンクロス」へと反転した。ヒストグラムもプラス圏で綺麗に拡大しており、短期的な下落トレンドへの傾きが完全に否定され、買い一色のモメンタムが再点火したことを示している。 今後のポイント・見通し 今週の最大の焦点は、先週2度跳ね返された「9.20円の壁を完全にブレイクアウトし定着できるか」、そして「年初来高値である9.25円への回帰」を進められるかである。 【メインシナリオ】9.20円の明確な上抜けとチャネル上限(9.25円)への回帰 先週金曜日の深い調整によってポジションの偏りが解消され、週明けの反発でショート(売り方)の踏み上げが始まっている。ボラティリティが落ち着き、リスクオンの地合いが継続すれば、蓄積されたキャリー需給により9.20円を上抜ける。そこからはストップロスを巻き込みながら、主戦場を9.22〜9.25円台へとシフトさせる公算が極めて高い。 • 想定レンジ: 9.1500 - 9.2500 • 根拠: 9.10円のサポートが先週完全に実証されたこと、金利差需給が常にペソ買いをバックアップしていること、MACDがプラス圏でのゴールデンクロスを維持していること。 【対抗シナリオ】9.20円トリプルトップ形成によるレンジ内保ち合いへの移行 9.20円の手前(あるいは9.2029円付近)で再び「ドル円の介入警戒感」などがクロス円全体に飛び火した場合、上値の重さから再び9.14〜9.15円近辺まで押し戻される可能性がある。ただし、ペソ単体のファンダメンタルズ(高金利)が崩れない限り、下値は9.12〜9.14円水準で確実にサポートされ、高値圏での保ち合い(パワー蓄積)が続く。 • 想定レンジ: 9.1200 - 9.2050 • 根拠: 日本当局の円安阻止スタンスへの警戒感がクロス円共通のブレ要素であること、急騰の反動による短期的な利食い売り。 総評 先週のメキシコペソ円は、一瞬ヒヤリとするような急落(9.10円割れ・タッチ)を演じたものの、そこからの立ち直りの早さは「金利の付く通貨」の圧倒的な優位性を市場に見せつける結果となった。他クロス円(ユーロ円・ポンド円)と比較しても、下値の買い支え圧力の強さはメキシコペソが群を抜いている。 今週中に9.20円のレジスタンスを明確に「サポート」へ昇格させることができれば、年初来高値である9.25円に向けた「ペソ高・円安」の歩みはさらに加速することになるだろう。 今週の主な予定 05/22 21:00 実質GDP(確報値) (2026年 第1四半期) 予想 -0.8% 前回 -0.8% (前期比) 05/22 21:00 実質GDP(確報値) (2026年 第1四半期) 予想 0.1% 前回 0.1% (前年比)
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