【NY金は中東情勢不安の再燃で利上げ観測高まり低迷か】 NY金8月限は6月のADP米雇用者数が事前予想を下回ったうえ、米労働省発表の 6月の雇用統計が弱気な内容となったことで米連邦準備理事会(FRB)による利上げ 観測が後退したことで地合いを引き締めた。 2日に4135.5ドルと4100ドル台を維持して終了。6日は4200ドル台を 回復する場面が見られtが、8日は反落に転じ終値で4100ドルを割り込んでいる。 NY金は6月30日に3955.4ドルと昨年9月末以来の水準まで軟化するなど、 6月末にかけて軟調な動きを強いられたいた。これは米連邦準備理事会(FRB)によ る利上げ観測が背景となっていた。 NY原油は2月末の米国とイランの戦闘開始によって地合いを引き締めた5月は90 ドルを上回る水準で高下。これを受けて5月米消費者物価指数(CPI)は前年同月比 で3年ぶりの高水準となる+4.2%を記録した。 CPIの上昇は米国内のインフレ高進の可能性を示すものだが、それにもかかわらず 米小売売上は4ヵ月連続で拡大するなど、米消費は好調を維持した。 一方の雇用統計も人工知能(AI)の世界的な需要の増加を受けて、データセンター 拡充や設備投資に伴う人員確保の動きから好調となったうえ、旺盛なAI需要は米製造 業の好調も下支えし、インフレ高進でも米経済及び雇用情勢が好調を維持したことがF RBによる利上げ観測を強める要因になっていた。 これに加え、金利の据え置きが決定された6月16〜17日開催の米公開市場委員会 (FOMC)後の記者会見で、ウォーシュFRB議長が物価安定を求める姿勢を明らか にしたため、年内利上げ観測が更に強める一因となっていた。 それが停戦から20日を経たところで米国とイラン双方による攻撃の応酬を行うに至 っている。これにより、米国とイランの停戦合意後に高まっていたホルムズ海峡の航行 正常化期待が後退したうえ、原油需給引き締まりに対する警戒感が強まると同時に、原 油高を受けたインフレ高進の可能性と物価安定を求めるFRBによる利上げ観測も再び 高まっている。 特に原油価格の高騰が長引くようであれば6月FOMCで示された26年末の政策金 利の見通し+3.8%が意識されることになりそうだ。この政策金利の実現のためには 現在の政策金利である3.5−3.75%から0.3%ほどの利上げが必要となる。 7月に入ってからのNY金価格上昇局面では早期利上げ観測が後退しながらも、年内 の利上げ観測は引き続き意識される状況にあっただけに、米国とイランの攻撃の応酬が 長期化するようであれば早期利上げ観測も再び強まる可能性がある。 この米国とイランの攻撃の再開は米利上げに対する意識を高めると同時に、金利によ り差益を産む安全資産としてのドル買いの動きを活発化させる可能性がある。金は国際 市場においてドル建てで取引されるため、米利上げ観測にドル買い傾向が加わる二重の 重石がNY金市場では意識されることになりそうだ。 トランプ米大統領の強硬姿勢に対しイラン側も制裁の再開により経済が圧迫されるこ とで米国への反発が強まると予想されるなか、再び高まった中東情勢懸念に対する意識 が高まるなか、NY金は4100ドルが抵抗線になり、低迷が続くことになりそうだ。 MINKABU PRESS
みんなの株式をはじめ、株探、みんかぶFX、みんなの仮想通貨など金融系メディアの 記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコン テンツなど幅広く提供しています。