【中東情勢不安緩和を受け金上伸、今後は米消費と雇用情勢に注目】 NY金12月限は7月22日に4230ドルまで浮上する動きを見せた後は概ね 4180ドルを抵抗線にしての高下が続くこう着状態となっていたが、NY原油の下落 を受けてインフレ観測が後退したことが買い支援要因となり、5日の取引で急伸し、6 月18日以来の高水準となる4300ドル台まで値を伸ばした。 NY原油価格の下落は、トランプ米大統領がイランに対する攻撃停止を発表した後、 米国は8月3日からイランと交渉を開始していると伝えられたことがきっかけとなっ た。 米国とイランの間ではホルムズ海峡の航行再開について5日の発表を目指し、ホルム ズ海峡の航行再開に向けた話し合いを同海峡の一部の乖離を行っているオマーンの同意 を得たうえで進めているとの報道があった。 これに対しイラン側は話し合いが順調に進んでいるとの米国側の報道を否定し、米国 による脅しがある限り話し合いの進展は難しい、との認識を示すなど、米国側とイラン 側の主張には違いが見られているが、既にNY原油価格はホルムズ海峡の解放を織り込 んでいる印象だ。 ホルムズ海峡の解放期待はNY原油の大幅続落を招き、8月5日時点でNY原油の中 心限月9月限は80ドルを下抜き75ドル前後での高下となっている。75ドル前後と いう価格水準は、米国とイランとの戦闘が開始された2月28日以前の水準であり、不 安定な中東情勢を受けた原油供給引き締まりに対する懸念の後退を示している。 特に、これまで米連邦準備理事会(FRB)のウォーシュ議長が物価安定に向けて 強い意欲を示しており、これを手掛かりにして利上げ観測が強まったことから、この 原油価格の下落は、FRBによる利上げ観測を後退させている。 米国とイランの間では停戦協議中も戦闘が再開されたうえ、双方の主張に相違が見ら れることが依然として不安要素であり、今後、原油価格が再浮上する可能性が残されて いる。とはいえ、米国とイランの戦闘はすでに織り込み感が強く、今後は時折戦闘を交 えながらも最終的な戦闘の終結に向かっているとの見方が強まっている。 NY金も利上げ観測に上値を抑制される動きが続いていただけに、その反動が5日の 取引での急伸につながったと見られ、今後は6月17日以来の4400ドル台を目指す 動きが見られる可能性も出てきている。 注意したいのは、米小売売上高が5カ月連続で前月の伸びを上回るなど、インフレ高 進下でも米国の消費意欲が旺盛さを保っていた点だ。原油価格の下落をきっかけにイン フレ率の上昇が緩和されると購買意欲がさらに刺激される可能性もある。 米製造業景気指数は6月に鈍化しながらも6カ月連続で好況と不況の境目となる50 を上回る好調を維持。加えて、株式市場では価格高騰による需要離れが懸念されて転売 が強まっていた半導体関連株を買い戻す動きが8月に入ってから広がる様子が見られて おり、世界的な半導体需要は根強さを見せている。 加えて底固さを見せる米国の雇用も注目要因となる。底固い雇用が購買意欲を支える 要因となるからだ。 8月7日に米雇用統計が、12日に消費者物価指数(CPI)が発表される。CPI に関しては7月の原油価格の再浮上を受けて前年同月比は6月時点を上回ってくること が予想されるが、その前に発表される雇用統計が好調を維持しているようであれば、年 内利上げ観測を強める根拠の一つとなり得る。 中東情勢不安を受けた原油価格の下落は目先の物価高を緩和させると見られ、これが 年内利上げ観測を後退させていることで、NY金は堅調を維持する可能性が高い。その 一方で、旺盛さを保つ米消費がインフレ率の緩和を促す結果、消費を刺激する要因とな り得る。そこに雇用の好調が加わるようであれば米FRBの利上げに対する意識が再び 高まる可能性がある点に注意が必要だろう。 MINKABU PRESS
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