【NY金は高まる米利上げの可能性を意識した低迷継続か】 NY金8月限は7月16日から続伸し22日に4171.4ドルに達したものの、そ の後、反落に転じており、6月23日以降から続く4000〜4200ドルのもちあい 圏の脱出に至っていない。6月30日に付けた3955.4ドルが目先の安値として意 識されながら4000〜4200ドルのレンジを中心にした、もちあいが続いている。 引き続きNY金市場は、中東情勢の影響が米金融政策にどのような影響を与え得るか という点が意識されている。米国とイランは6月に戦闘終結に向けた停戦協議を開始し 協議中は停戦することで合意が交わされた。停戦合意を受けてホルムズ海峡の航行正常 化期待が高まり、NY原油価格は一時は米国とイランの戦闘が開始された今年2月28 日以前の水準となる67ドル台まで値を落としている。 その後、7月に入って米国とイランの戦闘が激化するなかNY原油は7月23日に5 月21日以来の高水準となる93.50ドルまで浮上。24日には米国によるイラン攻 撃の停止を受けて米国とイランの和平協議の進展期待が高まったため急落に転じたが、 29日に再浮上に転じ80ドル台に達している。 原油価格の再浮上の動きが見られるなかで開催された公開市場委員会(FOMC)で は、金利の据え置きが決定された。しかしながら、FOMC後に行われた記者会見にお いて米連邦準備理事会(FRB)のウォーシュ議長は、2%を超える米物価上昇率につ いて2%が唯一の目標、としたうえで物価高の安定に注力する姿勢を示している。 また、インフレ高進の原因としてエネルギー価格の高騰に加え、トランプ米政権によ る関税の引き上げや世界的な人工知能(AI)需要の増加が指摘されている。そのうち AI関連需要に関しては、汎用メモリーやパワー半導体の供給不足が影響してメモリー 価格が急騰している影響が、電子機器類にも波及している。 半導体の量産体制に向けた調整が進められているとはいえ、工場の拡張や新設が必要 とされているため、価格緩和に向かうほどの供給が可能となるまでには時間を要するこ とが見込まれ、半導体の高騰は当面の間、続く可能性が高い。 中東情勢は、一進一退の状態が続いており、見通しには不透明感が強い。11月3日 には中間選挙の開催を控えているため、中間選挙で勝利したいトランプ米大統領がイラ ンとの交渉進展に向けて動く可能性はある。 しかしながら、目先は安定しない中東情勢を懸念した原油の高止まりが続くと予想さ れ、米国のインフレ高進を後押しする要因になってくると見られる。 原油価格の高止まりや世界的なAI需要の増加を背景とした様々な電子機器の価格上 昇など、インフレ高進を促しかねない要因が目立つなか、ウォーシュ議長は物価安定に 対して意欲的な姿勢を見せていることは、将来的な利上げを強く意識させるものになる と同時にNY金市場での上値抑制要因となる。 年内の米利上げ観測はNY金市場が4200ドルを1か月以上に渡って上抜くことが 出来ない頭の重さとなって現れている。8月上旬には米雇用統計が発表されるが、米雇 用に軟化の可能性が示されなければ、金市場の上値はますます重くなり、4200ドル が当面の上値抵抗線として意識されたうえでの低迷場面が続くことになりそうだ。 MINKABU PRESS
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