【通貨別まとめと見通し】ポンド円:216円台の強固な足場が決壊、一週間で10円幅の大暴落となり完全な下落トレンドへ 先週から週明け(8月31日〜9月7日)のまとめ 前週まで216円〜217円台での底堅い推移を見せ、さらなる上値トライを窺っていたポンド円であったが、今週は一転して買い方の期待を完全に粉砕する一週間となった。週前半(8月31日〜9月1日)こそ216円台半ばで小動きを続けていたが、9月2日(水)のNY時間に突如として売りが強まり216円のサポートを下抜け。これを引き金に、高金利通貨特有の「キャリートレードの巻き戻し」が強烈な勢いで発生し、3日(木)には210円割れ、週末4日(金)には一時209.70円台まで急落した。週明け7日(月)以降も下げ止まる気配はなく、足元8日(火)の午前にはついに207.10円台まで突っ込む大暴落劇となった。高値から約10円幅のナイアガラ状の下落となり、上昇トレンドは完全に終焉。現在はパニック的な下値探りのフェーズにある。 詳細な値動きの振り返り ■ 嵐の前の静けさと216円台での高値保ち合い(8月31日〜9月1日) 週前半は、216.30〜216.80円を中心とするレンジで推移。直近の高値圏を維持しており、テクニカル的には日柄調整を経て217円台後半の高値ブレイクを狙う準備段階に見えた。下値も216.30円付近で買い支えられており、相場にはある種の楽観論が漂っていた。 ■ 突然の急落と重要サポートの連続決壊(9月2日〜3日) 相場つきが暗転したのは9月2日(水)の欧州・NY時間である。22時過ぎに突如売りが加速すると、216円の足場があっさりと崩壊。深夜には一時213.70円台まで約3円幅の垂直落下を見せた。翌3日(木)に入っても売り圧力は衰えず、押し目買いのストップロスを次々と巻き込みながら下落。23時台にはついに210円の大台すらも割り込み(安値209.96円)、パニック的な投げ売り相場へと発展した。 ■ 雇用統計での乱高下と週明けの追証売り(9月4日〜足元) 週末4日(金)は米雇用関連指標を背景に乱高下。一時211.81円まで買い戻される場面もあったが上値は重く、NY時間終盤には209.77円まで再び売り叩かれた。週明け7日(月)は211円付近でスタートしたものの、反発力は皆無。夕方から夜間にかけて再び下落トレンドが猛威を振るい、ロンガーの追証売り(強制ロスカット)を巻き込みながら下値を拡大。8日(火)の東京時間午前11時過ぎには207.10円まで到達し、底なし沼の様相を呈している。 ファンダメンタルズ分析 英国側:BOEの慎重な利下げ姿勢も、グローバルなリスクオフの波に呑まれる 英中銀(BOE)は利下げに対して比較的慎重な姿勢を示しており、本来であればポンドは他通貨に対して底堅さを発揮しやすい環境にあった。しかし、ポンド円特有の「リスク感応度の高さ(ハイベータ通貨)」が裏目に出た。ファンダメンタルズの強弱以上に、投機筋による「ポンド買い・円売り」のポジションが極度に積み上がっていたことが、今回の激しい巻き戻し(ロスカットの連鎖)を引き起こした最大の要因である。 日本・米国側:米景気後退懸念と「円キャリー巻き戻し」の再燃 米国の雇用指標や製造業指標の悪化を受け、「米経済のハードランディング(景気後退)懸念」が市場を直撃。世界同時株安の連鎖反応(リスクオフ)が引き起こされた。これにより、8月上旬に起きた「円キャリー取引の巻き戻し」が再び強烈に意識され、最も金利差の恩恵を受けていたポンド円が、最も激しい売り戻しの標的となっている。 テクニカル分析 トレンド判断 217円台を天井とした見事なまでの「三尊天井(ヘッド・アンド・ショルダーズ)」、あるいは「ダブルトップ」を形成し、ネックライン(215〜216円)を明確に下抜けたことで、強烈な下落トレンドが成立した。短期・中期の移動平均線はすべて下向きに転じ、価格はそれらを大きく下回る「完全な弱気相場(パーフェクトオーダーの逆)」となっている。直近で積み上がった巨大な買いポジションがすべて「シコリ(含み損)」となって上値を重くしており、反発しても絶好の戻り売り場を提供するチャート形状である。 【ポンド円 主要なレジスタンス・サポートライン(大幅見直し)】 (上値抵抗帯) レジスタンス3: 213.70 - 214.00円 (9月2日急落時の最初の下値メド、現在は強力な上値の壁) レジスタンス2: 211.80 - 212.00円 (9月4日の乱高下時につけた戻り高値) レジスタンス1: 209.80 - 210.00円 (心理的節目であり、直近のサポートから転換したレジスタンス) (下値支持帯) サポート1: 207.00 - 207.20円 (足元8日午前の安値水準、当面の下げ止まりを見極めるライン) サポート2: 205.00 - 205.50円 (心理的節目および中長期的なテクニカル防衛線) サポート3: 203.50 - 204.00円 (ここを明白に割れると200円の大台割れが視野に入る危険水域) 今週のポイント・見通し 今週の焦点は、わずか1週間で約10円もの暴落を演じた相場が「どこでセリングクライマックス(大底)を迎えるのか」、そして「自律反発時の戻りの鈍さ」を確認することに尽きる。 【メインシナリオ】戻り売り優勢の展開、207円割れから205円台トライへ 急落に対する短期的な買い戻し(ショートカバー)が入り、209円〜210円付近までリバウンドする場面があったとしても、上値には大量の逃げ遅れた買いポジションが控えており、強烈な戻り売り圧力に押される展開。反発力の弱さを市場が確認すれば再び下値攻めが始まり、足元の207.10円を割り込み、次なるターゲットである205円方向へ向けた下落トレンドが継続する動きを見込む。 想定レンジ: 205.00 - 210.00円 根拠: テクニカルの完全な崩壊、グローバルな株安・リスクオフ環境の継続、買い方の戻り待ち売り(やれやれ売り)。 【対抗シナリオ】突っ込み警戒感からの急速な買い戻しによる211円台回復 足元の10円幅という歴史的な大暴落に対する「極度の売られすぎ感(オシレーターの底張り付き)」から、利益確定の買い戻しが強まる展開。米国の株価指数が大幅反発するなどしてリスクオフのパニックが一旦収束した場合、210円の大台を回復し、先週末の戻り高値圏である211円台後半まで急速に値を戻す(リバウンドする)可能性がある。 想定レンジ: 207.00 - 212.00円 根拠: 短期的な過熱感(極度の売られすぎ)の是正、リスクオフ心理の一服、投機筋のショートカバー。 総評 今週のポンド円相場は、216円台という盤石に見えたサポートが「単なる砂上の楼閣」であったことを証明する、残酷な一週間となった。「高金利通貨は上がる時は階段を登るようにゆっくりだが、落ちる時は窓から飛び降りるように早い」という格言を地で行く暴落劇である。 現在、相場は完全に下落トレンドの支配下にあり、値頃感(ここまで下がったからそろそろ上がるだろう)からの逆張り(買い向かい)は、落ちてくるナイフを素手で掴むに等しい最も危険な行為である。基本戦略は「戻り売り(ショート)」一択であり、209円〜210円台へのリバウンドを待ってから売り叩く順張りが推奨される。ポンド特有の凶暴なボラティリティが発現しているため、平時以上にポジションサイズを落とし、ストップロス(損切り)を徹底する厳格な資金管理が生き残りの絶対条件となる。 今週の主な予定と結果 09/04 17:30 建設業PMI(購買担当者景気指数) (8月) 結果 44.3 予想 45.8 前回 44.7 09/08 08:01 BRC既存店売上高 (8月) 結果 0.5% 前回 1.0% (BRC既存店売上高) 09/10 08:01 RICS住宅価格指数 (8月) 予想 -30.0% 前回 -30.0% (RICS住宅価格指数) 09/11 15:00 月次GDP (7月) 予想 0.0% 前回 0.3% (前月比) 09/11 15:00 鉱工業生産指数 (7月) 予想 -0.3% 前回 -0.2% (前月比) 09/11 15:00 鉱工業生産指数 (7月) 予想 0.1% 前回 -0.2% (前年比) 09/11 15:00 製造業生産高 (7月) 予想 0.1% 前回 -0.5% (前月比) 09/11 15:00 製造業生産高 (7月) 予想 2.1% 前回 0.5% (前年比) 09/11 15:00 貿易収支 (7月) 予想 -223.0億ポンド 前回 -230.07億ポンド 09/11 15:00 貿易収支 (7月) 予想 -49.9億ポンド 前回 -55.37億ポンド
みんなの株式をはじめ、株探、みんかぶFX、みんなの仮想通貨など金融系メディアの 記事の執筆を行う編集部です。 投資に役立つニュースやコラム、投資初心者向けコン テンツなど幅広く提供しています。