【NY金は米利上げ観測織り込みで底意を強める】 NY金8月限は6月23日に4200ドルを割り込んで以降、4000ドル割れに抵 抗を見せる一方で4200ドルに近づくと売り直される頭の重い動きが続いているが、 7月20日から22日にかけては続伸となり22日は終値で4135ドルを記録。終値 としては7月9日以来の高値であり、4000ドルを割り込む場面が見られていた7月 半ばからは基調の強まりを窺わせる動きとなっている。 米国とイランの戦闘終結に向けた停戦協議が開始されたことを受けて7月上旬に67 ドル台まで値を落としていたNY原油期近はその後、米国とイランの戦闘激化を受けて 再浮上し、22日に6月11日以来の高値となる88.61ドルまで浮上した。中東情 勢の混乱緩和期待に伴って記録したNY原油の下げ幅は概ね相殺されたことになる。 ロシアとウクライナの戦闘激化も原油価格の上昇に拍車をかける可能性を高めてい る。ウクライナによるロシアの主要輸出ルートであるアゾフ海からケルチ海峡を通るル ートでのドローン攻撃が激化から、このルートを介しての輸出が難航している。 ウクライナの攻撃はロシアの主要輸送ルートに加え、製油施設にも積極的に行われて いるため、ロシアの製油所の原油処理量は21年ぶりの低水準となる日量380万バレ ルまで低下している、と伝えられている。また、製油能力の低下の影響でロシア国内で は石油製品の供給が引き締まっているため、7月8日から7月末にかけてディーゼル燃 料(軽油)の輸出を禁止するに至っている。 これらの石油需給不安が原油価格が再び上昇に向かう背景となっているが、ウォーシ ュ米連邦準備理事会(FRB)議長が物価安定に意欲的な姿勢を見せているだけに、こ の原油価格の高騰を受けてFRBが年内利上げに向かう、との見方が強い。 ただ、米国の年内利上げ観測に関しては、6月の米消費者物価指数(CPI)が4% 台、生産者物価指数(PPI)が6%台に達した時点で高まりを見せていた。これが6 月30日にNY金8月限が3855.4ドルまで値を落とす背景となっていた。その 後、NY金価格が浮上に転じているだけに、7月に入ってからの原油価格の上昇を受け て今後のインフレ高進が見込まれるものの、6月時点では年内に2回の利上げを見込む 声も上がるなか金価格が下落していただけに、米国の年内利上げ観測は既に材料として 織り込まれた感がある。 その一方で、有事のドル買いの動きが続き米国の金利が上昇することで、米国債の資 産価値の減少が促されるリスクがあり、その防衛やリスク分散のための手段として中央 銀行による金の需要が根強く見られることが予想される。 また、中東情勢や黒海情勢といった地政学不安の動きが世界的なインフレ高進の動き をもたらしていることは、安全資産として金需要を刺激する要因になると見られる。 NY金8月限にとって、原油価格が再び上昇しインフレ高進懸念が強まっているだけ に4200ドルが依然として目先の上値抵抗線として意識される動きが続きそうだが、 価格低迷が続くなかで安全資産やリスク分散のための金需要が高まるようであれば、現 在のこう着圏を上抜く可能性が高まると見られる。NY金市場で取組高は増加傾向にあ り、金市場への資金流入傾向が強まっている点も注目される。 MINKABU PRESS
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