【通貨別まとめと見通し】ユーロ円:日米当局の「円安牽制砲」炸裂で180円の防衛線陥落、介入警戒感から上値の重い展開へ 先週から週明け(9月21日〜9月28日)のまとめ 先週は、原油高と米金利上昇という強烈な外部ショックを背景に円売り圧力が継続し、週前半は180円台での底堅い推移を見せていた。しかし、週末にかけて日米当局による相次ぐ「円安牽制発言」が飛び出すと市場の空気は一変。ドル円が一時159円台に迫るなかで放たれた牽制砲は極めて効果的であり、介入への強烈な警戒感から一気に円の買い戻し(ショートカバー)が進行した。絶対死守と思われた180.00円の大台は週末にかけてあっさりと陥落。週明け28日(月)には一時178円台前半まで突っ込む場面も見られ、上値の重さが際立つ一週間となった。目線は完全に下を向いており、上値抵抗帯となった180円を背にした戻り売りフェーズへと移行している。 詳細な値動きの振り返り ■ 原油高・米金利高を背景とした底堅い推移(9月21日〜24日) 週前半から半ばにかけては、中東情勢の緊張による原油価格の高騰と、米10年債利回りの5%超えを背景に全般的な円売りが優勢となった。ドル円が158円台後半へと上値を伸ばす動きに連れ高となる形で、ユーロ円も180円台を中心とした底堅い推移を継続。22日(火)や24日(木)には180.70〜80円付近まで上値を伸ばし、さらなる上値追いの気配すら漂わせていた。 ■ 日米当局の「円安牽制砲」炸裂と180円大台割れ(9月25日) 相場の景色が一変したのは週末25日(金)である。ドル円が一時159円台に乗せ、いよいよ160円の大台が視野に入ったところで、片山財務相や高市首相による強い口調での円安牽制発言が報じられた。特に、日米首脳会談でトランプ大統領から円安への懸念が示された事実が明らかになったことは、市場に強烈な冷や水を浴びせた。ロンドン時間に入ると三村財務官の牽制発言も加わり、介入への恐怖からポジション調整の円買いが殺到。ユーロ円は強固なサポートであった180.00円を割り込み、一気に179円台へと急落した。 ■ 介入警戒感による上値の重さと178円台への突入(9月28日〜足元) 週明け28日(月)は、先週末の下落の流れを引き継ぎ神経質な展開となった。自律反発で179円台後半まで戻す場面(東京時間)もあったものの、180円の大台回復には至らず。ロンドン〜NY時間にかけては再び売り圧力が強まり、一時178.20円台まで下値を切り下げる展開となった。足元(29日昼)も178円台後半〜179円近辺で上値の重い揉み合いが続いており、反発力の乏しさを露呈している。 ファンダメンタルズ分析 日本・米国側:トランプ大統領の懸念表明と「レッドライン」の明確化 先週最大のハイライトは、日米当局による協調的ともとれる強烈な円安牽制である。片山財務相、高市首相、三村財務官が相次いで市場を牽制しただけでなく、トランプ大統領が円相場の過小評価に懸念を示した事実が市場に重くのしかかっている。これにより「160円到達=実弾介入」という強烈な意識が市場に植え付けられ、既存の円キャリー取引に対する強烈な巻き戻し圧力がかかっている。 欧州側:ドル高の波及とユーロの単独売り圧力 中東情勢(イランを巡る動向)の不透明感から安全資産としてのドル需要が根強く、ドル高の波及によりユーロドルは1.13ドル台まで下落している。ECB(欧州中央銀行)の利上げ打ち止め観測や欧州各国の政治・財政リスク(仏の格下げなど)も意識され、ユーロ自体の買い材料に乏しい。対ドルでのユーロ安が、ユーロ円の上値をさらに重くする要因となっている。 テクニカル分析 トレンド判断 180円台での揉み合いを明確に下抜けたことで、短期的な「下落トレンド」が鮮明となっている。特筆すべきは、先週までサポートとして機能していた180.00円の大台が、強力な「レジスタンス(上値抵抗帯)」へとロールリバーサル(役割転換)を果たした点だ。179円台後半での戻り売りの強さが確認されており、日足・時間足レベルでの移動平均線も下向きへと角度を変えつつある。 【ユーロ円 主要なレジスタンス・サポートライン(大幅見直し)】 (上値抵抗帯) レジスタンス3: 180.70 - 180.80円 (先週の高値圏、当面の上限目安) レジスタンス2: 180.00 - 180.20円 (大台の心理的節目、かつての強力なサポートライン) レジスタンス1: 179.60 - 179.80円 (直近の反発高値、短期的な戻り売りポイント) (下値支持帯) サポート1: 178.20 - 178.30円 (直近の突っ込み安値水準) サポート2: 177.80 - 178.00円 (前回の暴落時につけた安値圏、心理的節目) サポート3: 177.00 - 177.20円 (ここを明白に割れると一段の下落リスク) 今週のポイント・見通し 今週の焦点は、日米当局の介入警戒感が立ち込める中、「上値の重さを確認しながらどこまで下値を切り下げるか」にある。 【メインシナリオ】戻り売り優位の展開、180円を背に177円台トライへ 日米の強い牽制発言により、投機筋による無防備な円売り(ユーロ買い)は極めて困難な状況となっている。179円台に反発する局面があっても、介入を恐れた利益確定や戻り売り勢に上値を叩かれる展開が想定される。ジリジリと上値を切り下げ、足元のサポートである178.20円付近を割り込めば、再び177円台後半〜177円の大台に向けた下落進行を見込む。 想定レンジ: 177.50 - 180.20円 根拠: 日米当局の強烈な円安牽制による介入警戒感、180円大台のレジスタンス化、対ドルでのユーロの上値の重さ。 【対抗シナリオ】中東情勢の悪化と原油急騰による円売り再燃 イラン情勢を巡る交渉が決裂し、原油価格が再び急騰するなどしてインフレ懸念が再燃した場合。日本の交易条件悪化を懸念した構造的な円売りが、介入警戒感を凌駕する形で再稼働するシナリオ。この場合、ショートカバーを巻き込みながら180円台を力強く回復し、再び181円方向に向けた上昇トレンドに回帰する可能性がある。 想定レンジ: 178.50 - 181.20円 根拠: 原油高・米金利高の再燃、地政学リスクに伴う突発的なリスク選好度の変化。 総評 ファンダメンタルズにおける「日米金利差」という円売り要因に対し、「トランプ大統領の懸念」という最強のストッパーが発動した格好だ。市場は160円を「レッドライン(絶対防衛線)」と強烈に意識しており、ドル円の上昇余地が限られる以上、ユーロ円も上値追いは極めて厳しい。 基本戦略としては、先週同様に「戻り売り(ショート)」を推奨する。180円の大台回復を明確に日足終値レベルで達成しない限りは下目線で問題ない。179円台半ば〜後半への反発を引き付けてからのショートメイクが優位性の高いトレードとなるだろう。政治的発言や地政学ヘッドラインで突発的に上下に振れるリスクが高いため、ストップロス(損切り)の設定は必須の相場環境である。 今週の主な予定 ユーロ圏 09/29 18:00 景況感指数 (9月) 予想 98.7 前回 98.4 09/29 18:00 消費者信頼感指数(確報値) (9月) 予想 -16.5 前回 -16.5 10/01 17:00 製造業PMI(購買担当者景気指数・確報値) (9月) 予想 52.7 前回 52.7 10/01 18:00 雇用統計 (8月) 予想 6.4% 前回 6.4% (ユーロ圏失業率) 10/02 18:00 消費者物価指数(HICP・概算値速報) (9月) 予想 0.4% 前回 0.4% (前月比) 10/02 18:00 消費者物価指数(HICP・概算値速報) (9月) 予想 3.5% 前回 3.2% (前年比) 10/02 18:00 消費者物価指数(HICP・概算値速報) (9月) 予想 2.6% 前回 2.4% (コア・前年比) ドイツ 09/30 15:00 輸入物価指数 (8月) 予想 0.5% 前回 0.2% (前月比) 09/30 15:00 輸入物価指数 (8月) 予想 7.9% 前回 6.8% (前年比) 09/30 15:00 小売売上高 (8月) 予想 1.3% 前回 -3.4% (前月比) 09/30 15:00 小売売上高 (8月) 予想 -0.5% 前回 -2.5% (前年比) 09/30 16:55 雇用統計 (9月) 予想 6.4% 前回 6.4% (失業率) 09/30 16:55 雇用統計 (9月) 予想 0.0万人 前回 0.4万人 (失業者数) 09/30 21:00 消費者物価指数(速報) (9月) 予想 0.6% 前回 0.2% (前月比) 09/30 21:00 消費者物価指数(速報) (9月) 予想 3.1% 前回 2.9% (前年比) 09/30 21:00 消費者物価指数(速報) (9月) 予想 0.4% 前回 0.2% (調和消費者物価指数(HICP)・前月比) 09/30 21:00 消費者物価指数(速報) (9月) 予想 3.0% 前回 2.9% (調和消費者物価指数(HICP)・前年比) 10/01 16:55 製造業PMI(購買担当者景気指数)(確報値) (9月) 予想 53.8 前回 53.8 フランス 09/30 15:45 消費支出 (8月) 予想 0.1% 前回 0.5% (前月比) 09/30 15:45 消費者物価指数(速報) (9月) 予想 -0.4% 前回 0.7% (前月比) 09/30 15:45 消費者物価指数(速報) (9月) 予想 2.8% 前回 2.4% (前年比) 09/30 15:45 生産者物価指数 (8月) 前回 1.1% (前月比) 09/30 15:45 生産者物価指数 (8月) 前回 3.4% (前年比) 10/01 16:50 製造業PMI(確報・購買担当者景気指数) (9月) 予想 50.3 前回 50.3 MINKABUPRESS 山岡
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