コモディティレポート(金)

配信元:MINKABU PRESS
著者:MINKABU PRESS
【NY金はインフレ高進環境や追加利上げ観測が重石】
 NY金12月限は9月3日に4539.9ドルで終えたが、その後、続落となり15
日は4333.4ドルで引けた。4日から15日にかけての下落で200ドル以上、値
を落とした。

 原油価格の高騰が続き、インフレ高進見通しが強まっていることが米連邦準備理事会
(FRB)による年内利上げ観測を強め、米長期債の利回り上昇を促していることが、
金利による差益を産まない金にとっての弱材料になっている。
 中東情勢に関しては、米国とイランは6月に最終的な戦闘終結に向けた協議のため、
60日間の停戦期間を設置するとして覚書に署名したものの、ホルムズ海峡の管理に関
する双方の認識に違いが見られるなか協議は難航し、ホルムズ海峡の通常航行の再開に
結びくことができなかった。
 覚書の期限を迎えた後は双方の攻撃が活発化しているうえ、サウジアラビアの原油パ
イプラインも攻撃を受けた結果、操業停止に追い込まれたため、中東情勢の見通し及び
中東諸国からのエネルギ—供給に対する警戒感が強まり、NY原油を100ドル台まで
押し上げる要因となった。
 16日に中国外相の王毅氏がイランのアラグチ外相と会談を行い、米国とイランの両
国に対し協議を促すよう呼びかけた。また、米国防総省がイランとの戦争により弾薬備
蓄の枯渇や軍施設数百棟の損傷を明らかにしたことで、米国がイランへの軍事攻撃を続
けるには限界がある、との見方が広がっている。
 軍事攻撃の継続は、100ドルを上回る水準まで高騰した原油の上値を抑制する要因
となり得る。16日の取引でNY原油が反落に転じたのは、これまでの上伸後の転売と
いう側面に加え、米国とイランの歩み寄りの可能性や、米国の軍事攻撃の更なる長期化
は困難との見方も重石になったと見られる。
 とはいえ、原油価格の高騰が落ち着いたとしても、ロシアとウクライナでの攻撃の応
酬や両国がエネルギー施設を攻撃したと伝えられていることは、引き続き原油価格を下
支えする要因となる。
 また、ロシアとウクライナは双方が小麦の主要供給国ながら、ロシア穀物輸出の要と
なるケルチ海峡がウクライナからの攻撃を受けて同海峡を通しての穀物輸出は困難に陥
っている。ロシアはケルチ海峡にかわりバルト海からの穀物輸出を活発化させている
と、米大手通信社のロイターが伝えているが、バルト海の穀物輸出インフラはケルチ海
峡にとって代わり得るには不十分であり、穀物輸出量が大きく減少する可能性もある。

 小麦輸出の引き締まりは穀物価格の高騰を招く一因となっており、原油価格の高騰を
受けたバイオ燃料油需要増加期待が加わったことで、穀物市場でも一代の高値を更新す
る場面が複数回見られる高騰となっている。
 複数の要因が絡み合っているだけに、原油価格が現在の水準から大きく値を落とさな
い限りインフレ高進の動きが後退する可能性は低いと見られる。
 米連邦準備理事会(FRB)銀行は15〜16日にかけて開催された公開市場委員会
(FOMC)において利上げを決定したが、インフレ高進が促されやすい状況が続くと
予想されるだけに、追加利上げが実施される可能性が残されている。
 16日のNY金は上昇したが、17日のアジア時間の時間外取引は米連邦公開市場委
員会(FOMC)の内容がタカ派的だったことから急落。インフレ高進が促されやすい
環境が継続され、米国とイラン間やロシアとウクライナ間で和平に向けた動きが見られ
ない限り、年内の追加利上げ観測がくすぶり続け、NY金は上値の重い動きとなる可能
性が高いと予想する。
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