【前週のレビュー】ニューヨーク原油8月限は70ドルの節目を挟んだもみ合いから再 び底割れとなり、2日には67.04ドルまで直近の安値を更新した。再び底割れした ため、次の下値目標は、昨年12月16日の55.40ドルから今年5月18日の 100.10ドルまでの上げ幅の78.6%押しに当たる64.97ドル、つまり65 ドルの節目辺りとなるとした。 【NY原油は70ドル台維持が目先の焦点】 ニューヨーク原油8月限は2日の安値67.04ドルを割り込まずに急反発。8日に 76.08ドルの戻り高値を付けた後、9日には大陰線を付けて、71.42ドルの安 値まで急反落した。本稿執筆時の10日午後は72ドル台前半で推移している。 8日の下弦に戻り高値を付けたと見れば、14日の新月まで軟調地合いが続く可能性 がある。差し当たりは70ドルの節目維持が焦点となりそうだが、それを割り込んでダ ブルボトム指向となれば、2日の安値67.04ドルが下値目標となる。 材料的には、ホルムズ海峡でイランが商船攻撃をしたことをきっかけにして、米国が 連日イランを大規模攻撃する一方、イランも中東の他国にある米軍施設を報復攻撃する など再び軍事攻撃の応酬となっている。加えて、クウェートやバーレーンがイランを非 難するとともに、独自にイラン攻撃を行ったという報道も出ている。 原油相場は直近、高値から大きく崩れたものの、これは米国とイランの攻撃の沈静化 による供給懸念の後退というより、米連邦準備制度理事会(FRB)8日に公開した6 月の連邦公開市場委員会(FOMC)議事録で、インフレが高止まりする可能性に言及 されたことで、今後の景気減速や原油需要の鈍化につながるという需要面の懸念が圧迫 要因となった印象が強い。したがって、再び米国とイラン間の攻撃が激化して、石油タ ンカーのホルムズ海峡の通航に影響が出るような事態となれば、いつでも噴き上げる可 能性を秘めている。日本向け関連では、10日の金子国土交通相の発表では、7〜9日 にかけて22隻がホルムズ海峡を通過して、残りは4隻になったという。 今後もホルムズ海峡のタンカーの通過状況は米国とイランの戦闘状況以上に焦点とな りそうだ。 中東情勢に隠れた印象もあるが、ウクライナの度重なる製油所攻撃により、ロシアの 石油製品市場が供給懸念に陥っていることも見逃せない。直近ではノバク副首相がディ ーゼル製品の輸出の全面禁止、そして同時に石油製品を輸入することも発表した。ロシ アは世界最大の原油産油国の一つだが、燃料不足が深刻化して、給油所は長蛇の列が出 来ているという。 加えて、同国の制裁逃れの「影の船団」のタンカーに対するウクライナの攻撃もさら に激化しており、ウクライナ軍は8日、過去72時間で合計19隻のタンカーを攻撃し たと発表した。 もともと2022年以降の対露制裁以降、世界的にはロシア産の供給は一部の国に限 られてきたが、石油製品に関しては純輸入国に転じる可能性さえ出て来ている。 外部要因を見ると、ニューヨークダウ平均株価は過去最高値圏にあるが、直近は高値 からやや反落している。それでも5万2000ドル台は維持している。 ドルインデックスは高値圏から軟化。直近は101ポイント台を再び下回った。 【東京原油のテクニカル分析】 東京原油の6番限である12月限はボリンジャーバンドの−1シグマ(6万9150 円辺り)割れから7万円の節目を抜けると上げ足が加速されて、5営業日連続の陽線を 引いたが、直近は下降中の1シグマ(7万3770円辺り)が上値抵抗となる形で10 日は陰線引けとなった。 【NY原油、ブレント原油のテクニカル分析】 ニューヨーク原油8月限はボリンジャーバンドの−1シグマ(68.67ドル辺り) を再び上回った後は70ドル台乗せから上げ足を加速させたが、直近は下降中の21日 移動平均線でもあるボリンジャーバンドの中心線(74.84ドル辺り)に跳ね返され る形で9日は陰線引けとなった。 ブレント原油9月限は21日移動平均線(76.86ドル辺り)は突破したものの、 似たような値動き。2日の70.14ドルを安値に70ドル台を割り込むことなく急反 発したが、8日に80.59ドルと、80ドル台を達成後は反落している。 MINKABU PRESS *投資や売買については御自身の判断でお願いします。
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