【来週の注目材料】前回はサプライズな弱さ、今回は小幅改善見込み=米雇用統計 7日に7月の米雇用統計が発表されます。前回6月分は非農業部門雇用者数(NFP)が+5.7万人と市場予想の+11.3万人を大きく下回る伸びにとどまるサプライズとなりました。さらに5月分が+17.2万人から+12.9万人に、4月分が+17.9万人から+14.8万人に、計7.4万人の大幅な下方修正となる弱い結果となっています。失業率は4.3%から4.2%へ小幅改善していますが、労働参加率が61.8%から61.5%に低下した分とみられ、好印象にはつながりませんでした。 非農業部門雇用者数の内訳を確認すると、政府部門は+0.8万人となりました。5月の+3.2万人から伸びは鈍化したものの、2か月連続でプラス圏を維持しています。民間部門では、財(モノ)部門が+1.0万人と堅調でした。特にAIデータセンターの建設ラッシュが続く中、建設業が+1.1万人と好調さを見せています。一方で、民間サービス部門は+3.9万人にとどまり、3か月連続で伸びが鈍化しました。なかでも小売業が-0.4万人、卸売業が-0.8万人となり、ともに4か月ぶりのマイナス圏に沈んでいます。景気に比較的敏感で雇用の流動性も高い業種だけに、やや警戒感を誘う結果となりました。介護部門など高齢化社会での人手不足業種を抱える教育・医療部門は、+6.9万人と好調さを維持しています。今回、特に弱さが目立ったのは娯楽・接客業の-6.1万人です。この部門が、雇用統計の予想外の弱さをもたらした最大の要因となりました。2026FIFAワールドカップ特需による堅調さが期待されていましたが、予想に反して宿泊・飲食部門が-5.46万人となっています。これについては、6月10日に国土安全保障省の移民関連予算である「セキュア・アメリカ法」が成立し、移民の取り締まり強化が懸念されたことなどが重石となった可能性が指摘されています。 続いて関連指標です。 新規失業保険申請件数は、雇用統計の調査対象週(12日を含む週)の比較で、6月が22.7万件、7月が18.8万件となりました。7月は申請件数が減少しており、労働市場の堅調さを示す好結果(申請件数は少ないほど雇用環境の改善を示します)が目立っています。 7月のコンファレンスボード消費者信頼感指数は90.8と、6月の92.2から悪化しました。市場予想は92.4への改善を見込んでいたため、予想外の低下となっています。雇用関連の質問では、「職が豊富にある」との回答が2021年2月以来の低水準となる一方、「職を見つけるのが困難」との回答の割合も低下しました。「豊富」との回答から「困難」との回答を引いた指数は+3.1と、前回の+3.4から低下しており、労働市場の勢い低下(数値の低下は雇用環境の軟化を意味します)を示しています。 これから発表される指標です。 3日発表の7月ISM製造業景気指数の市場予想は54.0と、前回の53.3から小幅に上昇し、4年ぶりの高水準となった5月の54.0に並ぶと予想されています。前回は新規受注や生産が小幅に鈍化したものの、雇用指数が+1.1ポイント改善の49.7となり、好悪判断の節目である50に迫りました。今回、全体の改善に加えて雇用指数が50の大台を回復すれば、雇用統計への期待感が高まりそうです。 5日発表の同非製造業景気指数の市場予想は54.3と、前回6月の54.0からこちらも小幅な上昇が見込まれています。前回は新規受注の減少などを受けて5月の54.5から鈍化しましたが、雇用指数は+3.3ポイントの51.2へと大幅に上昇し、50を上回る好結果でした。今回もこの雇用の力強さが継続しているかが焦点となります。 4日発表の6月米雇用動態調査(JOLTS)では、求人件数の予想が725万件と、前回の759.4万件から減少する見込みです。前回は市場予想の730万件を大きく超え、2024年5月以来2年ぶりの高水準でした。前回が強かった分、今回はやや弱く見えますが、水準としては底堅さを維持していると言えます。ただ、前回は採用件数が2か月連続で減少し、自発的離職率も低水準にとどまるなど、雇用の流動性低下が警戒される内容でした。今回もこうした内訳の動きに注目が集まります。 5日発表の7月ADP雇用者数の市場予想は+7.5万人と、前回の9.8万人から小幅に伸びが鈍化する見込みです。7月28日に発表された週次の雇用動向を見ると、7月11日までの4週間は週平均+1.5万人と5週連続で減速しており、労働市場の厳しい情勢が示唆されています。 こうした状況を踏まえた今回の市場予想ですが、非農業部門雇用者数は+8.8万人と、前回から伸びが加速する見通しです。失業率の予想は4.2%と前回から横ばい、平均時給も前月比+0.3%、前年比+3.5%と、いずれも6月分から横ばいが見込まれています。非農業部門雇用者数は前回から改善するとはいえ、それ以前の3か月(3月〜5月)の平均である+16.4万人と比べるとかなり弱い伸びにとどまるため、雇用情勢の減速トレンドが継続しているとの印象は拭えないとみられます。セントルイス連銀が試算するブレークイーブン雇用者数(失業率を悪化させないために必要な雇用増の目安)の+1.5万人~+8.7万人という水準は超えているため、極端に悲観的な数字ではありませんが、もし今回の結果が予想を下回るようなら、いったんドル売りが強まる可能性がありそうです。 MINKABUPRESS 山岡
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